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篠村友輝哉/YukiyaShinomura
2024年1月10日 11:32
暗く鋭い光を湛えた音が、こちらの呼吸からはもちろん、楽譜に記された拍節からさえも離れた時空間のなかに閃いて、そこに佇み、その音を閃かせているただ一人の彼に向けて歌っている。背景におぼろに響く左手の和音を伴って途切れ途切れに閃くその歌は、こちらに開かれていないだけではなく、こちらから安易に立ち入ったり、寄り添うことをも決して許さない、冷たい厳しさに耐えている。冴え冴えとしたその音は同時に柔らかさを