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コミュニティのオススメ初期設計9選

こんにちは!コミュ売れ総研 主任研究員のSHINです!

このコミュ売れ総研ではコミュニティを”科学”することによって、データに基づく再現性の高い手法で、企業や団体のマーケティングやコミュニティ運営の成果に繋げる方法を模索しています。

前回は実際の運営という観点で、コミュニティの成長サイクルをもとにロードマップをひこうという話をしました。

今回は、いわゆる「STEP0 初期構築」の部分でどのようなコミュニティを設計すれば良いのか、以前紹介したコミュニティファネルに沿って、VISITレイヤー、FRIENDレイヤー、VALUEレイヤーに分けて具体例を9つ紹介していきます。

1つのコミュニティスタイルに特化したものではなく、ある程度どのコミュニティでも再現できる汎用的な施策例なので、ぜひ参考にしてみてください。


1. コミュニティに入り込んでもらうVISITレイヤーでの施策例

ここは、ユーザーがコミュニティを初めて訪問(VISIT)する段階のことを指します。目標達成のための指標となるKGIとしてはオンボーディング率があります。つまり、どれだけの人がコミュニティの内部に入り込んでくれるか、が重要となります。

チュートリアル

新しく参加したメンバーには、コミュニティのルールやプロジェクトの説明などを最初に説明する必要があります。コミュニティに入っても何をしたらいいかわからない、とならないようにコミュニティの楽しみ方を伝えましょう。

チュートリアルはわかりやすくするためにシンプルに、ステップに分けて行うことが大事です。コミュニティ説明や楽しみ方をいくつかに分割して、少しずつ理解してもらえるようにすることで最初の定着をより効果的なものにできます。

エンタメスレッド設計

コミュニティの特色や世界観をわかりやすく伝えるため、コミュニティのテーマに関連する空間を連想させるようなスレッド設計をしてあげましょう。「学校」「寮」「オフィス」「特定の街」など、実在する空間や建物に例えることで想像させやすくします。そうすることで、よりコミュニティへの没入感が得られ、自分の振る舞い方にもイメージがつきやすくなります

個別のスレッドの名前をつける際も、そのスレッドにおいてどんなテーマで話しているか、どんな活動をしているかがわかりやすい例えが望ましいです。スレッドのタイトルを読むだけで活動やトーク内容などが考えやすくなり、自分だったら、とわくわくさせることができます。

下の図のアイドルファンコミュニティの例ではアイドルが住む寮をテーマにしており、スレッドを実際に寮にあるような部屋の名前にして参加者がイメージしやすい設計にしています。寮の掲示板のように最初に「館内案内」という各スレッドの説明を記載することで、メンバーがどこで何を会話をしたらいいのかを明確にしています。

ナビキャラ

チュートリアルの説明などを「キャラクター」が行うという施策もあります。

ゲームなどでもありますが、導入のナビゲーションをキャラクターが行うことで、入ってきたユーザーをコミュニティの世界観に没入させ、コミュニティに定着させやすくすることができます。ナビキャラはアイコンや名前、口調などにコミュニティに合ったキャラクター性を持たせて、愛着を持ってもらいやすいようにしましょう。

下記の図のゲームコミュニティの例ではプロジェクトの世界の案内として「ネオン」というキャラクターを設定しています。導入だけでなく、プロジェクトの進行アナウンスなども担当しており、コミュニティメンバーに愛されるキャラとなっています。

このようにユーザーがコミュニティに入り込みやすいような設計をすることが重要です。どんなユーザーが入ってくるか、というペルソナ設定も行うことで施策がより明確になるでしょう。

2.コミュニティに楽しんで参加してもらうFRIENDレイヤーでの施策例

FRIENDレイヤーではコミュニティ内での交流によって、定期的にコミュニティを訪れてもらうことが目的です。ここでのKGIはアクティブ率となるので、日常的に積極的に活動してくれる人を増やすような施策を行いましょう

インセンティブポイント

コミュニティに貢献したメンバーに対して、ポイントなどのインセンティブが付与される仕組みをつくります。ポイントを一定数ためるごとに何か特典や称号などがもらえるようにすることで参加者のモチベーションを高める施策です。

下記の図の例ではコミュニティ内部での活動だけでなく、SNSなどの外部向けの媒体での活動も評価するようにしています。インセンティブのポイントは先着制のオリジナル商品や、特別なロール(ラベル)などとの交換に使えるようにしています。

ただし、ある行動をするとポイントがもらえるというシンプルな設計は重要ですが、このシンプルさはユーザーがコミュニティとしての「活動」ではなく、ただの「作業」と捉えてしまうリスクもあります。ただ与えられた行動をしたらポイントをGETできるだけの制度ではなく、運営側が求める行動をすると多めのポイントがもらえるような「行動内容の評価」が重要となります。

また、インセンティブとしてもらえるものの換金性が高かったり、1ポイントの価値が高すぎると、それを目当てにした悪質なユーザーが増えるなどの悪影響が出てしまう可能性があります。インセンティブがユーザーにとっての主目的とならないように気をつけつつ、ユーザーの活動内容を適切に評価しましょう。

ギルドvsギルド

「ギルド」とはチームやグループと同じような意味で、コミュニティ内のさらに小さなコミュニティとして設けたりします。中長期的に変わらない場合もあればイベントなどに合わせた一時的なものの場合もあります。

「ギルドvsギルド」とは勝敗がつくようなイベントを実行し、メンバー同士の競争心を煽るようなバトル状況を敢えてつくることです。ギルドという小さなコミュニティの中で「勝利」という同じ方向性を目指すことで一体感が生まれやすく、その後のコミュニティ活性化にも効果があります。

例えば、小学校での恒例行事である、運動会などは「ギルドvsギルド」と同じと言えます。クラスごとに紅組と白組に分かれ、普段はよく遊ぶ友人とも運動会のシーズンは対立して競い合います。クラス対抗リレーでヒートアップしたり、大縄跳びで100回以上の記録を達成したりすると、一気に仲間意識が高まりますよね。

下の画像はあるイラストレーターのファンコミュニティで、GGGGGというスマホゲームのギルド対抗戦の告知画像です。このコミュニティではメンバーの保有するイラストのキャラの属性によってギルドが分かれています。普段は対立関係ではなく、各々の居心地のいい場所として存在するギルドですが、アプリゲームのギルド対抗戦というイベントにすることでコミュニティ全体としても盛り上がり、ギルドごとの仲間意識も改めて感じるきっかけとなりました。

このようにコミュニティ内にいくつかのギルドを作り、ユーザーがイベントやゲームなどを楽しむことで、さらにコミュニティに訪れてくれるようになります。

診断コンテンツ

自身に関する客観的な情報であり、それを他者と共有できるような診断コンテンツはコミュニティ内の交流をさらに活発にします。診断コンテンツの内容はコミュニティのテーマに合わせて作成するようにしましょう。

例えば、ダイエット系のコミュニティであれば骨格診断を用いると、各々の骨格に合ったダイエット方法の話をしやすくなります。汎用的な物であれば、近年Z世代を中心に流行している性格診断(MBTI)などを活用することで、各メンバーの価値観や相性について話すきっかけとなるため、相互理解が深まります。

診断結果をもとにしたUGCの作成を促したり、診断結果別のロール(バッジ)をつけるなどしてコミュニティ内での話題づくりをしたりすることで、ユーザーがさらにアクティブになってくれます。

これらのように、コミュニティでの活動でインセンティブがもらえる、小さなコミュニティを動かして達成感を得る、といった「ユーザーが楽しんで活動できる環境」を整えることで、定期的な訪問を促すことができます。参加者が何度も訪れたいと思う場所になるようなコミュニティ設計を行いましょう。

3.コミュニティに愛着を持ってもらうVALUEレイヤーでの施策例

ここではコミュニティに愛着を持ってもらい、自らコミュニティに価値を見出してくれる人の創出が目的です。ここでのKGIはロイヤル率です。コミュニティに愛着を持つコアな人をどれだけ増やせるか、というのがポイントになります。

限定スレッド

特定の権利をもっている人しか見ることができない、限定スレッドのような特別なエリアを作ります。コミュニティへの貢献が認められてこのエリアを訪れる権限が付与されることで、ユーザーの承認欲求が満たされ、所属意識が高まる効果があります。

限定スレッドには、そこでしか得ることのできない情報や体験を用意する必要があります。限定のお得情報やコミュニティに関する情報がいち早く手に入るなどのメリットや、普段は話せないような人とコミュニケーションをとることができる体験などです。よりコアなファンの間で話すディープな会話ができる空間にすれば、普段オープンな場所では話しにくいマニアックな会話を存分にすることができるようにもなります。

下図のアイドルのファンが集まるコミュニティでは、アイドルの寮をコミュニティ設計のテーマにしており、誰でも参加できる寮の1階とは別に、特定の条件を満たしたユーザーだけがアクセスできる寮の2階というセクションを作っています。ここでは、アイドルメンバー個別のスレッドがあり、アイドルメンバー本人とチャットを楽しむことができます。

ファンアート

コミュニティのテーマに合わせたファンアート(二次創作)を促すのもおすすめの施策です。コミュニティ内にいるクリエイター属性の人にとっては自分の作品を広めるチャンスになり、コミュニティメンバーにとっては会話のきっかけにもなる、まさに一石二鳥の取り組みです。

また、気軽にファンアートを制作してもらうためにコミュニティのテーマを学習させた生成AIモデルを作り、誰でもファンアートを創ることができるようにするのも有効です。このファンアートをコミュニティメンバーがSNSなどで発信することで、UGC制作数の向上にもなります。

コミュニティ内検定

コミュニティへの理解を再確認し、より理解を深めようというきっかけになる検定コンテンツを用意するのもよいでしょう。このコンテンツも診断コンテンツと同様にコミュニティのテーマに合わせて、運営、もしくはコミュニティメンバーが制作します。

汎用的なものとしては、過去のイベントや盛り上がった会話内容などをクイズ的にまとめ、これまでの活動を振り返るきっかけとします。IPやゲームを題材にしたコミュニティであればコンテンツに合わせた知識検定などもいいでしょう。

新しく入ったメンバーにとってはコミュニティの活動を理解するきっかけとなるため、ロイヤル率だけでなくオンボーディング率にも副次的な効果ももたらします。過去を楽しく振り返りながら、コミュニティのイベントを企画して貢献できるため、コミュニティメンバー自身に検定を作ってもらえるとなおいいでしょう。

コミュニティに貢献したことでしか手に入らない特別な体験ができたり、活動について振り返ったりすることでコミュニティへの愛着が深まります。活動していくうちにどんどん愛着を深めてもらえる施策を用意しましょう。

どうしたら楽しんでもらえるかを意識して、コミュニティを設計しよう

コミュニティ設計をする際は参加者にコミュニティにのめり込んでもらえるような施策を打つことが重要です。第7回までに説明した既存のメソッドを生かしつつ、コミュニティの特性に応じて参加者に楽しんでもらえるような施策や企画を考えるとよいでしょう。

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