iwabuchishinpu/詩吟神風流

詩吟とは、先人が遺した漢詩や和歌を日本古来の節で吟詠する日本の伝統芸術です。詩吟教室を…

iwabuchishinpu/詩吟神風流

詩吟とは、先人が遺した漢詩や和歌を日本古来の節で吟詠する日本の伝統芸術です。詩吟教室を主宰し、古典としての詩吟の普及に努めています。詩吟教室で紹介したものや過去にブログで書いたものを再編するためにnoteを始めました。 詩吟教室@東日本橋、自由が丘、荻窪、川口

最近の記事

おもしろきこともなき世をおもしろく

幕末の勤皇の志士 高杉晋作の言葉です。 「おもしろきことなき世をおもしろく」 「おもしろくない世の中をおもしろく生きるためにはどのように考えたらよいのか?」 それに対して、勤皇家として知られる野村望東尼が下の句を続け、句が完成したといわれています。 「すみなすものは心なりけり」 どのような世の中であっても、自分の心の持ち方で変わるのだと。 おもしろきこともなき世をおもしろく(上の句) すみなすものは心なりけり(下の句) 今の時代にも響く言葉です。 高杉晋作は約400

    • 春爛漫

      春宵一刻直千金昼間は子供たちの声で賑わった公園は、夜は静かだ。 春の夜の一刻は千金に直する。 北宋の詩人蘇軾は、漢詩「春夜」にて実に上手いことを言ったと思います。 4月の詩吟教室では、春の夜が美しいこの時期に味わいたい詩吟を取り上げました。 春夜 蘇軾 <白文> 春宵一刻直千金 花有清香月有陰 歌管楼台声細細 鞦韆院落夜沈沈 春宵一刻直千金 <書き下し文> 花に清香有り 月に陰有り 歌管楼台 声細細 鞦韆(しゅうせん)院落 夜沈沈  <通釈> 春の夜は、ひととき

      • 春風

        木々が芽吹き、色とりどりの草花が咲いています。 木々の間に群生している草花(写真)はダイコンの花のようですが、調べてみるとショカッサイというアブラナ科の一年草のようです。 春風は、草花を咲かせ、木々の下をも一面に紫色の絨毯に変えてくれます。 白居易(白楽天)は、そんな春風に詩の中で優しく語りかけているように思います。春の訪れを感じさせる白居易の「春風」は優しい詩風です。 詩吟の節調も綺麗なので、教室でも人気があります。  春風  白楽天 <白文> 一枝先発苑中梅 桜杏桃

        • 春を感じて

          春を探る  古来より春を題材にした詩歌は多くありますが、春が感じられるようになる早春の時期の取り上げたい詩吟を紹介します。一つは、宋の時代の詩人戴益の「春を探る」です。 春を探る 戴益 <白文> 尽日尋春不見春  杖藜踏破幾重雲 帰来試把梅梢看 春在枝頭已十分 <書き下し文> 尽日 春を尋ねて 春を見ず  杖藜 踏破す 幾重の雲 帰り来たって試みに 梅梢を把って 看れば 春は 枝頭に在りて 已に十分 <意訳> 一日中、春はどこにあるか探してみた。 幾重もの雲を見なが