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「エッセンシャル思考」読了メモ 【私の本棚】

この本のテーマは、タイトルにもある「エッセンシャル思考」。
エッセンシャル、つまりは「本質的な」ことに対して思考を巡らせることの重要性が述べられています。

この記事では、本の良いところや、読んで感じたことなどをまとめます。
最後まで目を通していただけると、とても嬉しいです。

1.概要

本書の一貫したテーマは、
本質に目を向けて力を注ぐ
ということ。

できることはなんでもやる、と幅広く構える対応力より、
本当に大事なことを選んで全力を注ぐ、という判断力や行動力が重要であると述べられています。

全体を読んだ印象としては、最近の実用書で取り上げられている要素をギュッと凝縮した一冊、といったところ。マインドフルネスやミニマリズムなどがテーマとして出たりするので、そういった本に普段から馴染みがある人からすると既読の内容が多く感じられるかもしれません。

逆に、実用書ビギナーの人には「とにかくこれさえ読めばOK!」とオススメできる一冊です。いわゆる「広く浅く」的な構成なので、その中で興味を持った事柄があればその専門の本を読むようにする、とすると読書の幅が広がると感じました。

2.良いところ

①損切りに関しての情報が多い

一度始めたけれど上手くいかないことを止めて、これ以上の損失が生まれることを避ける「損切り」という行為があります。本書ではこの損切りについての情報が非常に多く、とても参考になりました。

というのも、私がこれまで読んだ本では、「やり続けること」の重要性を説くものがほとんどで、伸び悩みを感じたものを切り捨てるための考え方がなかったのです。
そのため、始めたことをやめた経験を黒歴史的に捉えてしまっていたのですが、そんなことはないのだと改めて感じることができました。

特に印象に残っているのが、「逆プロトタイプ」。
「今やっていることを試しにやめてみて、不都合が生じるか検証する」という方法です。
本書の一部から引用して解説します。

私のクライアントだったある男性は、会社で新たなポストについた時、前任者のこなしていた仕事量に仰天した。数えきれないほどのテーマについて、非常に精密でグラフィカルな報告書を、毎週欠かさず作成していたのだ。彼はその仕事を引き継ぐことになったわけだが、そこまでやる意味があるのかと疑問に思った。(中略)
そこで彼は、逆プロトタイプを試して見ることにした。報告書を作るのをやめて、どんな不都合が起こるか様子を見てみたのだ。その結果、誰も困っていないことがわかった。(中略)
こうして報告書が不要であることを実証できたので、彼は堂々と報告書を撤廃することにした。

第12章 キャンセル–過去の損失を切り捨てる より


引用した内容は「上手くいっていないことをやめる」こととは少し違いますが、考え方は同じです。

義務を感じて続けているけれど、実績に結びつかない。しかし幾らかの投資をしたのだからある程度形にしなければ元が取れない。そんな切迫感から「無駄だとわかっていても続けてしまう」という事態に陥ってしまうことが少なくありません。そんな時こそ「一度やめてみる」のが良いのです。
それで問題があるのであれば別の方法を考えれば良いし、問題がなければそれまで。最も良くないのは「惰性で続けること」であり、別のことに費やしておけばよかった時間が蝕まれることで機会損失の原因にもなりかねないのです。

本書では他にも「損切り」についての考え方が詳しく載っています。気になる方はぜひ手に取ってみてください。

②非エッセンシャル思考との比較表がわかりやすい

本書のメソッドが実践できていない、いわゆる「非エッセンシャル思考」との比較表が随所に載っており、これがとてもわかりやすいです。
幾つか引用してご紹介します。

例1 「損切り」の重要性を述べた章にて

第12章 キャンセル–過去の損失を切り捨てる より

例2 小さな積み重ねの重要性を述べた章にて

第17章 前進–小さな一歩を積み重ねる より

こういった比較は、文章で見るとわかりにくくなりがち。しかし表になっていると見やすいし、すんなり頭に入ってくるのがわかります。長文を読むのが苦手な人は、こういった場所を抑えるだけでも、この本の言わんとしていることを理解できるのでは、と感じました。

3.私の「エッセンシャル思考」

私は音楽制作やデザイン等、様々なジャンルのクリエイティブに携わっていますが、どれも「本質を見出す」ことの難しさを感じます。
何が正しいのかがわからないまま手探りでやることがほとんどなので、上手くいくこともあれば、鳴かず飛ばずで実を結ばないことも少なくありません。
しかし、そんな悩みもエッセンシャルに目を向けられる思考法になれば少しは改善されるのかな…と。もちろん私の行動次第ですが、この読書をきっかけにいろいろ変われたら良いな、と思っています。

今までの私は、どちらかというと「手を動かした者勝ち」的な考えを持っていたので、わりと思い立ちからアクションまでが早かったのですが、もう少し熟考しても良いのかな、と考えました。

もちろん、動き出しの速さというのは一つの武器ですが、それが原因でして生まれてしまった過ちは、また別のアプローチでカバーするしかないと思うのです。
ということで、私の今後のエッセンシャル思考は「よく考えること」。
これからもたくさんの作品を世に出し続けますが、その前に、自分自身の整理をつけることを心がけて取り組んでいきたいです。

Shino






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