コミュニティの活性度を定量的に測る指標(KGI・KPI)を定めよう
こんにちは!コミュ売れ総研 主任研究員のSHINです!
このコミュ売れ総研ではコミュニティを”科学”することによって、データに基づく再現性の高い手法で、企業や団体のマーケティングやコミュニティ運営の成果に繋げる方法を模索しています。
第5回目では、コミュニティの活性度を表す指標(KGI・KPI)についてお話しします。
前回はKOCについて理解し、KOCを醸成するためのコミュニティづくりについてお話ししました。
KOCを生み出すような「熱量の高いコミュニティ」を作るためには、以前説明した「コミュニティファネル」を用いた適切なコミュニティ設計が必要になります。
↓コミュニティファネルについてはこちら
しかし、コミュニティの活性度は、どのように判断すればよいでしょうか?
判断のためには、基準や指標といったものが必要です。そこで、これまでにお話ししたコミュニティファネルの各ステップにおいてKGI・KPIを設定することで、目標の達成度を可視化することができるようになります。
では、コミュニティにおいてKGIやKPIはどのように設定し、どのように分析していくべきでしょうか?
各ファネルにおいて最も重要な指標・KGI
KGIは一般に、企業の戦略を達成するために何をもって成果(ゴール)とみなすかの指標のことで、定量的な成果の指標として売上高や、利益率、成約件数などが該当することが多いです。
コミュニティにおいては、その活性度を測定するために、ファネルごとにKGIを設定します。
①コミュニティ内部まで訪れてくれているかを確認する「オンボーディング率」(全ファネル)
コミュニティ活性度の測定のために重要な指標の1つが、「オンボーディング率」です。これは、コミュニティの全参加者のうち、各階層にどれだけの人が到達しているかの割合です。
コミュニティの入口となるウェルカムエリアは最初に多くのユーザーが通ります。そこで心理的安全性を得て、コミュニティとの関わりが深くなっていく中で、交流するためにアクティビティエリアヘ行き、貢献が認められるとさらに深いロイヤリティエリアに入っていきます。
オンボーディング率は、その各階層にどのくらいの割合の人が到達しているかをもって活性度を測る指標です。より深いレイヤーまで到達している割合が多いほど、熱量のあるコミュニティということになります。
階層ごとの到達率を測るため、このKGIはVISIT、FRIEND、VALUE全てのファネルを対象とした指標となります。
②コミュニティで友達ができているかを判断する「アクティブ率」(FRIENDファネル)
続いて、特にFRIENDファネルにおけるKGIとして「アクティブ率」というものがあります。
ユーザーはコミュニティに定着する過程で友人関係を築いて行きます。リアルでも親しい人とは毎日のように連絡を取ったりしますよね。それと同様にオンラインコミュニティでも会話やイベントなど、コミュニティ活動に参加する人が増えることでコミュニティは活性化します。その参加率を「アクティブ率」といいます。
ユーザーの行動は様々であり、コミュニティを訪れて会話を覗くだけの人もいれば、会話に積極的に参加する人もいます。
アクティブ率が高ければ高いほど、コミュニティメンバー同士が積極的に交流を持っているということであり、コミュニティ運営の視点で言えば、活性化に適した環境や話題テーマを提供できているということになります。
③熱量が高く、コミュニティを愛するユーザーかどうかを見る「ロイヤル率」(VALUEファネル)
VALUEファネルにおいては「ロイヤル率」というものをKGIに設定します。これは、どのくらいの人がコミュニティに愛着を持っているかを測る指標です。
友人も増え、日常の中でコミュニティを訪れることが習慣になると、コミュニティへの愛着が増していきます。人によってはそのコミュニティやそこでのコンテンツを自発的に広めるようになり、まさにKOCとなっていきます。
※KOCについては下記の記事をご参考にしてください。
コミュニティメンバーに影響を与えるKOCをはじめ、コミュニティを愛して広めてくれる人がどれくらいいるのかという割合を「ロイヤル率」として計測します。一般に「ロイヤリティ(Loyalty)」は、企業ブランドや商品に対する消費者の愛着や忠誠のことを指します。
そんなロイヤリティの高い人が多くいるということは、熱量の高い、かつ持続可能なコミュニティを形成できているということになります。
各KGIを達成するために設定すべきKPI
KGIは最終的な達成度合いを測る指標であるため、途中経過の把握のためにはより詳細な目標が必要です。そのKGIを達成するための中間指標となるのがKPIです。
なお、ここで示すKPIはあくまで一例ですので、個別のコミュニティごとに応じたKPIを設定することが重要だということを念頭においてください。
①オンボーディング率はコミュニティの各階層への到達割合を見る
オンボーディング率のKPIとしては、各階層への到達率をそれぞれ設定すると良いでしょう。
コミュニティファネルではインフォメーションエリア(VISITファネル)、アクティビティエリア(FRIENDファネル)、ロイヤリティエリア(VALUEファネル)の3階層を構築することを推奨しています。よって、それぞれのエリアにどのくらいの人数が到達したかを「各エリアへの到達率」としてKPIに設定します。
例として下記の図をみてください。
このようなコミュニティが仮にあった場合、KPIは下記のような形で計測することができます。
②アクティブ率は目的にあった活動参加度を確認する
アクティブ率はコミュニティ活動にいかに参加しているかを表します。ひと言で「アクティブ率」といっても、その計測方法はコミュニティの属性や目的によって変わります。ゲームのログインボーナスのようにユーザーに訪れてもらうことが目的であったり、ユーザー同士のコミュニケーションを最重視していたり。それぞれの目的にあったアクティブ率を測らなければなりません。
コミュニティ内で友好関係を築く「FRIEND」のステップではコミュニティを訪れる理由ができて、会話テーマやコンテンツを楽しむ中で、コミュニティへの訪問が習慣化していきます。そのため、コミュニティ属性に関わらずある程度汎用的なKPIの例としては、「継続率(コミュニティを訪れる回数)」「DAU/MAU比率(コミュニティへの訪問頻度)」「アクション率(コミュニティでの活動頻度)」などが挙げられます。
③ロイヤル率はロイヤル化したユーザーの割合を把握する
ロイヤル率のKPIとしては、ユーザーがどの程度貢献してくれているかを計測する指標を設定すると良いでしょう。
ロイヤル化したユーザーの例としては、コミュニティ内で会話ができて少し影響力のある「KOC」、身近な人やコミュニティに商品を紹介してくれる人、ある指標に基づいてコミュニティに多大な貢献をしてくれる人などがいます。
以上をまとめると、このようになります。
コミュニティマーケティングを成功させるために目標を細かく定めよう
コミュニティのKGI・KPIを設定することで、コミュニティ内の活性度や各段階における人数が可視化することができ、マーケ施策やコミュニティ内施策のPDCAを効果的に回せるようになります。それにより、再現性高く、熱量の高いコミュニティを運営することができるでしょう。
ただし、KPIはコミュニティの目的に応じて様々なので、計測したい項目を含め柔軟に設計していく必要があるので、ご注意ください。
ここまでコミュニティマーケティングとそれに関わることについて理論をお話ししてきました。もっとイメージを明確にしてもらうために次回は、コミュニティマーケティングを活用した事例についてお話しします。
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