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置かれた場所でマイ野菜


在宅環境になるずいぶん前からだが、私は家の(ほぼ)調理担当および買い出し担当を担っている。この2つは分かちがたいものなので、同じ人間が担当する方が明らかに効率が良いのだ。家から自転車で行ける圏内にはスーパーが結構あって(ちょっと遠くの店舗も含めると6〜7軒ある)、どこか1軒のスーパーでまとめ買いをすることもあるし、その日安いスーパーを見極めて、食材を分けて買うこともある。

野菜については八百屋で買うことも多い。スーパーの野菜は見た目きれいにパッケージされていて印象が良いが、八百屋の方が総じて安いからだ。しかし、上記のような買い物の行程にさらに八百屋を混ぜるかどうかは、その日の気分によることになる。面倒くささも少々あるし、まあこの辺はバランスである。

野菜といえば、自分にとって「基本の野菜」というものがいくつか決まっている。あまり変わった野菜は買わない。料理のレパートリーが増えればまた違うのだろうが、今のところはこれで回っている。作り飽きたらまた変化していくのだろう。

そんな「基本の野菜」についてコメントしてみる。順序は50音だ。

買い物頻度:A→いつも切らさないレベル。
買い物頻度:B→安ければ買う、作りたいものがあれば買う。
買い物頻度:C→上のBよりももっと頻度の低い感じ。
買い物頻度:ほぼゼロ、ゼロ→ほとんど買わないか、買ったことがない。

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🟩 アスパラガス

買い物頻度:B
ルックスが個性的で存在感があるので、実よりも花、という感じの野菜である。だが個人的にはそれほど重用していない野菜。ベーコンと炒めたり、洋風の味付けの時に登場する。なお、アスパラガスで思い出すのは村上春樹の超短編である(糸井重里氏との共著「夢で会いましょう」に収録)。「よりにもよって、我々はアスパラガス畑のまん中で道に迷ってしまった」…

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🟩 インゲンマメ

買い物頻度:ほぼゼロ
いんげんの胡麻和えとかが定番なのかもしれないが、なぜかあまりいんげんは好きではなく、ほぼ買うことがない。さやごと食べるあの感じが苦手なのかもしれない。ちなみにインゲンマメは古代アステカ帝国の時代からあり、南米由来らしい。


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🟩 オクラ


買い物頻度:C
昔はよく買っていたのだが、野菜としてはボリュームが出にくいタイプなので、最近はあまり買わなくなってしまった。1パック98円ぐらい。これもアスパラ同様に個性的で、オクラでなければならない料理の時に使われる。反面、肉などに合わせづらい野菜だと思っている。なお、イクラはロシア語だが、オクラは英語である。

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🟩 かぶ

買い物頻度:ほぼゼロ
うんとこしょ、どっこいしょ。かぶは大根と同じ枠として捉えてる。そして、かぶを買うなら大根を買ってしまう。思い返すとかぶってほとんど買ったことがない。千葉県で全国のほぼ3割の生産量を占めるらしい。「大きなかぶ」のお話は誰もが知るところだが、作者の名前はトルストイ。そう!あの「戦争と平和」で有名な…だったら面白かったのだが、単なる同名の作家ということで関係はないらしい。

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🟩 カボチャ


買い物頻度:C
栄養豊富だが、包丁の刃が通りにくい頑固さと、「葉っぱ系」ではないという質感で、自分の中での野菜としての優先度は落ちる。でも薄切りにして油炒めなども良い。まだあまりかぼちゃメインの料理って作ったことないんだよね。イメージとしてはハロウィンのジャック・オー・ランタンが有名。それから英名についてWikipediaにあったものを転載する。「英名はpumpkin であると理解されている場合が少なくないが、実際には、少なくとも北米では、果皮がオレンジ色の種類のみがpumpkinであり、その他のカボチャ類は全てsquash(スクウォッシュ)と総称される。したがって日本のカボチャは、kabocha squash(カボチャ・スクウォッシュ)などと呼ばれている」。カボチャ・スクウォッシュ!かっこいい。

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🟩 カリフラワー


買い物頻度:ゼロ
カリフラワー、昔っから実は嫌いで、買ったことがない。自分の中ではブロッコリーの隣の畑にある野菜。

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🟩 キャベツ


買い物頻度:A
マイ野菜オブ野菜。野菜の中で一つと言われればキャベツを挙げる。キャベツはずっと好きだし、焼いても煮てもバッチリで、使いでがある。生のまま塩昆布と胡麻油を絡めて、塩昆布キャベツとしてつまみにしても良い。キャベツも値段の変動が激しくて、1玉98円ぐらいのこともあれば、400円近くする季節もある。買うときの基準はだいたい、1玉150円までという感じ。野菜室で場所は取るけど、個人的にはもっとも欠かしたくない野菜。

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🟩 きゅうり

買い物頻度:C
ほとんど水分。食感が好きなので時々買う。料理に使うというよりは、スライスしたりスティック状にしてマヨネーズやゴマドレッシングをつけて食べることが多い。1本数十円なのでついでに買うこともあるが、そんなに量を食べる感じではないのと、そこまでいろんな料理に使わないので数は買わない。

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🟩 ゴーヤ

買い物頻度:ほぼゼロ
にがうり。単独の料理としてのゴーヤ・チャンプルーは美味しいと思うが、料理としてあまり作らないので、それ以外となると買う用事がないのである。そして決して好きな味というわけでもないので、買う頻度は必然的に落ちる。何度か買ったことがあるが、それはすべてゴーヤ・チャンプルーを作るための機会だった。

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🟩 小松菜

買い物頻度:B
限りなくAに近いBだが、ほうれんそうよりも優先度は落ちる。でもほうれんそうよりもいつもちょっとだけ安いので、「緑の葉っぱもの野菜」という枠においては常に次点的なポジションである。最近よく作るのは、小松菜のナムル。前は煮物などにもよく使っていたが、無くても良いことにいつしか気づいてしまった。

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🟩 ゴボウ

買い物頻度:ほぼゼロ
皮むきが面倒ということもあり、ほとんど買わない。豚汁には本当は入れたいところだが、自分の作る豚汁にはゴボウは入っていない。なぜならば、皮むきが面倒だからである。

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🟩 ししとう

買い物頻度:ゼロ
ししとうと言えばロシアン・ルーレット。まれに辛いのが入っているというアレ。未体験ですが。

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🟩 じゃがいも

買い物頻度:B
お国柄が違えば主食扱いのじゃがいもだが、自分の中の頻度はB。ただ、ポテチは本当によく食べているので、じゃがいも成分はそちらで摂取していると言える。そう考えると大好きなはずなのに、野菜としてのじゃがいもはそこまで好きという感覚がない。身近すぎるのかもしれない。毎日お世話になっておきながら態度としてはつい冷たくしてしまうおばあちゃんとかそういうのみたいだ(私は何を言っているのか)

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🟩 春菊

買い物頻度:ほぼゼロ
自分では買わないです。鍋もやらないし。食べるとしたら、天ぷら盛り合わせの中に入っている春菊天のみ。

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🟩 セロリ

買い物頻度:ほぼゼロ
ゼロかと思ったが、過去に一度だけ買ったことがあるかもしれない。そんなレベル。野菜スティックとしてマヨつけて食べた気がする。子供の頃は苦手だった野菜の一つ。

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🟩 玉ねぎ

買い物頻度:A
大好き。煮ても焼いてもOKで、肉と合う。おかずの甘みを担当してくれる。肉豆腐とかの、濃いめの醤油系の味付けにぴったり。あとカレーとかもね。玉ねぎといえば刻むと涙が出るというアレだけど、その話を忘れてしまうくらい今はほとんど涙が出ない。冷蔵庫に一度入れたものを刻むからかな。

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🟩 大根

買い物頻度:B
大根自体がどうというより、出し汁の味などがしみ込むことでその本領を発揮するという、ふところの深いタイプのニクい野菜。また、厚めに切った大根は甘いのに、おろした大根はカラいという現象があるが、これはすり下ろして大根の細胞が壊れることで辛味成分が発生するということらしい。あと、上半分(葉っぱの方)と下半分では、下半分の方が比較的カラいと聞いたことがあり、大体自分は上半分を買うことが多い。

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🟩 ちんげん菜

買い物頻度:C
一時期は頻繁に買っていたが、あまり買わなくなってしまった。多分それほど好きじゃないのに気づいたのだろうと思う。自分の中では、ほうれんそうと小松菜と同じカテゴリにあって、その2つよりも優先度が少し落ちる。ちなみにこれらの中ではちんげん菜がいつも比較的安い。

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🟩 トマト

買い物頻度:C
使い方によっては料理に非常に鮮やかな華を添える。イタリア料理のイメージがある。普通サイズのトマトよりも、プチトマトのパックか、トマト缶の方が買う機会は多い。ちなみに自分の作るカレーには、ほぼ必ずトマト缶をまるっと入れてます。さっぱりした酸味が加わって美味い。料理を始めたばかりの頃は、モッツァレラチーズにスライストマト、オリーブオイルでいわゆるカプレーゼを何度か作ったものだった。最近はほとんど作らない。まあまあ美味しいが、コストが割りに合わないなと思うからだった。自分の料理レパートリーでは、モッツァレラチーズを他に使うシーンがないのである。食材は使い回しできるということが非常に重要。

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🟩 なす

買い物頻度:B
「ねーちゃん、また茄子かー?味しないからヤダー」というセリフが何かの漫画にあった気がする、などとトボケてみたものの記憶は鮮明にあり、作品は黒田硫黄の「茄子」である。それぞれ別のエピソードを集めた連作短編の趣きだが、作品上のルールとして各話のどこかに必ず茄子が何らか登場するのである、という漫画の話はおいといて、なすは結構好きである。最近だとなすのそぼろあんかけなどを作ることが多いが、子どもの頃はなすを焼いたものに醤油をたっぷりつけて白いご飯で食べるのが好きだった。そして、なすを料理した人なら誰でも思うことだが、油の吸収力がハンパない。スポンジのように油を吸う。油分過多になりがちなので気をつけてる。

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🟩 ニラ

買い物頻度:ほぼゼロ
ニラは自分の中ではネギの隣に生えている野菜。ニンニクの匂いのもとになるアリシンが含まれているので、ニンニク同様に外出前の食用には不向きである。なので、家族も食べる食事という点で登場頻度が低くなるのはむべなるかな。そして、ニラがなくてもどうやら困らないという事実。ニラ玉やモツ鍋のようなメニューには欠かせないが、どちらも作ることがない。

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🟩 にんじん

買い物頻度:A
いろどり的にも野菜室に不可欠な野菜。葉物に比べても値段の上下動が少なく、1本あたり40〜50円前後で安定しているイメージ。もっともシンプルな食べ方は、スティック状に切ったにんじんを熱いお湯に数分つけて、それをマヨネーズかごまドレッシングで食べるというもの。にんじんってピーマンと並んで子どもが嫌う野菜のイメージがあるけど、どちらも美味しいのでよくわからない。

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🟩 ネギ(長ネギ)

買い物頻度:B
長ネギは火が通っていてもいなくても好き。生だとちょっとツンとするけど、それもまた良し。蕎麦とかラーメンとかには絶対欲しい。スーパーのレジで「半分に切ってください」というとその場で切ってくれる。ネギ用の小さいまな板と包丁が用意されてあるんだよね。

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🟩 白菜

買い物頻度:A
キャベツと並んで重宝する野菜。野菜室にはキャベツか白菜のどちらかが必ずある感じ(キャベツの方が頻度は高いけど)。何より甘みが出るのが特徴で、豚バラと白菜のミルフィーユは大定番。白菜と豚バラを交互に挟み、同じ幅でそのまま切ってフライパンに並べ、鶏ガラスープと水で煮るだけで美味しいのができる。今年の冬は特に白菜が豊作だったらしく、タダみたいな値段で投げ売りされているのを見た。

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🟩 ピーマン

買い物頻度:A
これも頻度はAである。欠かせない野菜。煮ることはあまりなくて、油で炒める場合がほとんどである。あと、ピーマンの肉詰めは自分の中で定番料理になりつつある。それも前は適当に、ピーマンにそのまま挽肉を詰めて炒めていたが、ちゃんと玉ねぎとパン粉と卵を使って挽肉のタネを作ってやったらすごく美味かった。要はレシピ通りに作ると普通に美味しいものができるという当たり前のことを再認識するきっかけとなった。あの、キュキュッという感じの食感が良いよね。ピーマン好きです。

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🟩 ブロッコリー

買い物頻度:A
森に似ている野菜。個人的にはそこまで好きでもないが、使いやすいのと見栄えが良いので購入頻度は高い。シチューであれグラタンであれ、何か炒め物であれ、ブロッコリーが入ると見た目かなり良い感じになる。アスパラガスやトマトと並んでビジュアル系野菜と言えよう。

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🟩 ほうれんそう

買い物頻度:B
前はもっと頻繁に買っていたが、最近値段が高いことが多いように思う。キャベツや玉ねぎやにんじんほどには絶対的な必要性を感じないので、例えば1袋298円とかの場合には手を出すことがない。価格帯の変動が大きい葉物野菜の代表という感じがする。おひたし、ほうれんそうとベーコンの炒め物、クリームシチューやグラタンに入れたりと、さまざまに使える。でもボリュームが出にくいので、これからも値段次第での購入となりそう。

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🟩 水菜

買い物頻度:B
最近ちょくちょく買っている。1袋98円〜198円の幅という印象。3cmくらいにタスタスと切って、密閉して少しずつ使うことが多い。上にパラパラと掛けたり、ネギのような使い方だ。あと、夜のつまみのアクセントにちょうどいいので重宝している。イワシやサバ缶から中身を皿に入れ、水菜を乗せてチンしてから最後にマヨをひと乗せ、とかね。

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🟩 もやし

買い物頻度:A
もやしについては言いたいことがある。安い。安すぎるのだ。うちの周りの安いところでは、いつも金額は1袋につき19円で一定しているし、高い店でも28円だ。もっと高くて全然いいのに、もやし農家は大丈夫なのだろうか?と勘ぐってしまう。だが何かしら市場原理があってこその19円なのだろう。その安さゆえに、買い物のついでにもやしは必ずカートに入れている。キャベツや白菜に準じる、ボリュームの出る野菜である。

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🟩 レタス

買い物頻度:B
レタスはキャベツに少し似ているが、用途はまったく違う。キャベツがスイカならレタスはメロンだ。レタスはいつも瑞々しいし、キャベツほど葉がギュッと詰まってはいない。余裕があって優雅なのだ。だからというわけではないが、レタスは炒めたり煮込んだりという用途ではなく、トンテキにプチトマトと共に添えたり、ホットサンドに挟んだりという、レタスの姿そのままを活かした調理の仕方が多くなる。値段も比較的に高いことが多い。あのふわっとした密度で1玉200円を超えると、「また今度ね」という感じでスルーしてしまう。

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と、こんな感じである。野菜はまだまだたくさんあるから、料理上手な人はもっと様々な種類を駆使しているのだろうと思うが、今の自分の現在地点としてはこんな感じで十分である。

もちろん料理のレパートリーはもっと増やせるといいなと思う。日々のことだと、やっぱり作り慣れたものに行ってしまって、新しいものにチャレンジしようという意欲がなかなか湧かないのも事実だ。

最初に書いたように、自宅の周りだけでも結構な数のスーパーがあって、それぞれにたくさんの野菜が搬入され、店頭に並んでいる。それが東京全体、関東全体、ひいては日本全体のスーパーや八百屋すべてに、いくつものキャベツや大根、白菜やネギやレタスが並ぶという事実。しかも毎日毎日である。その膨大な野菜たちの、無限にすら思える全体数を想像するとちょっとクラクラしてしまう。玉子だってそうだ。そうした食材が、絶えることなく生み出され、さまざまな流通経路で運ばれ、消費者の手に渡っていく。日々続いていく無限回廊のようなフロー。その中で我々は生きているのだ。なんと壮大な流れであることか。


それはそうと、もやしの値段はやっぱりもう少しアップしてもいいと思う。


やぶさかではありません!