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見捨てられ不安の強い人と関わるには「変わらないこと」が大事

これまでの記事の中でも「0-100思考」について何度か書いてきました。
「全か無か思考(all-or-nothing thinking)」とも言います。
 
最近では3つ前の記事『「0-100思考」になりやすい人の特徴』で、ハイコントラスト知覚特性が0-100思考に影響しているのではないかという内容を書いています。
 
今回は、切り口を変えて、見捨てられ不安が強い人のスプリッティングという現象から0-100思考を説明したいと思います。
見捨てられ不安が強い人と関わるポイントも書きますので、どうぞ最後までお読みください。



スプリッティング(分裂)についてまず説明します。
 
子どもが親の良い面と悪い面を一人の人間として統合できていない状態を言います。
 
赤ちゃんは養育者である親の庇護がないと生きていけませんよね。
でも常に親が自分の欲求をタイミングよくちゃんと満足させてくれるとも限りません。
 
そこで満足させてくれる親の側面(良い対象)と、満足させてくれない親の側面(悪い対象)を認識するわけです。
当然誰にでも良い側面と悪い側面があります。
 
ですが、時には悪い側面が出つつも、親には基本的に一貫してわが子を守ろうという態度があります。
すると、子は安定して自分を守ってくれる存在として親を認識できるようになります。
良い側面と悪い側面もあるけど、自分を味方してくれる一人の人間として統合されていくのです。
 
 
しかしながら、何らかの理由で養育者である親が安定にかけていたり、子に統合する力がなかったりした場合に良い側面と悪い側面が分裂したままになってしまうのです。
 
その状態は、子から見ると親は時には良く時には悪く急変し、別人のように映るのです。
 
そして、スプリッティングのままでは、大人になってからも不安定な対人関係パターンが続きます。
一人の人間を善か悪かと二極化して見てしまいます。
 
自分を助けてくれる理想的な人だと思って敬意を持っていたかと思うと、少しでもそっけない態度や悪い面を見つけたら、自分は見捨てられたと感じて、相手を極端にこき下ろしていきます。
 
そのために安定した対人関係が築きにくいのです。
 
 
それでは、そのような0-100思考で見捨てられ不安の強い人と関わるうえで大切なポイントについてです。
 
それは、「変わらない」ということです。
 
見捨てられ不安がある人は、気分や周囲への態度がめまぐるしく変化します。
気分が良い時は周りの人間をすばらしい存在と感じますが、思い通りにならないと途端に気分が最悪になり怒りを表すこともあります。
 
大切なのは良い時も悪い時も一定の態度で接することです。
 
良くないパターンは、最初のうちは本人のことを助けようと熱心に話を聞いて一気に盛り上がるのですが、本人がだんだん依存的になり関係や助けを求めてくるため、疲れてしまい途中で投げ出したり突き放したりしてしまうことです。
 
一番傷つくのは本人で、結局人は最後には自分を見捨てるのだという人間観を持ってしまうのです。
調子よく本人に合わせようとしないこと。
 
長く変わらない気持ちで接し続ける人がいたということを身をもって体験すること、それが何よりも支えになります。
 
細く長く一貫した態度でつながり続けることが大切です。
 
 
 
今回は、スプリッティングという心理現象が対人関係における0-100思考を生みやすいこと、そして変わらない一貫した態度で細く長く関わることが支えになるという話をしました。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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