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文章を叩き出す

「〇〇について以下の言葉を入れて、800字程度で述べよ。ただし、文字数は800字を超えないこと。(後略)」

 こんな感じで出された論述問題を、時間を見ながら解いたことがある人もいるだろう。ある資格試験で、僕も実際に経験したことだ。こんなとき、短時間で効率よく課題を片付ける方法はいくつかあるだろうが、その中の一つに「ブレイン・ストーミング」という手法がある。「キーワード連想法」と言ってもいいかも知れない。テーマとキーワードをひと通り見てから、それらを数個使って、短い文章をいくつも作るのだ。多少、的が外れていようが何だろうが構わない。思いつくだけどんどん書いていく。その中に使われなかった言葉がないように、僕は印や記号を付けるようにしている。そうして、文章が10から20ほど書けて、思いつくスピードが落ちてきた頃にここまでの作業を終える。賞味10分程度でなんとかなるだろう。ここからは、テーマを意識しながら、文章をつなげたり、わかりやすくするための肉付けをしていく。そうこうしているうちに、余裕で800字を超える文章になってしまうだろう。ここまできたら、あとは校正(修正)だ。文章の整形をして、誤字脱字などの訂正を行えばいい。かかっても全部で20〜30分程度。それくらいで完成するだろう。

 この手法は、限られた時間の中で、よりベターな結果を叩き出すためには非常に有効な方法だ。しかも、これは詩作にも使える手法なのである。
 
 要するに、詩のテーマを考え、それをイメージしやすいようにするために使いたい言葉やフレーズをいくつか用意する。短い詩なら、3〜4個くらいを用意すればいいだろう。少し長めのものでも、8個もあれば十分だろうと思う。これらの言葉を組み合わせて、短い一行を作ってみる。それを、短時間でできるだけ多く書き出す。そして、あとは並べたり、細かい修正をしたりするというものだ。僕は、即興で詩を作るとき、このような方法も時々行う。もしよかったら、一度試してみていただければと思う。
 
「詩は、そんな作り方をしてはいけない。」と言う人も世の中にはいるかもしれない。しかし、提出期限が決まっている時間制限つきの投稿をするとき、そんなことは言っていられないはずだ。のんびり構えていてもいいときと、そうではないときがあるのはわかるだろう。例えば、ネットで短歌を投稿する時、「題詠」方式をとっているサイトでは容赦なく時間制限で応募を締め切られてしまう。これが現実である。日常生活においても、時間は無制限ではない。仕事などで忙しいさなか隙間時間で詩や歌を作っている人のほうが圧倒的に多いはずだ。ぜひ限られた時間を有効に使いたい。そんな時、このやり方自体が詩を作るためのよいトレーニングになっているのであるから、一石二鳥でお得な方法であると言えるのではないだろうか。

 通常、僕は文章を書く時、この方法は使わない。もっと長期に渡って、数多くのメモをとりながら文章をまとめていくようにしている。こちらのほうが、味のある個性的な文章が書けるような気がするからだ。気がするだけで実際には大した違いはないのかもしれない。が、きっと個人的には、そういう書き方が向いているのであろう。ただ、急いでいるときには、今回紹介したような方法も使うことが稀にあるというだけだ。だが出来ることなら、のんびり構え、じっくり時間をかけて書きたいというのが、実は僕の本心でもある。