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物語綴り

91
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2024年1月の記事一覧

街を歩けば
至る所に
寂れてしまった場所が

時間の流れとともに
活気を失った場所もあれば
以前からそうだった場所も

それはこの街の過疎化を
意味しているけれど

その寂しげな雰囲気が
居心地の良いものであったりする

今日も以前とは変わってしまった
場所に赴いた

街の音を聞く

街の音を聞く

車の音
誰かの話し声
風の音

生活をしている音の中を歩く

黙々とただ歩く

どこかのお家で料理をしているにほひ
いつかきっとこの何気ない日が
人生を彩る1ページとなる

何度忘れようとも
私はきっと想いだす

それが刻まれたものだとするならば

消えないなにか

消えないなにか

風にはためく洗濯物が
誰かを想起させる

それは想い人かもしれないし
古い記憶の中の誰かかも
もしくはどこかで印象に残った
名前を知らない人かもしれない