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睦ぶ

仙台の実家へ向かう途中、妻が「ももは元気かな」と呟いた。

ももは妻の実家の飼い猫で、人見知りだ。初めて結婚の挨拶に伺ったとき、ももは押し入れに隠れて出てこなかった。

「ももは知らない人が苦手だからね」とお義母さんが苦笑した。お義父さんもおもちゃを使って呼び出そうとするけど、なかなか出てこない。

「僕も人見知りなので気持ちはわかります」と言うと、妻が「ようやくももの理解者が現れたね」と言って笑った。

結婚の挨拶はもものおかげで話題もあって、無事に終えた。

それから一年ぶりに妻の実家へ来ていた。

お義母さん特製のせり鍋を4人でつつく。結婚生活や仕事のことなど、ご両親と話したいことはいっぱいあった。

お酒も進み楽しくなってきたころ、太腿に温かな感触があった。ももが居心地良さそうに私の膝の上で丸まっている。

「これで家族だね」とお義母さんが言った。「似たもの同士仲良くね」と妻が言うと、暖かな笑い声が鍋に響いた。

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