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京都市京セラ美術館ENFUSE×金谷正廣

京都市美術館→京都市京セラ美術館

 2020年5月26日、予定より2ヶ月遅れで京都市京セラ美術館がリニューアルオープンしました。

 古い建物を残した再建築や、エントランスを地下に持ってくるなど大幅な改装、最新のガラスを使った展示ケースの設置などが行われましたが、リニューアルに伴いミュージアムショップとカフェが併設されました。

 このカフェ『ENFUSE』さんにご企画いただきまして、コレクションルームの展示と連動した上生菓子を製作させていただくこととなりました。 

コレクションルーム

 コレクションルームは、京都市京セラ美術館に収蔵されている作品の中から、日本画を中心として形成されるコレクション展です。所謂、通常の美術館でいうところの常設展的なものなのですが、収蔵品の豊富さ、また、京都という土地柄を考慮し、テーマを設けた展示内容、そして、四季にあわせて展示作品を変えてゆく、といったものになるそうです。

日本画×和菓子

 オープニングは時期的なこともあり、「春」をテーマに展示作品が選定されました。その中からいくつかの作品を学芸員様にピックアップいただきまして、和菓子を製作いたしました。 

 カフェENFUSE様のスタッフ様や美術館スタッフの皆様にご協力をいただきまして完成したお菓子がこちらになります。

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丹羽阿樹子 遠矢

「丹羽阿樹子 遠矢」をイメージし製作させていただきました。

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丹羽阿樹子(にわあきこ)明33-昭63 1900-1988

愛知県に生まれる。本名あき子。幼い頃に僧籍にあった叔父の養女となり、京都で小学校から高等学校まで卒業する。上村松園に師事するとともに、鹿子木孟郎にデッサンを学ぶ。師の推薦で西山翠嶂の画塾・青甲社に入塾。第11回帝展に初入選して以降、新文展や京都市展、青甲社展に出品したが、戦後は青甲社の解散後は無所属となった。

「遠矢」

遠矢は弓矢が主要な武器であった時代の射法。弓道のように的に向かって水平近くに構えるのではなく、遠くの敵に届くよう放物線を描くように射る方法だそうです。

黄色いワンピースにハイヒール、パーマのかかった髪型は当時流行の「モダンガール」スタイルです。「とても現代的(昭和10年発表当時の)な身なりの女性がはるか昔の戦場のスタイルで弓を射る」というモチーフの作品なのです。

作品についての個人的考察はこちら↓


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日本画を和菓子化

上生菓子が発展した江戸時代後半、京都では琳派に影響を受けたデザインの和菓子がたくさん沢山うまれました。ですので、日本画〜和菓子という流れは今に始まったことではございません。そんな中で、あくまでも「京都の和菓子」になるよう、忠実に再現することを追求しすぎたり、食欲がなくなるような派手な色味になったり、装飾的に盛りすぎたりといったことの無いように普段より心がけております。

今回テーマとさせていただきました作品を汚さぬよう、作品と合わせてお楽しみいただけましたら幸いでございます。

(今回は作品の著作権者の方にも快く許可いただきました。)

数量限定で販売中です

今後も夏、秋、冬とコレクションルームの展示に合わせて作品にインスパイアされて作る生菓子を販売させていただく予定です。

現在はカフェスペースにも展示をご予約いただいたお客様しか入ることができませんが、カフェスペースは本来は日常でもお使いいただけるような公開された空間になるそうです。

これまでにはなかった本格的なご飯やケーキやパフェもメニューにあり、また、ピクニックセットやサンドイッチのテイクアウト販売もされる予定です。

コーヒーは東京のCoffee Wrights、チョコレートはダンデライオンチョコレートなど、こだわりの食材が揃っております。僕も先日食べに行きましたが美味しかったです。

抹茶やほうじ茶や本格的な煎茶などもあります。コレクション展をご覧になったあとは、是非、余韻に浸りながらお楽しみくださいませ。

企画 ENFUSE

製作協力 京都市京セラ美術館コレクションルーム

和菓子製造 京菓子司 金谷正廣



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