『日本一働きたい会社のつくりかた』 読書メモ

著者:羽田幸広
(株)LIFULL 執行役員人事本部長 ※出版時

人事部としての基本的な考え方
自分がやってもらって嬉しいことをやり、やられたら嫌な事は控える。
また、できるだけやらされ仕事ではなく、自分の意思で仕事ができる環境を作った方が良い。
そして、一緒にいたくないと思う人より一緒にいたいと思う人と働いた方が楽しいという考え方。
社員がオーナーシップを持つ仕組み
一般的には経営陣やマネージャー、担当部門が検討して進めていくような事案でも、当社では社員とともに考えるプロセスを大切にし、社員発案のプロジェクトを重視している。
組織の社員のポテンシャルを可能な限り発揮してもらうために
その組織が目指すものとそれを目指す理由を、全員に明示して受容してもらうこと。そして全員がその1点に対し、ブレずに全力を出し切れるようにすることが重要になる。
各部署のビジョンを策定する『ビジョンツリー』
原則、メンバー全員で話し合って決めることを推奨することで、会社から与えられたビジョンではなく、私たちのビジョンになる。
自分たちで考えたビジョンであればそれを実現するために、どのような戦略を立てて実行していけば良いか、主体的に自分の頭で考えるようになる。
事実に基づいて手を打つ
「あなたの所属部門のビジョンの実行道を選択してください」と言う設問に対し、
・知らない
・覚えている
・理解している
・共感している
・実行できている
の5つの選択肢から該当するものを選んでもらい、対策を講じる。
経営理念を実現するための内発的動機付けと心理的安全
内発的動機付けとは、「これをやりたい」とか「こうなりたい」と言うような欲求のこと。
積極的に挑戦する文化が醸成されているのは、社員の内発的動機付けを重視していることから。
心理的安全の確保とは、社員が上司や他のメンバーに対し、自分の考えや感情を素直に伝えることができ、間違ったことや反対意見を述べても安全だと感じられる雰囲気のこと。
部署異動は社員の希望を優先
会社からの一方的な指示による職種の変更を伴う、ジョブローテーションは原則行っていない。
社会貢献も会社が支援
ボランティアのような社会貢献活動をしたい社員に対して特別に有給休暇を付与し、その活動に参加するにあたっての交通費等の実費を支援するもの。
薩摩の教えを大切にしている。(人の価値は以下の順番で決まる)
⑴何かに挑戦し、成功した人
⑵何かに挑戦し、失敗した人
⑶自ら挑戦していないが、挑戦した人を手助けした人、
⑷何もしなかった人
⑸何もせず、他人の批判だけをする人
中途入社、派遣社員にも入社式を開催
中途入社者の入社式は月に1回行っており、入社者人一人の自己紹介と、入社の意気込みを語ってもらう時間を取っている。
ビジョンシェアリング
社長が講師となり社是・経営理念・ガイドラインの意味や大切さについて新入社員に伝える場としている。
社長自らが2時間かけて文言を読み、どう感じるかを参加者に聞きながら、その意味を伝えていく。
入社3ヶ月後面談
最大の目的は、入社前と入社後のギャップを埋めること。
社員から聞いた話は、その社員が伝えてほしくないと言えば人事部限りとして、他の役員や上司には伝えない。
反対に、役員には伝えて良いという許可を得た社員の生の声は、組織の”温度”が分かるように編集せずに伝えている。
エントリーサポートプログラム『START』
(支援、信頼を構築、惹きつける、頼もしい、一緒に考える)
新卒、中途入社に関わらず、新入社員とサポーター(別部署で同職種)がランチや夕食に誘い、上司には聞きにくい疑問に答えたり、先輩のキャリアについて詳しく聞いたりと、普段の仕事ではなかなか聞くことのできない内容も話せることが趣旨となっている。
サポート期間は6ヶ月で食事代は会社が負担する。
「70:20:10の法則」
仕事で成長した経験について聞くと下記の割合になるという。
実際の仕事の経験:70%
上司や先輩からの薫陶:20%
研修などの座学:10%
そのため、人材育成で最も重視するのは、良質な経験を絶え間なく提供することになる。
業務外の経験もできる「ネクスト大学」
ネクスト大学は大きく3つのコースで構成されている。
①必須プログラム:全社員が必ず受講する
会社が主導する研修はなるべく少ない方が良いという観点から、必須プログラムの数はなるべく少なくしている。
なぜなら、成長というのは周りが”させる”ものではなく、自分で”する”ものだから。
そのため、必要最低限これだけは抑えて欲しいもの、会社の共通言語として知ってもらった方が生産性が高まるものとしている。(クリティカルシンキング、マーケティング、ファシリテーション、マネジメントなど)
②選抜プログラム:次世代の経営者を育成する
③選択プログラム:自身で受講する講座を選べる
共通として”リフレクション(内省)”を取り入れている。
学んだことは習慣化しないと意味がなく、以下の4つのプロセスがある。
①無意識無能(知らないのでできない)
②意識無能(やってみようと意識してもできない)
③意識有能(意識すればできる)
④無意識有能(意識しなくてもできる)

研修後に内省できる仕掛けをいくつか取り入れると効果的になり、
受講後、数ヶ月後に振り返りのためのプログラムを実施したり、本人と上司が定期的にチェックリストで習慣化しているかを確認するものがある。
役員というハードルを乗り越えた時
価値観を変えるには、それが重要だとわかってもらう必要がある。
「ニュースをしつこく送りつけてその重要性を理解してもらう」
・経営における働きがいの重要性
・役員が憧れている企業の人事の先進的な取り組み
・内発的動機付けの効果 など

「役員勉強会」を開催して経営者や専門家などから情報を得る
・役員が尊敬している人や話を聞いてみたい人を招く。
「徳盛んなるは官を盛んにし、攻盛んなるは賞を盛んにする」
昇進と昇格の考え方は、中国最古の歴史書『書経』の一節と同じ。
人格者にはポジションと等級で報い、成果を上げた人間には賞与で報いるということ。

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