【コラボ小説「ただよふ」番外編】陸《おか》で休む 5 (「澪標」シリーズより)
「もう、大抵のことでは驚かないと思っていたけれど、航が脳梗塞で倒れたということと、再婚するということを同時に知らされた時は、寿命が30年縮んたわ……」
母はふぅと溜め息を吐いた。
「え…母さん何歳まで生きるつもりなの?」
僕は驚きを隠せなかった。母は既に90代である。
「もちろん、人類が生きられる限界までよ。洋さんが生きられなかった分、たくさん見て聞いて、私の人生の航海が終わった時に、あの人に教えてあげるの!」
母の目は恋する女性のものだった。
「お母さま、航さんのお父