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今の飼育下ペンギンたちの環境もあたりまえではなかったころのはなしから。

ツイートが引用されたTogetterからはじまった連続ツイートをまとめました。

参考記事

対談 川端裕人×mami「水族館でイルカを飼うということ」:幻冬舎plus

コラム 川端裕人の“かわいい”だけじゃすまないイルカの話:日経WOMAN ONLINE

ここからツイートのまとめ

現在では「ペンギンを導入するなら群れでの飼育展示」というのが標準になってるけれど、その昔はペンギンも、ペンギンにとってよい環境とはいえない場所での少数飼育でなかなか繁殖にこぎつけなかったり、交雑するフンボルト属3種を混ぜて飼って雑種(※)つくったりしていた時期がありまして。

繁殖しないわばたばた死ぬわ雌雄の見分け方もわからんわ、しかしなんとか健全に飼育したい、せめてポコポコ死ぬのはどうにかしたいという首都圏の施設に勤める少数の飼育担当者らによる手弁当の勉強会から始まった会議において、研究によって「ペンギンの幸せとはどういう状態か」が導きだされたから。

いまのペンギンの飼育展示の環境だって、20数年前には存在しなかった。当時、有志設立の会議だからと出張費が出ない中、少ない給料をやりくりして身銭きってあちこちの勉強会にでて、損得勘定抜きで積極的に意見交換し技術を伝えた人たちがいなければ今のペンギンの状況はきっと存在していない。

あと、スター動物やアイドル動物を手放すには「飼育下には2度と導入しないという社会全体の同意」か「諦めざるを得ない理由」のどちらかが必ず必要で、どちらもないままある施設だけが方向転換しても、それが「真似したいほど魅力的」でなければ全国規模で足並みがそろうことはないと思う。

「アイドル動物が絵本による刷り込み」ってのは、昔のディズニー悪説を彷彿とさせるけど、わたしはどちらにも同意しない。本当にそうなら、スターにしたい動物で物語をつくって発表すればいい。人気があるから物語の主人公になる生物もいれば、物語の主人公になってはじめて脚光をあびる生物もいる。

スター動物やアイドル動物の衰退に飼育施設が運命を共にするとも思っていない。今のスターやアイドルがいなくなれば、自身の存続のために新しい対象をみつけ乗り換えるだけだろう。商業ベースで運営していてそこに旨味を見出しているならみすみす滅びるはずがない。

どんな生物をスターにしようが持続可能でなければそれは「消費」でしかない。そもそもは「わたしたちはその消費サイクルにのせられていいのか」という問いかけで、それはどの生物においても同じことが言える。「死んだら新しい個体を買えばいい」と「ダメなら次のスターを発掘すればいい」は同義。

そして、イルカについてはもう批判のない世界に戻ることはないだろうし、飼育の是非をめぐる議論はこの先も続くだろうけど、すでに北米によって持続可能であることが示されているのだから、「飼育をやめる」という道を選ばないなら、せめて「健全で持続可能な個体群を目指そうよ」というおはなし。

※当時生まれたフンボルト属の交雑種について。

当時、以後交雑の可能性のある種を分離して飼育しもう2度と雑種を作らないにしても、野生ではスタンダードではない交雑種をそのまま継続して飼育するか、殺処分するかの議論が関係者の間でなされていました。

わたしの知る範囲では交雑個体の殺処分は行われず、繁殖をさせないことを前提として、飼育を継続しながら個体数を減少させ淘汰する方法が選択されたと記憶しています。


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