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コント徹底解説/ #キングオブコント2023 決勝進出者予想

キングオブコント2023の準決勝進出者が発表されました。

今年は常連のGAGが準々決勝で敗退、うるとらブギーズは休養、ネルソンズやジェラードン、ゾフィーらも敗退と世代交代の足音が聞こえてくる大会となりそうです。

今日はコントをいくつかのタイプに分け、その上で決勝進出者を予想してみようと思います。


コントの分類についていくつか方法はあると思うのですが、どうやって笑いを作るか、なにが強みのコンビなのかを重視して分類しました。分類は以下の6タイプ:会話劇、設定、展開、キャラ、非言語、大喜利に分けました。複数のタイプを含む場合は、最も核になるタイプで分類しています。

早速、それぞれのタイプの解説と直近の大会のファイナリストの分類をしていきたいと思います。


会話劇

子供から大人まで楽しめる細かなボケツッコミが生命線のコントです。噛み合った会話でテンポよく尻上がりの構成を作りやすいという特徴があります。

このタイプの代表的な存在がサンドウィッチマンやジャングルポケット。笑いの量は大会を通じて圧倒的なことが多いタイプですが、コントとしての作品性や世界観が評価されにくい印象があります。

会話劇のコントはスカッと笑えて後に残るものがない。例えるならアメリカのヒットアクションムービーのようなものですかね。誰もが楽しめて、いい気分で見終わることができる。読後感やメッセージ性は求めない。もっと評価されるべきタイプだと思っています。

このタイプは2020年はジャングルポケットとGAGがファイナリストに、2021年、2022年は不在でした。

そして今年はジャングルポケット、天才ピアニスト、ダウ90000、さすらいラビーらがファイナルに残っています。

常連のジャングルポケットですら確定とは言えない強力な布陣です。注目コンビは天才ピアニストとダウ90000なのですが、さすらいラビーも要チェックです。

さすらいラビーは会話劇+キャラのコントが面白く、必ず近いうちにキングオブコント決勝に上がってくるコンビです。漫才ではパワーバランスの差が気になりますが、宇野さんが女装すると中田さんの童貞臭のおかげでキャラのバランスが合ってきます。

早ければ今年、遅くても再来年までにはコントで結果を残すはずです。YouTubeにたくさんネタが上がっていますので、是非見てみてください。

設定

大喜利性の高い設定の中で笑いを作るタイプのコントです。設定が明らかになる序盤にネタの盛り上がりが来るので、ショートコントが映えるタイプです。後半に盛り上がりを作りにくいので賞レースでは光りにくいという弱点もあります。

このタイプの代表的なコント師には、アンジャッシュやさらば青春の光、ジャルジャル、かまいたちなどがいます。

長い尺のコントでは後半の盛り上がりにくさをカバーするために、他の手法が併用されることが多いです。

設定+会話劇の形で盛り上げるアンジャッシュに対し、ジャルジャルやかまいたちは設定の中で同じボケを繰り返すことで笑いを増幅させていく手法を取ります。ロッチの伝説のネタ「試着室」も後者と同じ構造です。

このタイプは、2020年は滝音、ジャルジャル、うるとらブギーズ、2021年は男性ブランコ、ザ・マミィ、そいつどいつ、うるとらブギーズが出場し2022年は不在でした。今年はザ・マミィ、男性ブランコ、滝音、そいつどいつ、ザ・ギース、カゲヤマ、サスペンダーズ、ファイヤーサンダー、ゼンモンキーらが残っています。

設定+展開の形は滝音、ザ・ギース、サスペンダーズ、ファイヤーサンダー、設定+キャラの形はザ・マミィ、男性ブランコ、カゲヤマ、そいつどいつ、ゼンモンキーらが得意としています。

特にチェックしておきたいのは、滝音、サスペンダーズ、ファイヤーサンダー、カゲヤマの4組です。中でも今年はファイヤーサンダーが例年以上に仕上がっています。どうにか今年こそ上がってほしい。全コントファンの願いです。

そしてM-1の敗者復活戦でも結果を残したカゲヤマに期待します。今年は綺麗に笑いを作るコンビが多いので、カゲヤマの馬鹿馬鹿しい笑いはすごく光ると思います。

展開

場面の展開、感情の変化、関係性の変化で笑いを作っていくタイプのコントです。始まりと終わりでキャラクターの見え方が変わってくるのが特徴です。

コントが長くなるほど展開が増えて面白くなるので、テレビ映えはしませんが、単独ライブが人気しやすいです。このタイプの代表的なコント師は東京03です。

2020年、2021年は空気階段、2022年はや団、最高の人間、かが家が決勝に残りました。今年はや団、かが家、レインボーが残っており、3組とも十分に決勝に残る実力があると思います。

中でもレインボーに今年は注目しています。キャッチーなキャラクターに感情の表現が上手い二人。彼らのコントは舞台が大きければ大きいほど映えると思っています。

キャラ

突出したキャラクターを軸に笑いを作っていくタイプのコントです。基本的にキャラクターとは話が噛み合わないので、変なキャラに対してツッコミが関わる理由が必要になってきます。変な客と店員、おかしな先輩と後輩、研究者と喋る化け物などなど。

また、キャラ先行で話が進むので、ツッコミが弱く見えてしまうという弱点もあります。一方、コント内でのキャラクターがそのまま名刺代わりになるので、大会をきっかけにテレビで人気が出やすいという強みもあります。

代表的なコント師は、シソンヌ、かもめんたる、キングオブコメディ、ロバートらになります。優勝者が多いですね。

2020年はニューヨーク、2021年は蛙亭、ジェラードン、ニューヨーク、2022年はネルソンズ、ビスケットブラザーズ、コットンが決勝に残りました。

面白かったのは昨年優勝したビスケットブラザーズ。彼らが発明したのは、キャラコントという本来話が噛み合わない中で細かいボケツッコミを組み込んだキャラ+会話劇の形でした。原田さんのボケに対して、きんちゃんが歯切れ良くツッコむ。会話のラリーではなく、一つ一つのボケツッコミで笑いを作っていく奇跡的なコントでした。

今年はコットン、蛙亭、やさしいズ、ななまがりらが残っています。4組ともファイナリスト経験者で、とても良いネタを持っています。今年はコットンの連続出場と蛙亭の返り咲きに期待します。

非言語

リズムや身体的パフォーマンスで笑いを作るタイプです。6つのタイプの中では最も派手で印象に残りやすいという利点があります。特にリズムネタでは優勝のどぶろっくやコロコロチキチキペッパーズ、準優勝のにゃんこスター、2700など記憶に残る名作がたくさんあります。

2020年はニッポンの社長(ケンタウロスの恋)とザ・ギース、2021年はマヂカルラブリー、2022年はクロコップといぬがファイナルに残りました。

今年はラブレターズ、クロコップ、ジグザグジギー、連合稽古らが残っています。注目は初出場の連合稽古とやっぱり決勝でもう一ネタ見たいクロコップですかね。

大喜利

どうしてもロングコートダディとニッポンの社長が作るコントを分類できず、ほとんどこの二組だけのために作った分類です。

設定の亜型になるタイプで、おそらく漫才コントに源流があると考えています。一つのコントの中で似たような設定を繰り返してボケる。

この大喜利に分類できる他のコントを考えると、モンスターエンジンがキングオブコントで披露した「Mr.メタリック」や松本人志と内村光良がドリームマッチでコンビを組んで披露した「太陽にほえろ!」あたりが思いつきました。関西で生まれて発展してきた分野なのかもしれません。

今年もロングコートダディとニッポンの社長の2組が準決勝に駒を進めています。この2組だけはどうしても決勝進出予想から外せませんでした。

決勝進出者、優勝予想

長くなりましたが、6つのタイプにコントを分類してみました。それぞれのタイプから決勝に進出するコンビを予想してみたいと思います。

会話劇:天才ピアニスト、ダウ90000、さすらいラビー
設定:滝音、サスペンダーズ、カゲヤマ、ファイヤーサンダー
展開:や団、レインボー、かが家
キャラ:コットン、蛙亭
非言語:クロコップ、ラブレターズ
大喜利:ロングコートダディ、ニッポンの社長

全く絞れず16組になってしまいました。初出場と決勝経験者のバランスも踏まえて以下の10組を決勝予想とします。

コットン、や団、ロングコートダディ、ニッポンの社長、クロコップ、かが家、レインボー、ダウ90000、カゲヤマ、ファイヤーサンダー

2023/09/20追記:ロングコートダディが準決勝を体調不良のため欠場とのことです。残念ですが、ロングコートダディの代わりには、さすらいラビーを推します。「陽」の印象が強いコント師が多い中で、二人の持つ陰気な雰囲気がとても魅力的に映ると思います。応援しています。

昨年決勝進出者が5組、初出場が5組というバランスになりました。昨年の決勝進出者がどこも脂の乗り切った状態で、選出が難しいです。関西勢が少ないので、滝音か天才ピアニストは選出の可能性もあるかもしれません。

優勝候補には、や団、レインボー、クロコップの3組を推します。3組とも幅広い世代から笑いを取れて、独自の確立された世界観があります。

そして優勝にはレインボーを予想します。
思い切り感情を揺さぶるようなコントを期待しています。

今年もキングオブコントが楽しみです!

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