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善意の廉売がデフレの道への舗装に?

善意の廉売がデフレの道への舗装に?

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比較的ゆとりある年金生活者の方が「皆さんに喜んでもらうために」と、定年退職後に始めた農業で格安販売。農作物は素晴らしい出来でしかも安いから実際喜ぶ消費者。
しかし、これで苦しむ人達がいる。そう、農作物を売ることで生活している農家。

年金生活者の方は善意なのだと思う。しかし格安で農作物を販売することで、農業だけで生活している農家はたまったものではない。農作物の価格は下に引っ張られ、利益が出なくなってしまう。それだと、農家は生活できなくなってしまう。

阪神淡路大震災のとき、大阪の散髪屋の方が無料散髪のボランティアを被災地で行った。当時は水道も電気も通っておらず、散髪屋はどこもやってないから、被災者の方達に大変喜ばれた。それが嬉しくて、毎週無料散髪を続けた。しかしある日。

地元の散髪屋だという方から、「そろそろ営業再開するんやけど、あんたか無料散髪続けると私ら生活でけへん。善意なのはわかるけど」と話された。それできっぱり、大阪の散髪屋の方は無料散髪をやめた。

もし無料散髪を続けていたとしたら、現地の散髪屋は客がいなくなってしまうか、減ってしまう。すると散髪屋は家族を養えなくなる。老いた親を病院に通わすこともできなくなり、子どもに教育を与えることもできなくなり、消費もできなくなる。すると、現地での消費が減る。

散髪屋に限らず、救援物資をいつまでも送り続けると、地元の商品がいつまで経っても売れない。すると店の従業員はクビになり、そのぶん、現地の消費が減る。すると別の店も売上が減り、消費を減らし・・・の連鎖が起き、デフレスパイラルとなる。

喜んでもらおうと安く提供することは、善意からかもしれない。しかし安易な安売りは、知らぬ間にダンピング(不当な安売り)に転じかねない。それが続けられると、デフレ経済を促進する力となり、貧しい人たちをますます貧しくしかねない。

被災地で無料散髪は、消費者としてはありがたい。そのぶん現金が浮くのだから。しかしそれにより、現地の消費が減り、現地がデフレ経済となり、現地が貧しくなってしまいかねない。「善意の安売りはデフレスパイラルへの道の舗装」になりかねない。

消費者も、どこかの労働者。勤めてる会社の売上が落ちれば収入が減らされ、すると消費を減らさざるを得ず、減らした消費が別の企業の売上を減らし、その企業で勤める従業員の収入が減る。こうしてみんなの収入が減り、消費が減るデフレスパイラルに陥る。

みんな、財布の中身を減らしたくないから、無料だったり安値販売されていたらそれについ手を出してしまう。しかしそれが連鎖するとデフレスパイラルが始まる。真面目に働く人が生活できる、妥当な価格での購入が、どうしても必要となる。

いくら善意からとはいえ、あまりに度を過ぎた無料や格安販売を続けると、それを職業とする人たちが生活できなくなる恐れがある。善意によるダンピング、ということが起き得る。すると、善意が悪意よりタチ悪くなることがある。この点、よくよく注意したい。

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