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第7回 当時者with専門家が『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』を読む【返金OK・ワンコイン】

本サマリーは、日本うつ病学会双極性障害委員会の『双極性障害(躁うつ病)とつきあうために』(ver.9 2019年7月5日)について解説したもので、枠線内グレー部分はテキストを引用しています。
制作
窓師(薬剤師、双極性障害、ADHD)、布団ちゃん(公認心理師、社会福祉士)
ネット心理教育研究会

第4章 双極性障害に対する、薬物療法以外の治療法~心理療法を中心に~

1. 最近はけいれんさせない?!電気けいれん療法

まずは心理療法でも薬物療法でもない、電気けいれん療法について紹介します。
電気けいれん療法(ECT)では、頭に通電してけいれんを誘発することによって、症状の改善を図ります。うつ状態に対してかなり高い有効性を持っており、躁状態にも有効とされています。

副作用としては、一過性の頭痛と、記憶障害などがあります。記憶障害は、数週間のうちに大抵治るといわれていますが、副作用として起こる頻度が高く、大きな問題です。

安全性や副作用の側面から、現在では、麻酔をした上で筋弛緩剤を投与してから通電する方法で、けいれんを起こさないECTが推奨されています。
けいれんを起こさないECTにおいても、麻酔を用いることによるリスクもありますので、医師からよく説明を受ける必要があります。

対象は、妄想や自殺念慮、焦燥などが強く現れている重度のうつ状態の患者です。食べ物も食べられずに低栄養状態になっているなどの身体的問題が切迫している場合にも適応となるでしょう。抗うつ薬よりも効果が早く現れ、有効性も高いので、抗うつ薬が効かない難治性のうつ状態が長引いている場合にも使うこともあります。

2.躁やうつのきっかけと心理療法の効果

ではいよいよ、今回の内容の本題である心理療法についてです。

双極性障害に対しては薬物療法が不可欠ですが、心理療法を併用することによってその効果をさらに高めることができます。

双極性障害の患者に新たに躁やうつの波が起こる要因としては、(1)生活・社会リズムの乱れ、(2)ストレス、(3)薬を飲まなくなることがあります。

(1)「生活・社会リズムの乱れ」とは、何らかの出来事や変化のため、生活のリズムが乱れることを指します。双極性障害では規則正しい生活リズムを守ることが重要です。
※「社会リズム」については後述します。

(2)「ストレス」では、トラブルや変化など、ストレスの多い出来事は、どの精神疾患にとっても悪化のきっかけになります。双極性障害の場合、ストレスそのものが精神的に辛いことに加えて、ストレスによって生活・社会リズムが乱れることも悪化の要因になります。

(3)「薬を飲まなくなること」を防止するためには、ずっと薬を飲み続けることの必要性を納得することが必要です。それが出来ていないと、例えば周りから言われたり、副作用が気になっていたりなどの要因で、決められた通りに薬を飲まなくなってしまう可能性があります。

双極性障害では薬物療法がその治療の中心ですが、心理療法によって、この(1)~(3)の要因を改善する事ができます。

双極性障害では、1980年代に入るまでは薬物療法をよくするための研究が中心的になされてきました。その一方で心理療法は、研究しづらいという理由や、薬物療法の研究への注目に押されて、ほとんど関心が払われてこなかったのが現状です。

しかし、心理的なストレスや環境への不適応は、双極性障害の悪化や発症、再発につながります。加えて、双極性障害であるということのストレスによって症状を悪化させるという悪循環もあり、その改善を目指す心理療法は、薬物療法と並んで重要な治療です。

現在、心理療法が双極性障害の予防などに効果があることは、多くの研究によって明らかになりつつあります。

このnoteでは、双極性障害に効果のあるとされる4種類の心理療法を簡単にまとめた内容や、どのように双極性障害の要因にアプローチするのかを示していきます。

3.双極性障害にはこの4つの心理療法!

<※パンフレットには載っていない内容です>

心理療法には沢山の種類がありますが、双極性障害に効果があるとされているのはこのスライドに書かれた4つです。
パンフレットで紹介されていた「2.対人関係・社会リズム療法」に加え、双極性障害では、1.心理教育、3.家族に対する心理教育、4.認知行動療法が有効です。

1.疾患についての理解を深める「心理教育」は、他の3つの心理療法にも含まれており、重要な位置を占めています。
2~3の心理療法は、心理教育プラスアルファで、プラスアルファの「力を入れている部分」はそれぞれ違います。

「対人関係・社会リズム療法」では、「規則正しい生活リズムと、対人関係で周りの人から受ける刺激」に注目しています。
「家族に対処する心理教育」では「家族との関係」に力を入れています。
「認知行動療法」は躁やうつの原因になる、考えの歪みに気付き修正することを中心にした心理療法です。

4.心理療法には科学的に根拠がある!

<※パンフレットには載っていない内容です>

双極性障害に効果のあることが分かっている4つの心理療法ですが、そのなかでも双極性障害のどの部分に効果があるのかを示したのがこのスライドです。

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