日本は農業と非農業が支え合わなければ国民を養えない

これを書いたら、「他産業で得た金で食物を買えばいい」という考えは昭和の古い考え方だと批判された。誤解があるようなので、ここで回答しておきたい。

https://note.com/shinshinohara/n/n1a61d8fa5394...

「他産業で得た金で食物を買えばいい」と考えているわけではありません。「他産業で得た金で不足する食料を買わざるを得ない」です。 恐らくご見解は、日本の国土も本気で耕せば1億2千5百万人を養えるだけの農業生産ができると「誤解」している点から生まれているのだと思います。

残念ながらそれは甘いです。日本はイギリスの1.5倍もの陸地面積を誇っているのに、農業に適した平地の面積は1/4に過ぎません。日本は山だらけで、農地に適した場所が非常に少ないです。

このため、肥料を大量投入し、農業機械をフルに活用し、農業に人材をふんだんに割り当て、かつての最大の耕地面積600万haに耕地を広げたとしても、9000万人分の食料を生産するのが精いっぱいでしょう。残り3500万人分の食料が決定的に不足します。

しかも、上記試算はかなり楽観的なものです。石油・肥料の輸入になんら問題がないことを前提にしているからです。もし石油や肥料の輸入が困難になれば、農業機械は動きません。化学肥料も田畑にまけません。

国内で生まれる有機質肥料だけで農業生産せねばなりません。それで作れる食料は、3000万人分でしょう。9500万人は餓死してもらわねばなりません。

つまり、日本の国土は、石油・肥料・食料の輸入がなければ、江戸時代と同じ3000万人分しか食料を作れない、という現実を押さえておく必要があります。そして、不足する9500万人分の食料をまかなうために、石油や肥料、食料を輸入しなければならない。

この国の条件は、そういったものです。 そして、それだけの石油や肥料、食料を輸入するには、外貨が必要。その外貨を稼ぐには、貿易や観光などで頑張る必要があります。 もちろん、国内農業も頑張って、できるだけたくさんの食料を作り、非農業の苦労をできるだけ軽減する努力が必要です。

しかし国内農業には限界があるため、非農業がどうしても補わねばなりません。国内農業と非農業が力を合わせて不足する食料をなんとか賄い、この国を養っていかねばなりません。趣旨をお判りいただけましたでしょうか。

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