【コラボ小説】ただよふ 16(「澪標」より)
ダイヤモンド・プリンセス号内で発生した新型コロナウイルスの集団感染が報じられた時、僕は客船で働いている弟の千洋のことが心配になって、電話をかけた。
「俺が働いている船では陽性者は出ていないけど、風評被害で予約がキャンセルになって、休みの日が増えたよ。」
弟は僕に心配かけまいと思ったのか、不自然なほど声が明るかった。
「千洋、大丈夫?僕に出来ることがあったら、言ってね?」
「あ~、兄さん。俺はもういい大人だよ?何でも背負い込もうとするの兄さんの悪い癖!…でも」
弟は言葉を