【右脳めし】確かに、こんなのがあったらイイね|古本屋台(漫画)
ストーリー
夜更けになると、どこからともなく現れる赤提灯のついた屋台。その屋台に並ぶのは、焼き鳥でもなければ、おでんでもない。古本だ。品揃えはベストセラーとは無関係のものばかり。しかし、本好きにはたまらない珍本奇本が並ぶ。
主人公は本好きの中年男性。渋くて味のある屋台と店のオヤジの雰囲気に惹かれ、仕事帰りについつい立ち寄ってしまう。1杯100円でつけてくれる焼酎も楽しみの1つ。ただし、焼酎は1人1杯でお代わりはナシ。
「うちは飲み屋じゃないからね」
オヤジのぶっきらぼうな応対が、主人公には最高のツマミだった。
こんなのあったらいいな、が形になる
古本屋台の作者はQ.B.B。Q.B.Bは誰かと思ったら、「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんと実弟のイラストレーター久住卓也さんの兄弟ユニットでした。
漫画は1話2ページの読み切りですが、1話1話の間に時間経過があり、四季の移り変わりも描かれています。
夏は客用の団扇を出したり、冬は防寒用のカーテンが取り付けられていたり。
店のオヤジや常連客と古本談義に花を咲かせることもありますが、毎話、古本を紹介する訳ではありません。酔っ払って立ち寄った時にオヤジに追い返されたり、いつもの場所に屋台が出ていないこともあります。
言うなれば、主人公から見た”古本屋台にまつわる情景”が描かれています。
印象的なのは、古本屋台に立ち寄る主人公の楽しそうな姿です。
読み進めるほど、古本よりも古本屋台そのもののファンになっていきます。
主人公にとって、こんなのがあったらいいな、が形になっているようでした。
きっと作者も、主人公と同様に「こんなのがあったらいいな」を楽しみながら作られていたのだと思います。
優れたガジェットは、魅力的な世界を生む
ガジェット(gadget)は、ストーリー上の小道具や仕掛けのこと。
例えば、漫画「ドラゴンボール」のドラゴンボールも”ガジェット”です。
「ドラゴンボール」もそうですが、「古本屋台」も優れたガジェットが魅力的な世界を生み出す好例になっています。
もしも「古本屋台」と言うものが存在したら、店主はどんな人だろうか。
赤提灯がついているのに古本を売っていたら、普通の人はどう思うのか。
本好きの客は店主とどんな会話を交わし、常連同士はどんな会話を交わすのか。
実際にはないけれど、いかにもありえそうな世界観が広がっていきます。
世界観が自然と広がっていくガジェットほど、優れたものはありません。
今回は「古本屋台」という実際には存在しなものを、「古本」と「屋台」という、それぞれ存在しているものを掛け合わせたことで生まれたガジェットです。
この「存在するもの同士を掛け合わせる」という方法は「実際にはないけれど、いかにもありえそうな世界観ありえそうな世界を生み出す」ガジェット創作方法の1つです。
この方法は誰にでもできる簡単なものですが、良いガジェットはそう簡単には生まれません。
以前、何百という単語をランダムで組み合わせる実験をしたことがあるのですが、世界観が広がるようなガジェットは生まれませんでした(^_^;)
優れたガジェットを生み出したい時は、右脳めしとインスピレーションを使って、地道に生み出す方法をオススメします。
右脳めしとは?
右脳が司る「感性」や「創造力」の栄養源となるコンテンツのことです。
東雲創作堂ではクリエイターの力となる様々な右脳めしを紹介しています。
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