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#しのログ「ぽつねん」【#6】

「ぽつねん」という言葉の響きが、大好きです。ポツンと一人佇む様子を表現した、この言葉。書籍の中に登場していると、初めて知りました。言葉の選び方ひとつで、すぐに人を魅力的と感じてしまうことって、あります。


梶井基次郎、『檸檬』。

多くの方にオススメされ、わたし自身もずっと興味のあった一冊。やっと、読むことができました。


とにかく、繊細……

登場するもの、比喩、すべてが繊細でした。文章にも、どことなく「わかる」という感覚があふれてきます。たった9ページの本文から伝わるのは、強い心の変化。“檸檬”というたったひとつの黄色い物質から得た衝動。

檸檬でないだけで、このはっきりとした心の変化は誰しも経験するような、そんな気持ちにもなります。


そして、わたしは『檸檬』というお話そのものから強い影響を受け、言葉にすることを躊躇ってしまう“グッ”とした衝動を感じています。「今すぐ何か、言葉にしないと」「言葉として何かを発したい」、そんな気持ちに強く強くなりました。

でも、この衝動がどんな言葉としてふさわしいのか、読み終わった今すぐにはまだわかりません。落ち着いて、腰を据えて、じっくりと思慮深く検討することになりそうです。

なんなら、『檸檬』と“レモン”を片手に、どなたかとディスカッションをしたい気持ちになりました。じっと読む・考えるだけではなく、「どう感じたか」、「この表現は何を求めているのか」……そんなことを、口に出したいのかもしれません。


一人だけでは物足りません。いろいろな人の解釈を聞いて、いろいろな人の想いを知りたい。これからまた、少しずつほぐしていくことになりそうです。

それにしても「ぽつねん」。この言葉の響きだけで、ビールが何杯か飲めそう。ぜひ口に出してみてください。


「ぽつねん」




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