「ない」もの探しをやめるまで|#出版社逆転対策プラン
突然ですが、アンケートを行います。
全部で8問あり、「はい」か「いいえ」の2択です。
Q1. あなたは、本が好きで年に何十冊以上も読む人だ
Q2. あなたは、漫画が好きでどのジャンルも幅広く読む人だ
Q3. あなたは、ファッション・メイクのことならなんでも話せる人だ
Q4. 本・漫画・ファッション誌等コンテンツに幅広く精通している
Q5. 何かひとつだけ、誰にも負けないほどの知識がある
Q6. 出版社でのアルバイト経験がある・もしくは編集に関わる業務をしたことがある
Q7. 周り・大学のOB、OGに出版社で働く人がいる
Q8. 大学時代に、何か物凄い経験をした・成し遂げた
どれかひとつでも当てはまる方、本当にすごいです。そしてそれはあなたの武器でもあります。
どれも微妙もしくは当てはまらなかった方、まだ間に合います。
このnoteは上記のアンケートにひとつも当てはまらなかった、自称・元スーパーネガ子さんのお話です。少しでも力添えになれば、幸いです。
1. ネガ子さん、出版社を目指す
-大学2年生の6月ごろ-
授業でキャリアプランを考えた。
とにかく自分と全然違う考えや文化を持つ人がおもしろくて好きで、大学時代は英語を積極的に学んだ。ぼんやりと、将来は英語を使って海外の人と仕事ができたらな〜なんてことも考えていた。
そんなときに偶然見つけたのが、出版社の「海外ライセンス」というお仕事だったのだ。
「海外の人と繋がれて、しかも自分の大好きなコンテンツを共有できるなんて、、なんて素敵な仕事なんだ…!!」
ここで「海外ライセンス」という夢を見つけた私は、6カ月のアメリカ留学に旅立つことになった。アメリカに行けば、日本のコンテンツがどのくらい人気なのかを確かめることができると考えたからである。
現地では、漫画やアニメーションの授業を受けて、プレゼンして、自分の言葉で作品の魅力を伝えられるようにあちこち回った。とにかく必死に。そして自分の言葉で伝えることに、感動した。
▲クラスメイトからのフィードバックたちです。「自分の言葉で作品の魅力を伝える」ことで、こんな素敵な景色があるとは!と感動しました。
留学中は「コンテンツ好きの執念」が私を行動力おばけにしてくれた。
それまでは、日本で店員さんにトイレの場所も聞けないほどのハイパーコミュ障だったのにもかかわらず…笑
「好きなことだったら、コンテンツに関われたら、なんでも頑張れる」
そんな自分を見つけた半年間だった。
同時に私の第1志望は、出版社の「海外ライセンス」となったのだ。
志望を決めたからにはやるしかない。
日本に帰った4年生の4月ごろから、友人とシューカツなるものを始めた。
2. ネガ子さん、シューカツを頑張る
自分のやりたいことを成し遂げたいとガンコすぎるネガ子さん、シューカツも真面目に行う。自己分析、他己分析、ESセミナー、企業説明、インターンシップ説明会…就活に関するものは片っ端から情報を集めた。
就活をしていると
「業界は絞りすぎないほうがいい」
なんて言葉を先輩やセミナーの講師から何度も聞いた。
だから、初めは自分の興味問わずいろいろな業界の話を聞いてみた。
でも何かしっくりこない。ESも全然書けない。
働くことにわくわくするイメージができない。
他業界の説明を聞けば聞くほどに、「やっぱり私は出版社じゃないといやだ」という想いが募るばかりだ。
だからなのか、他業界に出した夏のインターンは全落ちした。
同時にやる気も失せたので、友人と神保町をぶらっとしてみた。
出版人であろう人を見つけたら人間観察してみたり、あの中にいる自分を想像してみたりなんかして、、笑
10月になって、出版と取次会社に絞って就活した。これで晴れて「出版ガチ勢」のはじまりとなった。
ネガ子さんは、これも片っ端から手を伸ばしていくことにした。
出版社のセミナーがあれば、全部聞く。一度聞いた企業でも、全部。
私の周りには出版社で働く人はいなかった。だからまずOBを探す。アプリやSNSで見つけては、アタックしていく。友だちや家族にも、マスコミ関係者はいないかと声をかけた。
とにかく「出版」にまつわるものならば、すべて吸収した。インターンもチャンスを広げるために参加した。
でも、情報が増えれば増えるほど、大きく募るものが「不安」だった。
聞くところによると、どうやら「海外ライセンス」という仕事は超エリートでないと採用してもらえないらしい。3カ国語以上話せるとか、帰国子女とか。
そもそも出版社を目指す時点で、本を何十冊も読むのは当たり前だとか。
それに対して私は
純日本人で、英語はネイティブ並みでは「ない」
マンガは大好きだけど量は人並み程度で、ジャンルは広く「ない」
本は、人生で数えきれるほどしか読んできて「ない」
ファッション誌は、読んだことが「ない」
出版社でアルバイト経験なんて「ない」
もっと致命的なのは、人生において成功体験が「ない」
あれ…私って、「ない」ものばかりじゃん。
そうして本選考を控えた12月、私は大学のキャリアカウンセリングに頼ることになったのである。
不安を払拭してもらいたかった。とにかく自信もないし…。
出版社って、どうせすごい人たちの集まりなのに、本当に行けるのかな。
そんなときにぴしゃりと言われた。
「そんなに言うなら諦めたらいいじゃないですか。今のあなただと、出版社どころか、どこからも内定もらえないです」
思いがけない言葉で、大泣きした。そして強く感じたのは
「いやだ。諦めたくない。それでも私は出版社に行きたい」
という想いだった。覚悟が決まり、年が明けた。
3. ネガ子さんの#逆転対策プラン
「ない」ものを探しても仕方がない、だから少しでもなくしていけばいい。
1月からは「ない」ものを補うための逆転対策プランが始動した。
① 国立国会図書館に通う
今まで読んでこなかった本、漫画、雑誌など、幅広いジャンルに触れる。ほかにも就活生っぽい人が雑誌分析しているので、モチベ向上に繋がる。
② コンテンツを分析
「なぜ人気になったのか」「なぜ私はこの作品が好きなのか」「どんなところがおもしろくて、どんなところがつまらないと感じたのか」
すべて言語化できるようにまとめた。量は多くなくたって、好きなコンテンツを深く深く掘っていけばいい。
③ ES対策
何千という志望者のなかでも光るESにするには、自分の言葉で、具体的に書くことが重要だ。その会社で、あなたは何を成し遂げたいのか、コンテンツを通して何を伝えたいのか、誰に作品を書いてほしいのか等、具体的に書くほど実現性も高まる。そして、読み手を楽しませる工夫を。手書きなら、愛を伝えたい放題!書いたものは、OB・OGの方々に添削していただいた。
④ 作文対策
何千といる志望者の中で「自分らしさ」を出すためにはどうするか。それを工夫して何度も書いて練習した。書いてみたら、友人・家族・OBに読んでもらう。いろんな人から「おもしろい」と言ってもらったものを推敲し、予定稿とした(ちなみに私の鉄板ネタは、アメリカのお金配りおじさんです)。
あとはネタ探しのために、街を歩いたり友人と会ったりするのもいい。
「すごい経験がなくても、些細な日常に「おもしろいネタ」は転がっている。」
⑤ 面接対策
出版社の面接はどうやら特殊らしい。そんな情報を得たので、友人や父親と何度も面接練習をした。すごい経験がなくても、エリートじゃなくても、熱意と「私」という人柄が伝わるように。あとはとびきりの笑顔で!
⑥その他:ネタ探しの方法
就活中は、面接やES・作文で使えそうなネタを常に探した。Twitterで、「ISSが上空を通る」という情報を見つけて実際に見てみたり、某マンガの聖地巡礼をして地元の人に話を聞いたり、有名編集者の講演会を聞いたり。そういう積み重ねも、「ない」ものを補う強力な武器になった。
⑦その他:成功のイメージ
出版社に入る自分…だけではなく、入った後の自分を具体的に想像(妄想)していました。私は入った後、何を成し遂げたいのか…。
そうすれば、今自分に何が足りなくて、どう対策するべきかを試行錯誤できます。軸も再確認できます。長期的にプランを練って、行動してみる!
▲シューカツ時代の対策ノートです。(左上:コンテンツ分析ノート、右上:面接対策ノート、左下:企業分析ノート、右下:作文対策ノート)
▲こちらは、光文社のエントリー時に使った資料です。ショート動画の提出があったので、わたしの「強み」を簡潔に説明するために作りました。
《2月〜6月、出版社 本選考の山場》
ネガ子さんの戦略は、「マンガ編集者」を第1志望に受けることだった。
やはり「海外ライセンス」を第1志望に受ける勇気はなかったのだ。
幸運なことに、対策が功を成して2社ほどマンガ編集者志望の面接へとコマを進めることができた。だが1次落ち&最終面接落ちという、なんとも言えない結果に。そのときずしりと心に引っかかるものがあった。
その引っかかりは、徐々に後悔となっていく。
「たとえ無理でも、海外ライセンスを第1志望に受けたらよかった。」
そんなとき、光文社22卒の採用サイトにて「国際事業部」で働く方のインタビューを見つけた。どうやらできたばかりの部署であるらしい。ここに賭けてみるしかない。
「光文社の国際事業部を第1志望で受けて、それでもダメだったら諦めよう。」
そう決意を固めた。
光文社の選考フローを見ていると面接の回数が多い。だからこそ、自分のやりたいことがかなえられるか確認する機会もあったし、熱意を伝えるチャンスもあった。
「ファッション誌も本も新書も、そんなに読んだことないけど大丈夫かな」
初めはそんな心配もあった。でもすぐに消えた。
とにかく面接が楽しかったからだ。
というのも、どの面接官の方々も知識・興味が幅広すぎる。
《たとえば私の一次面接》
「K-POP最近人気だけどさ、J-POPってもうダメかな?」
(ちなみに当時の私、K-POPに関して無知です)
面接の最後
(「何か言いたいことや聞きたいことはある?」と質問されると思いきや)
「最後に聞いていい?きみ絶対音感あるの?その絶対音感ってさ、声の高低とかも音に聞こえるタイプ?それとも、もうちょっと軽めのタイプ?」
《たとえば私の最終面接》
「(日本語でいいから)マエケンの本を外国人に向けてプレゼンしてみて」
「(ESを見て)オススメの韓国マンガある?」
質問が斜め上すぎて、おもしろすぎる…!
しかも憧れの出版社で働く方々が、学生の「私」と対等に話をしてくれる。それだけで胸がいっぱいになって、どの面接も「自然体の私」で話すことができた。
[こぼればなし]今思い返すと、最終面接のときに「ESからも、作文からも、"届けたい"という想いが一貫しているよね」と言ってもらえた気がします。
▲面接のときにプレゼンした本です。まさか、中学生の頃に初めて買った新書を社長面接で話すことになるとは…!(『エースの覚悟』前田健太 光文社)
4. ネガ子さんは伸びしろしかない
シューカツを終えて同期に会った。
ふたりとも超大人&ハングリー精神の塊である。
だからネガ子さんは入社に向けて、ふたりについていけるか、出版社で生きていけるかドキドキ不安な毎日を過ごしている。
それでも、シューカツを通して得た前向きな気持ちは忘れず、「海外ライセンス」を目指してやっていこうと思う。
《私のシューカツ体験から言えること》
① 「ない」ものは今から補えばいい。
② 好きなことには猪突猛進する。熱い気持ちを持っていれば、面接官に伝わるはず。そして自分のやりたいことからブレないこと。
③ 面接を心から楽しんじゃうこと。出版社の人と話せる機会なんてそうないから。
アンケート結果で後者だった皆さん、これでもう「ない」もの探しは終わりにしましょう。
逆転対策プランのスタートです!
5. ネガ子さんは〇〇さん。【同期が思う内定のカギ】
いや、すごい。
ネガ子さんのまだ見ぬ一面を垣間見てしまった……。
自分の「好き」をアツく語るネガ子さん。その楽しそうな姿はこれまでも印象的だったのですが、まさかここまでとはな。
「行動力おばけ」
この記事を読んだあなたの頭には、まさにこの言葉が浮かんでいるはずです。
誰にもゆずれない「好き」と、それを支えるだけの行動力。この両輪で疾走するネガ子さんだからこそ、出版就活の難路を走り抜けることができたのでしょうね。
「ない」のぬかるみにはまっても、内定というゴールに向かって進みつづける。いつだって新たなゴールを見つけられそうな前向きな姿勢は、面接でも高く評価されたはずです。わたしたちのエンジンが不調なときにも、きっと力強く牽引してくれる気がしています。
頼りにしてますよ!
(さぬき)
ひぃぃぃ。ネガ子さん、、、#努力の天才#共感を誘うの上手い#実力あるのに謙虚#どんなことがあっても前に進む力恐るべし
同期2人を見ていると、私にはない才能を持った人達だと感じることが多いのですが、ネガ子さんの魅力はなんといっても、穏かで優しい雰囲気とは裏腹に、ヤルときはヤル!!っていう勇ましさかなと勝手に感じています。文中にあったエピソードでも感じましたが、コレと決めて一心不乱に打ち込む人の強さを垣間見たような気がします。ネガ子さんが一生懸命だからこそ、文章にも勢いが出るし、人の気持ちをしっかり捉える文章が書けるんだろうなと感じました。キャッチーな言葉遣いや、読ませる文章、そんなしっかりとした実力はさることながら、ネガ子さんのひたむきに努力できる才能、前に進む力に賭けたくなったのだと分析します!!(たまひな)
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