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オカえもんの休日 ~子育てリーグ(後編)~

はじめに

 「オカえもん」の世界は、現実世界とは似ているけど別物だよ!
 「オカえもん」の世界と現実世界との区別が付かなくなったり、気分が悪くなったりしたら、インターネットを閉じてゆっくり休んでね!
 このことだけは、オカえもんとの約束だよ!
 それでは本編、はじまりはじまり~!

子育てリーグ(後編)

 「あーっと、観客席から何か投げられたぞ!?」
 「ヒートアップしていたのは観客席もでしたか……」

 観客席から大声が聞こえる。
 「俺はお前に負けた相手だよ! ここまで来て賞金を折半して逃げるなんて、許したくても許せねえからな」
 「そうだよ! うちの子どももとんでもない目に遭ったから、いい加減に決着をつけてくれよ」
 「何か分からないけど、お互いに頑張ってー!」

 「観客が次々に何かを投下していくー!」
 「包装されたままで、中身が分からないですね。川藤さん、ここは逃げたほうがy」

 川藤はマイクを切り、鮫田に囁く。
 「だから、バラすよ?」
 「……分かりました、このまま解説を続けますね」

 「あーっと、佐藤選手が包み紙を強引に開けていくー!」
 「中身が気になりますね」
 「コレは……包丁だ! どうやら取り合いになりそうだ!」
 「傍観者が無責任に憎悪を煽る典型例ですね。まあ武器を取って行動に移してしまったら、その方にも責任が生じてしまいますけどね」
 「そして観客席の皆さんが、次々と両陣営に武器を提供しているーーー!!!」
 「全員他人事ですね。やっぱり集団心理って怖いですね」

 「1000万……1000万……!」
 「佐藤くん、やめてくれ! 賞金、折半しようよ!」
 「家の借金を返済したくてさ……どうしても1000万円必要なんだよね」
 「うわ……助けて! お父さん! お母さん!」

 グサッ。

 「あーっと!!! 田中選手の上半身から鮮血が噴き上がるーーー!!!」
 「もうノーコメントでお願いします」
 「コレは佐藤選手の勝利だ……ん!?」

 佐藤は真顔で、ゆっくりと実況席へと向かっていく。

 「俺……思い出したんだ……。お母さんに散々男の悪口言われたこと。そのせいでさ、俺……女が全員嫌いになったんだよね。だからさ、鮫田さん。アンタも死んでよ」

 グサッ。
 「生まれ変わったら……私、鮫田が母親に……なりたいです……」
 「あーっと、鮫田さんの首にも包丁が突き刺さるー! これは大惨事だー!」
 「お前も目の前で死人が出てるのに、よく他人事でいられるよな」

 グサッ。
 実況席からの声は、もう聞こえなくなった。

 「別に僕じゃなくても良いんです! どうして貴方達はもっと誰かに頼らなかったんですか!」
 オカえもんはそう心のなかで叫ぶと、パソコンの電源を5秒押して強制終了した。
 それでも冷静になれないオカえもんは、冷めきった苦いコーヒーを一気に飲み干す。
 「ああ、嫌なモノを見ましたね……。そういえば電球が切れていたので、電気屋にでも寄ってきますか……」
 オカえもんは行きつけの電気屋へと向かった。

 「やっぱり電球にも色々あって、見ていて興味をそそられますね……。 ん?」
 電気屋のテレビにはニュース速報が流れていた。

 「臨時ニュースをお伝えします。本日午後5時頃、国明コロシアムから『毒ガスが漏れている』と119番通報がありました。この事故により、第16小ホールにいた119人全員の死亡が確認されました。なお、ナイフで刺されたと見られる遺体も発見されており、警察は詳しい動機を調べています」

おわり。

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