10行と3分
九州に住む祖父母に手紙を出した。
写真展をやったこと、体調に気をつけてほしい、
時間を見つけて会いに行く、
そんな旨を書いた手紙と、
先日開いた写真展の様子とお気に入りの写真を
数枚添えて送った。
数週間前、家族が祖父母の家に
顔を出しに行った時、自分が用事で行けなかったこと、
それを残念に思っていることも忘れずに書いた。
1枚の手紙と数枚の写真。
10行のLINEが届いた。8個も絵文字をつけて。
改行も変換もぎこちなかったはずの文面が、
今では可愛らしくなっていることにふと気づかされる。
音符と笑顔の絵文字。私もたくさん使ってみようかな。。。
手紙に絵文字とか書いちゃおうかな。。。
電話がかかってきた。
「手紙、ありがとね」
祖母を亡くしてから、どこか寂しげになった祖父の声は
相変わらずだった。
それでも、
近況を聞いてくれたり、話してくれる声が
今、耳に届いてること。少し寂しいけど。
確かに聞こえる声。手紙、出してよかった。
無償に字を書きたくなる時がある。
意味もなく人の名前を書いていたり、
会う約束もしていない友人にメッセージを書いたり、
これまで好きになった芸能人の名前を書いたり、
メモする必要のないことをメモしたり、
ひたすら「ねむい」とだけ書き続けたり。
そんな時間が落ち着く。好きだ。
でも、そんな字を書く時間の中でも
「誰か」に向けて言葉を考えて、
それを読んでいる姿を想像して書き進める
時間が一番好きだと改めて感じた。
これからどのくらい顔を合わせることが出来るのか
分からない人へ送る手紙は、決して長くはないけど
「体調には気をつけて」
最後の文にそれだけは忘れずに、また手紙を書こうと思う。
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