「クリエイティブ人事」 読書メモ

「著者」
曽山晢人(サイバーエージェント人事部長)
金井壽宏(神戸大学大学院経営学研究科教授)

人事のパフォーマンスが変われば、会社の業績が変わる。
なぜなら、人事は働く人たちの生産性を向上させるための部署だから。

人事は、価値を提供するサーバントリーダー(奉仕型)になる
なんの業務をやっています、といったやれることを語るのではなく、どんな価値を働く社員に提供しているかを考えることが大切。
一人ひとりの社員がよりよい働き方ができるようなサービス機能を果たせているかどうかは、人事にとって大切な問いになる。


新制度の計画
新しい人事制度を企画するときは、事前に社員に対して入念なヒアリングをし、社員がしらけてしまわないかをチェックする。
その制度を家族や友人に自慢できるようにネーミングにもこだわっている。


制度をつくるうえで平等性は追求しない
平等性にとらわれすぎると、一人一人が持っている才能を認めないことになり、手を上げた社員に誰でもチャンスを与えることは大事だが、人事は平等だけでは成り立たないと思っている。


最初に作った3つの育成プログラム(営業担当者向け)
「一人前チェックリスト」
A4用紙に一人前と呼べる営業マンが身につけるべき基礎的な習慣、知識項目(例:日経新聞を読んでいる)が書かれていて、できるようになった人は上司や先輩にスタンプを押してもらう。

「トゥギャザートレーナー制度」
2年目が1年目を育成し、2年目は自分の成長機会とする。

「飲み会を頻繁に開催」
新しい人が入ってくる度に懇親会を開き、経営陣と社員の懇親会も定期的に実施。社員が会社に馴染む「溶け込まし」は、社員同士が話し合って親しくなる機会を増やすしかない。


制度は計画が二割、運用が八割
運用しやすい制度は社内に浸透する。
逆に、いくら良くできた制度でも、現場でうまく運用されなければ長続きはいしない。


人事本部のミッションは、
会社の「コミュニケーション・エンジン」になること

人事は経営陣の考えを「わかりやすく」噛み砕いて現場に伝えるとともに、現場から上がってくる声の中から「本質」を見抜いて経営陣に提言していく必要がある。
つまり、経営陣と現場の間に立って「翻訳者」や「通訳」のような役割を担うことになる。


人事は単に、伝言ゲームの中継役を努めることではない
経営陣から発信されるメッセージは、たいてい抽象的なもので、それをわかりやすく現場に伝えることは難しいもの。
あらかじめ経営陣に目指す成果の定義についての同意を得ておき、抽象的な要求を具体的な仕掛けに変えて、現場に落としていくために人事は存在する。


それが人事の仕事かどうかは関係ない
現場で働く社員にとっての障害が見つかったら、直ちに排除するという姿勢も大事にしている。
「職場のパソコンが重い」という社員がいたら、出来るだけ速やかにパソコンを取り替えてあげられるよう、手配を手伝う。
社員のやる気と生産性を高め、会社の業績をあげるのが人事の仕事で、一人でもパソコンで困っている社員がいれば、翌日には必ず担当の部署に連絡し、交換をお願いするようにしている。


新入社員を活性化させる仕組み
「自己紹介ビデオの作成」
同期としての結束を固めてもらうために、内定者を5人1組ぐらいに分けてチームごとに作成してもらう。
作成したビデオを全役員と採用チームの代表の前で上映し、投票で順位を決める。順位はその夜の懇親会で発表する。
「配属希望」
新人は配属希望を出すことができ、本人のやる気を行かせること、配属先で苦労したとしても踏ん張りが効くようにするメリットがある。
「弟子入り」
研修前の時期に自分が配属を希望していない部署に2日間、先輩にくっついて行動することができる。
自分の配属されない部署がどんなところかが分かり、視野の拡大になる。


マネジャーの育成
3ヶ月に1回、新任マネジャー研修を開き、その間にマネジャーに昇格した人のトレーニングをする。
事業部長クラスの体験談に耳を傾けたり、法務・労務の知識を学んだり、部下の面談の仕方を身につけてもらったりするほか、「マネジャーの役割」について考えてもらう。


人事制度は自社の「なりわい」に合わせてつくる
産業分野の違う会社で作られた制度は、いくらそれが優れたものであっても、自分たちの会社ではうまく定着しない可能性が高い。
制度の中身そのものというよりは、制度が導入される「前と後の話」に知る価値を見出し、自分たちの会社に当てはめて考えてみると良い。


読み終えて
多くの社員と接し、会社の人事制度をつくれる人事部こそクリエイティブ出なくてはならない、そう感じた。

現場社員はよく顧客と会社(業績)の板挟みに合うことが多いが、
人事部も会社と社員の板挟みに合いながら汗を流す姿勢を見せないと、
社員も動いてくれないんじゃないかと。

経営層との対話、社員との対話、ビジョンや課題を実現するための
思考&試行を止めないことが大切になると痛感した。
人事部で働かれている方はぜひ読んでみてくさい。

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