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妊娠後期〜赤ちゃんが小さい?


超音波検査、取り直し

カナダでは妊娠出産にかかる費用は基本的に全額公費負担になる。なので検診や超音波、その他もろもろの検査は必要最小限に限られる。超音波検査なんかも日本では10年前でも3Dが普及していたけど、ここではいまだ白黒の2Dが主流。要は必要な情報が得られればいいということで、贅沢は言えない。何事もなければ妊娠前期に1〜2回、中期に1回、後期に1回というミニマルさ。

中期の超音波は赤ちゃんの各臓器の発達具合を見るようなんだけど、わたしは20週から22周期かけて結局3回取ることになった。
1回目の検査では赤ちゃんの向きが悪くて動きも激しかったので鼻や唇、心臓の循環がうまく撮れなかったというので次週に取り直しになる。次の週ではばっちり撮れて異常なし、ということだったのだけど、今度は頭の大きさが前週より小さくなっているとかで今度は大学病院の精密な機械を使って取り直しを指示される。赤ちゃんの頭が骨盤に入り込んでるポジションだったから正確な数字が出なかったんだろうと言われたけど、なんだか心配…。

ついでにPlacental Lakeが見つかったと言われたけど何それ?胎盤の表面に血が溜まってる状態らしいのだけど、ミッドワイフのアマンダ曰くよくあることだから特に心配いらないと。それからこれも日本語でなんというのか不明だけど、echogenic intracardiac focusという、超音波検査で心臓あたり明るいスポットが見つかったのでそれも再検査で診てもらう必要があるらしい。初めて聞く耳慣れない単語に???それって何か問題なの?
それがあることが病気に結びつくというよりも、ダウン症児に比較的多く見られるということで、胎児の染色体異常の可能性が高まるらしい。サーっと血の気がひく。でも既にNIPTで陰性が確認されてるから、その結果を覆すことはないし、東アジア人には割とよくあることなので心配しなくていいと言われる。
それでも心配はつのる。NIPTの結果は本当に信用できるのかな?ぐるぐるぐるぐる悪い方に思考が傾く。

三度目の正直、今度は民間のクリニックではなくて大学病院で超音波検査を受ける。クールなお姉さんで無駄なことは何もしゃべらず相変わらず不安…。全部必要な画像は撮って終了だけど、これからドクターが結果を話すからそのまま待機しておいて、と言われる。
すぐにドクターが入れ替わりで部屋に入ってきた。頭の大きさはちゃんと他と均一に成長してるから問題ない、とのこと。あいかわらずPlacental lakeは見られるけど、すごくよくあることだから気にしないでいいわ、と。もう一つの心臓のスポットに関しては今回は見つからなかったらしいので一安心。異常はなし、順調に成長してるから心配いらないと言われてほっとする。
鼻や唇、心臓の循環の発育異常がなぜ大事かというと、やはり染色体異常を示す指標になるからだろう。それらに異常がなかったということはNIPTの結果を裏付けてくれているのだと思う。
それでも不安だし心配。いろいろな知恵がついている分、歳をとった分、単純に楽観的にはなれない。

赤ちゃんが小さい?

ミッドワイフの検診は後期に入っても3週間に1回のペース。そろそろ早産になったときの兆候や対処法など説明されて、出産が具体的になっていく。
血圧、ドップラーでの心音確認に加えて毎回必ず恥骨から子宮のてっぺんまでの長さ、子宮底長をメジャーではかる。
北アメリカではこの子宮底長=妊娠週数と一致すると考えられている。妊娠初期まではわたしも完全に一致していたのが中期ごろからだんだん短くなっていって、32週の段階で2センチ、つまり2週間分成長が遅れている計算になってきた。赤ちゃんがちょっと小さいかもね、でも母体が小さいから赤ちゃんが小さくても当たり前だから大丈夫よ、と何がなんでも明るいカナダ人ミッドワイフ。
小さいのか〜、今までの妊娠ではそんなこと言われたことなかったけどな…。またも一抹の不安。

33週の超音波検査ではやっぱり32週くらいの大きさで少し小さいらしい。この少し、がこのままぎりぎりオーケーの範囲で行くのか、それとも成長曲線から外れていってしまうのか、その早期見極めが大事らしく、本来は一度で済むはずの後期の超音波だけど2週間後に確認でもう一度受けることになった。もし赤ちゃんがその成長曲線から外れてしまった場合はどうなるのか聞くと、その場合は早期に帝王切開、保育器に入れてしばらく様子を見ることになるらしい。大丈夫、大丈夫、と言ってくれるけどしっかり最悪のケースの説明もしてくれて、それがなかなかに重くて打撃。

36週に入ってすぐ、精密な数字が欲しいからと大学病院で超音波検査を受ける。もう赤ちゃんは大きくなってて前みたいに全体像が掴みにくい。大きさは2500g。前回から約2週間で600g増えてる。え、ていうかもう2500gあるの、まだ出産まで一月あるのに。3000gで産まれることを考えたら十分育ってるんじゃないの!
それでもやーっぱり2週間くらい遅れてる数字だからもう一回念のために38週で受けることに。

日本と北アメリカ

あいかわらず子宮底長は2週間ぶんビハインド。でもその差は一定だから成長はしてるわけで。38週の超音波では2990g。もう産まれていい数字ではないの?それでもまだ小さいと言われてしまうのか…。
次の日のミッドワイフのアポイントメント。やーっぱり北アメリカ基準では小さめ、だけどステディに育ってるからもう心配なし、これで超音波検査は最後、となる。ずっとあなたは小さいんだから(ついでに父親も)大丈夫、大丈夫と言ってくれてたけどおそらく州で定められた安全プロトコールみたいなものがあって、きちんと安全を確認しとかないといけないんだろうな。
北アメリカでは3,500g超で産まれるのが標準らしい。白人やヒスパニックの赤ちゃんが特に大きくて、アジア人と黒人は小さめらしい。
人種がいろいろだからその平均値、というのは日本の数字とは当然全然違う。不安になって過去の出産時の母子手帳を見てみたら、長女なんて子宮底長は常に週数をはるかに下回っていたし、予定日を4日超過しても2800gで産まれてる。それでも日本の産院で発育不全を指摘されたことはまったくなかった。
その話をカリビアンのお母さんにしたら、彼女の場合は大きすぎると言われてわたしと同様、何度も超音波検査を受けたらしい。人種別の基準を作って対応してほしいと思うけどこれだけ多様だとそうもいかないのかもな。マイノリティゆえに今までにない不安にさらされる日々だった。

余談だけど、日本と北アメリカの違いという点で、妊娠中のお母さんの心構え的なものにも気づくことが多かった。

日本と北アメリカ、気づいたこと

まず妊娠中のセックスについて。日本でも禁止されてるわけではないけれど、特に推奨されているわけでもなく、みんな気になってるんだろうけどどちらかというとちなみに、的な情報の扱われ方なんじゃないかと思う。
それがこちらでは、何を食べるべきか、何を避けるべきか、といった項目と同等に妊娠中のセックスの楽しみ方が最重要項目として扱われる。
妊娠中のセックスは明らかに推奨されるべきであって、臨月までそれは変わらない。妊娠サポートアプリでも負担がかからず、最大限の快感が得られる体位を親切に解説してくれ、妊娠中はむしろ下半身の血流がよくなっているから感じやすい!としないと損、くらいの勢い。妊娠中は性欲が増すはずだから自己処理も積極的にするべき、とおすすめのセックストイまで紹介されててすごいと思った。

わたしはというと、妊娠中性欲は特に変化しなかったというかやや落ちたような気がした。それでもこんなに妊娠中のセックスは最高!と煽られて?期待が高まった。それがむしろ逆。妊娠前に比べて明らかに感じにくくなった。これって出産したら戻るのかな…。ちょっと不安。

それから体重管理について。どれくらい増えていいのか最初にミッドワイフに尋ねると、40パウンドまでいいわよと言われる。キロに換算すると約18キロ。え、そんなに増えていいの?今は痩せずぎ妊婦と低体重児の問題が知られるようになって日本でも基準が変わっているのかもしれないけど、10年前はもっと厳しかった気がする。

興味深かったのが産まれる前にしておくことリストに共通してる、ヘアサロンとネイルサロンに行くこと、の背景。
日本でも北アメリカでも、産まれたらサロンに行く時間がないから、というのは一致してる。でもこちらでは行く時間がないからこそ、今のうちにきれいに整えておきましょう、というのが趣旨。
それに対して日本は、産まれたら髪を乾かす時間もなくなるので、乾きやすく扱いやすいように短くしましょう。ネイルにかまってる余裕はなくなるのでオフにして短く切りましょう。という、母には自分の時間がなくて当然、という暗黙のメッセージが隠されている。
でも髪を乾かす時間も持てないってどういうこと?ロングヘアを乾かすくらいの時間、父親が赤ちゃん面倒見て当然じゃないの?それが贅沢、みたいになっている日本の風潮はやっぱりどうなんだろうと思う。
わたしはロングヘアを切らなかったし、ネイルサロンで新しくマニキュアをしてもらった。赤ちゃんが産まれても罪悪感を持たずにお風呂だってゆっくり浸かるし、髪もしっかり乾かす。サロンだって行くつもり。
小さいことだけど、もっと日本のお母さんが自由になったらいいと思う。





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