石油に匹敵するエネルギーが見つからない危機

石油に匹敵する優れたエネルギーを生み出せるのか?それが人類のこれからに大きな影響を与えるように思う。
石油は非常に優れたエネルギー。常温で液体で、高濃度(エネルギー密度が高い)。しかも大量で安価。こんな条件の揃ったエネルギーは他になかったし、今もメドが立たない。

バイオ燃料は、ブラジルのサトウキビ由来バイオエタノールを例外として、軒並みエネルギー的に赤字。トウモロコシ由来のバイオエタノールは、1haを耕す燃料を得るのに2.6haのトウモロコシ畑が必要になる。エネルギー的に大赤字。それにブラジルが生産できるバイオエタノールも量に限界がある。

太陽光発電は優れたエネルギー効率を示すようになったが、電気しか作れない。そして人類は、いまだに電気を貯める技術が未熟。石油みたいに高濃度(高いエネルギー密度)に電気を貯められない。1Lのサイズだと、リチウム電池は石油の5%程度しか貯められない。大きく重くなる。このため。

大型トラックやトラクターのようなパワーの必要な動力を動かすのは、電気では難しい。原子力も、期待を集めてる核融合も、電気を作るだけという点では太陽電池と同じ。そして電気を高濃度で貯められる技術がない以上、大型動力を動かすメドが立たない。

乗用車くらいに軽いクルマなら、電池で動かせるようになった。でも、トラックやトラクターなど、大型の動力となると、電池はパワー不足。物流や農業を、石油なしに維持できるのか?そこが不安材料。

エネルギーは、量さえ作れれば大丈夫、なわけではない。「貯められる」という性質が大切。その点、石油は極めて優秀だった。ある程度保存が聞いて、しかも高濃度に、コンパクトに大量のエネルギーを貯められる。しかも大量に手に入る。こんなに優れたエネルギーは、いまだに見つかっていない。

いくら電気エネルギーを大量に作れても、それを貯められる技術がなければ無駄になる。原理的に電池は、エネルギー密度を高めにくい。電池は基本、イオン結合という「弱い結合」のエネルギーで貯めるから、大した量は貯められない。他方、石油は。

共有結合という「強い結合」でエネルギーを貯めてるから、エネルギー密度が非常に高い。電池は石油に匹敵するエネルギー密度に高めることが、原理的に難しい。もし石油と同じエネルギーを積もうとすれば、電池はかさばるし、重くなる。

電気は高濃度で貯められない。このことが、いろんな分野で非常に深刻な問題を引き起こす恐れがある。電気で動く大型トラクターは今のところない。もし電気で動かそうとすれば、すぐバッテリー切れを起こす。充電しても長時間動かせない。

農機具に詳しい方によると、太陽電池の設備を併設して大型トラクターを電気で動かす実験をしようとしたところ、設計段階であまりにお金がかかりすぎて非現実的ということになったらしい。電気で大型トラクターを動かすのは、メドが立たない状態。

石油が思うように採れなくなったとき、農業生産が続けられるのだろうか?私は疑問。
石油はかつて、採掘に必要なエネルギーの200倍もの石油が採れたが、今は10倍を切るように。3倍を切ればエネルギー的に赤字になる。ガソリンなどに加工するにもエネルギーが必要だから。

その「3倍」に近づきつつある。石油が採れる効率が落ち始めている。石油がエネルギーとして意味あるカタチで採掘できる間に、石油の代わりとなるエネルギーは生まれているだろうか?それには、画期的な電池が生まれる必要がある。今はまだメドが立たないが、間に合うのだろうか?

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