『戦略人事のビジョン』 読書メモ

「著者」
八木洋介:LIXILグループ執行役副社長、日本GEでHRリーダーなどを務める。
金井壽宏:神戸大学大学院経営学研究科教授、人の発達や心理的側面に注目し研究を行っている。


「人事部の仕事は経営の質を高めること」
HP創業者ビル、ヒューレット

人事の仕事に携わる人は、「言葉の魔術師」たるべき。
人が実践に裏打ちされた言葉を発する時、その言葉は魔術として機能する。
社員のやる気を高めるために人事の仕事はあるのだと確信している。
なぜなら、人間ほど生産性が飛躍的に向上する経営資源はないから。
人がやる気を出せば、その生産性は五倍にも十倍にも跳ね上がる。
逆に、やる気を無くせば、その生産性はゼロにまで落ちることもある。
仕事がすべてではない
社員に向かって「もっと休もう」と言うことはあっても、「もっと働け」とはけっして言わない。
そうやって、社員や組織にはたらきかけ、それぞれが最高のパフォーマンスが出せる状態をつくっていくことが、人事の大切な役割。
本当の「人事の力」
人事担当者にとってのリーダーシップとは、権限ではなく見識をもち、正しいことを正しく主張すること。
その場合の正しいこととは、ストーリー化した戦略であり、企業が業績を上げて成長していく大きな絵であり、あるいは世の中の変化に合わせて会社に起こすべき変革の道筋であり、そういう事柄を社員に対して真髄に語りかけ、会社が目指していく方向に向かって人々を巻き込んでいく。
正しい方向に向かっていける可能性を高くすること
大事なことは、「過去」からの継続性にとらわれず、「現在」の自分が正しいと信じることを実行に移すこと。
そうすれば、自ずと努力と学習につながっていくため。
時代は変わる、人も変わる、だからこそ、努力と学習を怠らないようにし、「現在」の自分が最も正しいと思えることを正しくやっていくのだという気になれる。
「人事のプロ」
経営の目線で人事をし、人事の目線で経営をするのが真の人事担当者。
「仕事」と「作業」の違い
最高のパフォーマンスを出している人は、自分の時間と仕事をする時間のバランスをちゃんと取っている。
そうやって、自分の暮らしや家族を大切にし、人生を豊かにする時間、経験をより幅広く生かすために考える時間をもつことで、仕事の生産性を上げている。
考えないでする仕事は「作業」であり、そういう働き方をしていても、学んでいることにはならない。
チェンジを起こしたかったら、
賛成してくれる人を増やすより、反対する人を減らせ

変革を急激に推し進めようとすると、賛成する人も出てくるけれども、多くの反対者も生み出してしまう。
だから、変革はじわじわと、反対者が多く出ないように気をつけながら進めるべき。
人事の仕事に携わる人たちは必ずリーダーでなければならない
リーダー研修などの最中に「お前ら人事に、リーダーシップがどうとか言われたくないよ」と社員から言われた際、自分もまたリーダーの一人であり、だからリーダーを育てられるのだと、受講者に堂々と言い返せることが大切になる。
軸づくりの流れ
「identify」
自分が大事にしている価値観やこだわりや哲学を軸として識別する段階
「live with」
努力してその軸に従って生きていくプロセス
「personalize」
軸が自分の身につき、自然にそれに従って生きられるようになる状態
あるいは、自分なりの確固たる持論を持つ状態
自分の軸を見つけるヒント
「過去に自分で下した決断を思い出す」
人は、生きていれば必ず、何らかの決断を下さなければいけない事態に直面する。
自分が下した決断には、軸を見つけ出すヒントが隠れている。
その決断には、自分が大切にしている何かが反映されているから。
その何かが見つかれば、それは「自分の軸」になりえる。
人事は、「きれいごと」を通す仕事
会社でおかしいと思うことがあったら、上司に対しても、あるいは社長に対してでも、口に出して主張すべき。
そうすれば、社内で多くの味方も得られるようになる。
なぜなら、社内にいる多くの人は普通の人であり、普通の人は正しいことが大好きだから。
逃げてもかまわない
組織のプレッシャーに潰されたり、自分に負けたりした時には逃げてもかまわない。
その代わり、逃げているときは、逃げている自分を意識すること。
その意識があれば、いつか逃げないで問題に立ち向かえる日がくる。
そのために、今は力をつけておけば良い。

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