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AISTSのキャリアサポートと仕事探し

マスターを修了した後どういった進路に進むのか。
大学院へ進む人、特に仕事を一度止めて留学する人にとってはけっこう気になるところだと思います。自分もそのひとりでした。

データや組織名は学校側も出していたりしますが、その歩みは一人ひとり違うもので、人との繋がりやタイミングと運にも左右されます。私は結果としてParis2024で働くことになったのですが、そこに至る経緯についてはこちらのnoteにまとめております。

今回は、他にどんな仕事探しをしていたかや、学校を通じて得られるサポートや出会いの機会、そんなことを書いていきたいと思います。


キャリア関連の授業とアドバイザーのサポート

キャリア関連の授業は不定期で実施してくれていて、幅広く基本的なところから理解することに役立ちました。

自分のセールスポイントや目標へたどり着くための考え方、業界の人材マーケット、短時間に自分をアピールするエレベーターピッチ、LinkedInの活用法、CVやレターの作成講座、など様々なテーマがあります。

繋がりやキャリアを知るという面では、4,5人の卒業生がクラスに来てくれて少人数で話を聞かせてもらえる機会が年に6,7回ほど、組織を訪問したときにランチなどで卒業生と交流する時間、xx周年パーティといった行事も有益でした。

AISTSには専任のキャリアアドバイザーが1人います。フルタイムではないのでキャンパスにいない日もありますが、親身に相談に乗ってくれたり、求人情報をクラスに展開してくれたりしています。他大学にあるキャリアセンターを利用したことがないので比較は出来ないですが、キャリアアドバイザーが卒業生やHR担当者から得ている信頼が圧倒的であることから、とても心強い存在でした。

メンターシッププログラムと模擬面接

AISTSでは、一人ひとりの成長を促したり相談できる人を見つけるためにメンターシッププログラムを実施しています。オンラインのプラットフォームを使い、経験や志向に応じて協力してくれている卒業生がリストアップされ、最終的には自分から選びます。

どう活用するか(目的、ミーティングの頻度や内容、直接会うか, etc)は自由に委ねられています。システム上でセッションの実施有無を管理することが出来、キャリアアドバイザーもセッションの振り返りなどを閲覧することが出来ます。

私はドイツ人のヨハンにお願いをし、月1回ほどのペースで4回ほどオンラインでセッションをさせてもらいました。初回に私の方から、生きていく上でありたい姿や叶えたい目標と卒業時の姿といったゴールを共有して、それに向けたアクションと前月の振り返りを月1回レポートする使い方をしました。必要に応じてアドバイスをもらえたり、身の回りのことを気軽に話せたのでありがたかったです。彼は今は来年開催されるEURO2024でボランティアマネージャーとして働いています。まだ直接会えた機会がないので、近いうちにお会いできたらいいな。

授業の他にも、プログラムの後半では模擬面接の機会があり、対面・オンラインの両方で実施しました。スイスを中心にスポーツ機関で働く卒業生が面接官になってくれ、事前にこちらが希望する求人(job description), CVとカバーレターを共有して当日1時間ほど実施します。

対面では手応えのある受け答えが出来るものの、オンラインだと反応が掴めず特に少し考えをめぐらせて答える質問には「間を開けすぎず分かりやすく答えなければ」と焦ってしまい難しさを感じました。オンラインで実際の面接を経験しましたが、入念な準備とシミュレーションをしたうえで場数を踏んでいくこと、自信がなくても自信たっぷりに答えることが大切だと学びました。

プログラム卒業生とのネットワーク

授業での関わりの他に、こちらからコンタクトを取ることでいろいろな卒業生に時間をもらって会わせてもらうことが出来ました。おかげで、FIFAやオリンピックの大会運営を詳しく理解することが出来て、それを面接で語るこ
とでインタビューでも活かすことが出来ました。

一方で「時間をもらっている」ことも忘れてはならないことを、友人が依頼を断られたケースから反面教師として学びました。目的を伝えて事前にきちんと調べ物をしてから臨むことはもちろんのこと、意味のない質問をしないことや相手のプライベートにズカズカと入っていかない節度、こちらの都合だけで会話を進めようとしない意識も必要です。

仕事においてもそうですが、こちらから相手の役に立てることはないかなど、せめて時間を割いて良かったと感じてもらえるように人との関係をつくっていきたいものです。この留学中も留学前もいろんな方にお世話になったので、私もこれからaistsで学ぶ人の役に立っていければいいなと思います。

ボランティア活動

ボランティアは大会の運営や各役割を学ぶために推奨されていて、5つほど応募しました。 うち3つは6月に行われたUEFAのクラブカテゴリーの決勝戦でしたが、人気が高かったのか、または地元の人が優先されているせいか面接へは進めず実施は叶いませんでした。

スペシャルオリンピックス(6月・ベルリン)の機会がありましたが、就職の手続きなどで見送りました。クラスメイトは参加国の選手団担当のポジションを務めたり良い経験をしていたので、UEFA含めて何もやれなかったのは残念でした。

IFへの就職の難しさとギャップ

この春私がしていた就職活動では、通常のジョブポジションに加えてUEFAやIOCのインターンへ応募しました。やっていて感じたのは、競争が本当に激しいこととタイミングの重要性。

ひとつのポジションに数百人がアプライするから難易度が高いことはHR担当者の話を聞いてもちろん理解していたし、落ちて元々の気持ちでIOCやFAFA, UEFA, それ同等の組織に13件応募しました。2件だけ書類が通って面接まで進めたものの、その他は書類選考さえ通すことが出来なかったのが現時点の現実でした。
出すだけと言いつつもCVやカバーレターはめちゃくちゃ時間をかけて作ったし、スポーツ組織で働いてきたのでどこかの選考には進めるだろうと期待をしていました。応募したあるポジションでは自分自身の経験が募集にマッチしておりアピール出来る点も多く、当該部署で働く卒業生から話を聞いてレターに盛り込んだりしましたが、それでも書類選考でダメだったのはとても悔しさを感じました。国際連盟や大陸連盟でポジションを得ることがいかに難易度が高いのかを痛感しました。

クラスでUEFAやFIFAを訪問した際には、組織が行う事業そのものに加えて、働く環境も紹介してもらい、「ここで働けたらエキサイティングな日々が過ごせるのかもしれない」と魅力的に映った。

その一方でキャリアイベントで出会った元UEFA勤務の人からは「イメージと現実のギャップが大きく仕事はつまらないと感じていた」と聞いて、そう感じる人もいることを知った。外からは良く見えても、ギャップを感じる人がいたり、実際に働いてみないと分からないのは日本での新卒入社や転職するとき同様なんだなと知った。もちろん、同じような環境やミッションの組織で働いたり、仕事を一緒にした経験を積み重ねていったり、身近な人が働いていればそのギャップというのは小さくすることは出来るのだと思う。

少しずつ卒業生との交流を中心にIFや魅力的なスポーツ組織で働く人との繋がりを持てて来て、またクラスメイトもこれから様々な場所へ飛び出していくので、交流を大切にしながら業界のことをもっと知っていきたいと思います。