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新聞は二度おいしい 〜シンシンの観察ルポ〜ズッキュンな人#3

日曜日の夕方。せっかくの休日が何もせず終わってしまいそう。これはもったいないと思って、本を一冊持って近所のカフェへ駆け込んだ。そこにはリンゴのマークがついたPCと睨めっこしている大人がみっしり。お休みの日もお疲れ様です、と思いながら、唯一空いていた親子連れの横に座った。
お母さんは新聞を読み、小学校低学年ほどのボクはドリンクを飲んでいる。子供の頃からワンコイン以上の値段がするドリンクを飲めるなんて羨ましいな、と横目で見つつ、私は本を読み始めた。

少しすると、ボクはドリンクも飲み終わり、退屈してきた様子。そこでお母さんはすかさず、読んでいた新聞の束から2枚めくり、取り外した。1枚はボクへ渡し、もう1枚をスマホで少し調べながら、折り始めた。ボクはその様子に釘付け。みるみるうちに兜が出来上がった。新聞紙で折ったから、兜は大きく、ボクの頭にすっぽり。嬉しそうに、見よう見まねでボクも新聞紙を折り始めた。その間にお母さんは、新聞の続きを読んでいる。少ししたら読み終わったページなのか、1枚めくって、ボクへプレゼント。出来上がった作品について会話をしつつ、また新聞を読み進める。ボクも試行錯誤しながら、独創的な作品を作っていく。とても楽しそうな時間だ。

昔、新聞紙を折り紙などの遊びに使った人も多いのではないだろうか。私も祖母と新聞紙でゴミ入れを作ったり、兄と剣に見立てて丸めた棒で戦ったりした。今では新聞を読まない人や、電子版で読む人も増えて、新聞紙を持ち歩いている人を見る機会も減った。カフェで親子の光景を見て、2度楽しませてくれる新聞紙も良いものだと感じる。ちなみに、お母さんが読んでいたのは英字新聞。ボクの兜がおしゃれに見えたのは私だけだろうか。


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