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60年でSECI6回転のシマノに学ぶSECIモデルを回す実践知 #ワイズカンパニー #SECI #世界標準の経営理論

どもっ、しのジャッキーです。本記事は、知識の創造の理論である「SECIモデル」に関する個人的な学びをアウトプットする一連の記事の第7弾です。

私は、去年(2021年)に、「世界標準の経営理論」を読んで、「すげぇ!」と思ったいくつかの理論の一つがSECIモデルでした。野中郁次郎氏と竹内弘高氏はSECIモデルを「知識創造企業」(日本語版1996年、リンク先は新装版)の中で描き、そこから約4半世紀たった2020年に続編として出版されたのが「ワイズ・カンパニー」になります。前著が知識「創造」について書いたのに対して、本書では知識「実践」について拡張したとしています。

本投稿は、「ワイズ・カンパニー」を読み解きながら、学びをアウトプットしていく連載記事となります。

<ワイズ・カンパニーまとめの過去記事>
第1回:世界唯一の知の創造の理論「SECIモデル」をまとめてみた
第2回:知の実践企業に立ちはだかる3つの問題の克服に必要なこと
第3回:ホンダジェットの成功からみる知の実践の勘所とは
第4回:実践力のための知の源流、アリストテレスのフロネシスとは?
第5回:実践知と暗黙知とルーティンとダイナミック・ケイパビリティと
第6回:JAL再生に学ぶSECIモデルを回す実践知

前回の振り返り

前回は、知識創造のプロセスである「SECIモデル」の「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」が、実際にどのようなものを指すのか「JAL再生」の事例についてまとめるとともに、知識を実践して得られる実践知について、私自身の新規事業開発での経験から棚卸をしてみました。

60年でSECI6回転「シマノ」の事例

今回は、同じように、自転車部品のシマノ社の60年で6回まわしたというSECIの事例からの学びを書いてみたいと思います。以下が、シマノ社の60年間の成長の軌跡として紹介されていました。

  • 大阪の堺から欧米へ進出

  • 町工場1つから8か国14工場へ

  • 創業時数人から1.2万人@2016へ

  • フリーホイール生産から1体ギアシステム製造へ

  • メカニカルからデジタルへ

  • 路上からオフロードの自転車へ

  • 家庭向けからレース向けへ

  • 安かろう悪かろうから、世界トップの品質へ

こういった成長の中で、どのように知識創造のサイクルが行われていたのかを、SECI6回転として紹介されていた内容を以下のようにまとめました。ここから、プロセスに沿って横に見ていくというよりは、縦に、プロセスの中の共通点という観点で見てみたいと思います。

暗黙知→暗黙知(Socialization: 共同化)

ここは、現地・現物・現実の3現に、貼り付くことの大切さを感じました。結局のところ、人と人が同じ経験を共有することを通して仲良くなることが重要なんだな、と思いました。

暗黙知→形式知(Externalization:表出化)

このフェーズは、とにかく「頭の外に出す」ということだと思いました。それが「言葉」かもしれないし、「文字」かもしれないし、「技術を取り入れてみる」かもしれない。

私自身は、よく脳内メモリから外部メモリに吐き出すという表現が好きでよく使います。頭の中の考えるためのスペースってあんまり広くないんだと思っていて、メモをとったり、簡単なポンチ絵をかいてみたりすることで、頭の外に出すことで、頭の中に新しい情報を呼び出して、それをまた、そこに書き足して、っとやっていくことで、初めて「考える」ということが実現できると思います。

形式知→形式知(Combination:連結化)

「連結化」という言葉が示す通り、それぞれの人がもつ知識と知識の掛け合わせが起きることだと思います。ここで重要なのは「場」なのではないか、と思いました。

4回転目くらいまでのシマノ社の事例は、会社の規模としても、社長がハンズオンで知識の連結の中心にいられて「場」を形成することができたのではないでしょうか。

これが5,6回転目あたりになると、知識創造が行われる「場」が会社の外に出て行っているように感じました。

形式知→暗黙知(Internalization:内面化)

このフェーズで出てきたキーワードは「視座を高めた」「信頼を獲得」「本質を理解」「認知の広がり」「手ごたえ」「確信」といった感じです。なんか、このそれぞれの一人ひとりの中に共通の認知が生まれているって感じでしょうか。

冒頭にあげたプロセスの図でこのフェーズについては、私は以下のようにまとめました。

組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして「体得」する

私自身、2015~2020年、新規事業開発にどっぷりつかっていました。この間、形式知化されているリーンスタートアップであったり、ビジネスモデルキャンバスのようなベストプラクティスを実践し続けることをしていました。これは個人への内面化のフェーズだったんだと思います。

なんか私は、学びのスピードが遅いのか、最近やっと内面化されたかなぁ、と思ったのが去年くらいだったので、5,6年かかりました。そして、なんかそれは急に、「あ、なんか自然にできるようになったなぁ」という感じでした。それは、特に、管理職になって、はじめて自己認識できたような気がします。

これは無意識的有能(以下参照)になった実践知を、客観的に認識する機会になったからだと思いました。

学習の5段階モデルについては以下の記事もご参照ください。

おわりに

ということで、今回は「60年で6回SECIが行われたシマノ」の事例をもとに、SECIの各ステップについて学びをアウトプットしてみました。次回は、「エーザイにおけるSECIスパイラルモデルの動き」について学びのアウトプットをいたします。

このほか、当方の経営理論に関する記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

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