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物語綴り

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2023年7月の記事一覧

夏の宵

夏の宵

茹だるような暑さが少しおさまる宵の時。

仕事が終わって、家に帰れば窓から見える空の色。
美しく広がる淡い色の移り変わりに、
さっきまであった心のささくれが、
一気に取り払われる。

いつものようにビールを煽って
アルコールで今日の出来事を取り払うのは
少しもったいなく感じて、夜の帳が下りていくのを
眺めながら、穏やかに吹くかぜに揺られてみる。

「迷子」

ぐるぐると道を歩く
どこに向かっているのか
どこに進みたいのか

そんなことはいつの間にか
わからなくなっていた

ただただ歩く

過ぎゆく景色に目をくれず

ぼんやりと進みゆく

行き着く先を決めずに
思うがまま
あるがままに