日中の暑さが和らいで、辺りは薄暗くなっていた。 玄関は靴でいっぱいだった。 大好きな場所にいるはずなのに、 なんだか落ち着かなくて。 賑やかな声から逃げるように、私は外に出た。 私は多分どちらかと言えば愉快だ。 それは間違いなく母からの遺伝で。 そんな母の愉快さは、間違いなく祖母からのものだった。 私が物心ついた頃から透析していた祖母。 決して体は強くなかった。 腕にはいつも透析の痕跡があった。 薬も欠かさず飲んでいた。 それでも私よりもパワフルで、働き者で、 笑い声の絶
家の中に、随分血を蓄えていそうな蚊。 足に吸われた痕跡。 「お前か〜…」 母が容赦なくバチンバチン 追い込んでいくのを眺めていました。 重そうな身体で天井高くに逃げていって。 またどこかに消えました。 明日にはもう一個、二個 私の身体に赤く跡をつけていくんだろうな。 痒い痒い。 ちょっと触れただけで死なないで。 私が悪いみたいだから。 去年の五月末、メモに書き残していた言葉。 蚊を見ると、思い出す祖母の記憶がある。 会いたいなぁ…。
九州に住む祖父母に手紙を出した。 写真展をやったこと、体調に気をつけてほしい、 時間を見つけて会いに行く、 そんな旨を書いた手紙と、 先日開いた写真展の様子とお気に入りの写真を 数枚添えて送った。 数週間前、家族が祖父母の家に 顔を出しに行った時、自分が用事で行けなかったこと、 それを残念に思っていることも忘れずに書いた。 1枚の手紙と数枚の写真。 10行のLINEが届いた。8個も絵文字をつけて。 改行も変換もぎこちなかったはずの文面が、 今では可愛らしく
初めての展示会。 開催を決めてから、搬出までの間 とにかく自身と向き合い続けた展示会でした。 『言葉』についての感想を多くもらったことが 今回の展示での一番の収穫だったように思います。 自分では気づけない自分の在り方を見つけられたようで すごく意味のある時間でした。ワクワクしました。 足を運んでくださった皆さん、ありがとうございました。