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『シン・ニホン』プロデューサー岩佐文夫さんに質問 アンバサダー編 VOL.02

2020年4月にスタートした、書籍『シン・ニホン』のアンバサダー制度。第4期養成講座が修了し、現在81名のアンバサダーが活躍しています。

第5期養成講座の募集が始まった2021年5月某日、運営メンバー3名が『シン・ニホン』プロデューサー(現VOOX編集長)の岩佐文夫さんに質問しました。

Vol.1コミュニティ編に続いて、Vol.2では『シン・ニホン』誕生裏話やアンバサダーへの思いについて聞きました!

こと: Q.文夫さんは「安宅さんが本を書くと聞いて驚いた」と以前のnoteで書いていらっしゃいましたが、最初どんな気持ちで『シン・ニホン』を書いてもらいたいと思ったのかをお聞きしたいです。

A.安宅さんに本を書いてもらいたいと企画したのは(井上)慎平さんだったんです。
依頼するにあたって、わざわざ僕に事前に知らせてくれました。僕はもうその時フリーランスだったし、親しかった安宅さんが他の編集者と一緒に本をつくることになっても気にしないタイプなので、「うまくいくといいね」という話をしました。それにどう答えるかは安宅さんだし、忙しい安宅さんがその気になるのか?半信半疑でした。ただ、本が出るのだったら応援するよということを慎平さんにも言いました。

後日、安宅さんも本を書くことにした、という話をお伺いしました。その時は「そうか、ついに安宅さんが書くか!」と感慨深かったです。そして安宅さんにも「頑張ってください、何かあったら僕も協力しますよ」と伝えました。

それから安宅さんと慎平さん二人で本作りをスタートして、2ヶ月目だったのかな?そこで少し滞ったようで、プロデューサーとして入ってと言われて、3人でミーティングをしました。

こと:Q.『シン・ニホン』が世に出て、今どんな感情を抱いてらっしゃいますか?

A.やっぱり安宅さんの仕事を間近で見れたのは本当に良かったですよね。それまで僕と安宅さんは、雑誌での大きな記事づくりを一緒にしたことなどありましたが、本を一緒に作ったことはなくて、これだけ大きな仕事をしたのは初めてだった。安宅さんの仕事ぶりを間近で見て、どれくらいこれに労力を割くか、どのくらい苦労されるのか、そういうプロセスを全部見れたっていうのはやっぱり言い難い経験でした。

人が本当に本気を出して、持てる力を持って世に問う、という姿勢の労力の使い方、あるいはそれに対するリスクへの向かい方とか。恐れもやはりあると思うんですよね。そういうものを乗り越えて筆を進めて著書を世に出すところを見れたのは、やっぱりかけがえのない思いでした。

多分これは慎平さんにとっても一生の財産だと思うんですよね。編集者冥利に尽きる。編集者や20年30年やってても、こういうこと見れなくて終わる人って結構いると思うんですよ。
編集者は著者に育てられるところがあるんで、「こういうことか」というのをまざまざと僕は実感できたし、慎平さんもそれを一気に実感できた瞬間っていうのがあります。

それと、この本が世に出たことで、いろんな動きを目の当たりにしました。
こんな分厚くて高い本がこれだけ売れるのは想像もしてなかったし、その反響がいろんなところに来てムーブメントが起きて、アンバサダーも集まってきて。

それまでご縁のなかった人と同じ仲間として繋がれた、そして新しい世界を見せてもらえたのは、本の力です。行政や企業の中でも影響を及ぼしてる。読んでくれた個々人にも変化を起こしてることを想像するだけでワクワクします。

もう一つは僕はそれまでハーバード・ビジネス・レビューの元編集長と言われてましたが、『シン・ニホン』を出した後には『シン・ニホン』のプロデューサーと呼ばれることが増えて、そのくらいインパクトがあったのを感じました。

こと:Q.文夫さんから見て当初アンバサダー制度を立ち上げたときのイメージと、今のアンバサダーズコミュニティのイメージはどのように違いますか。それぞれどんなイメージを持っていらっしゃいますか。

A.僕はいつも長期の計画を立てないタイプで、これを始めた時も行き着く先は何なのかをあまり考えてはいませんでした。想像もしないし。ただ、アンバサダーが100人になれば凄いだろうなと思いました。100人になったら世界が変わるだろう、と。実際始めてみると、こんな風になると思っていなかったことがいくつかもあって、こんなに手離れすると思わなかったっていうところですね。

自然と集まってきたアンバサダー81人の中で、「私はこれが得意です」「私はこれをやります」「僕がこういうことが得意です」って、みんなが技を率先して発揮してくれるんですよね。
これが面白くて。さとみさんはその代表ですよね。率先して何かやりはじめるわけですよ。やりだしたら何かが動き出して、自走する。そして誰かが巻き込まれていく。そういう動きが無数にあり、コミュニティが創発的に動いていく。この様子を、今では僕もその中の一人として楽しんでるって状況です。
何か面白いおもちゃができたなっていう感じはあります。

こと:Q.文夫さんがアンバサダーに期待するのは、どんどん『シン・ニホン』の本を広めて「残すに値する未来」をつくっていって欲しい、ということでしょうか?

A.「期待する」という言葉は傍観者っぽいので使いたくないのですが、「こうなったらいいな」って思ってることで言うと、まず無理しないで欲しいです。楽しんでアンバサダーをやってほしい。使命感じゃなくて、この活動することが自分にとって「楽しい」「意味がある」「役に立つ」「学びになる」と。そういうつもりでみんながやってくれたらいいなと思ってます。その方が持続すると思う。

自分たちが正しいことやってるとか、正しいことを広めなきゃいけないという正義感でやると、反応してくれない人に対してがっかりしたりします。そういう活動ではなく、プロセスを楽しんでいて、無理がなくて、自分が好きだからやってるんだって思える状態が続いて、その思いにん賛同してくれる人が増えるといいなって思っています。

こと:Q.文夫さんが以前におっしゃっていた「安宅さんを教祖にしてはならない」という言葉が自分に響いていて、安宅さんを広めるために活動するのではなく、自発的に楽しく活動してくれるアンバサダーの人が今後も増えてくれればいいなと思っています。

A.そうですね。本当に楽しんでもらいたいですね。アンバサダーというものに期待するとすればそういうことかな。

こと:Q.文夫さんは『シン・ニホン』を作りながら、こんなものが未来にあったらと着想を得たものは何かありますか?

A. 僕が『シン・ニホン』のなかで、この本を最も象徴しているの図表は、6章のP392にある図 6-19だと思っています。ここには問題解決の2つの型が紹介されています。一つは「ギャップフィル型」というのが従来の問題解決で、健全な状況と現状のギャップを分析してそれを埋めるタイプの問題解決です。

もう一つは「ビジョン設定型」で、これはまず目指すべきゴールを決めて、そんおビジョンの実現に向かってやるべきことを決めていくタイプの問題解決です。『シン・ニホン』ではこのようなビジョン設定型の問題解決がこれからますます必要だと主張しています。

安宅さんご自身は、この「ビジョン設定」の一つとして鎌倉の建長寺で、風の谷のアイデアが突然降りてきたと仰っています。
それに僕は羨ましいなと思っています。僕もそういうものを自分の中で作りたい。まだそういうビジョンがないのが現状です。何かポーンって「これをやったらこういうこういう問題が解決できるんだ」っていう、ビジョンが浮かんだものを作ってみたい。

ひら:自分は読書会を開くタイプのアンバサダーではないです。別の手段で(例えば新しい企画への着想を得たものとして紹介するなど)『シン・ニホン』を広めるアンバサダーというのはありでしょうか?本を一人で読むタイプの人にも読んでほしいと思っています。

A.ありですね。アンバサダーの概念を拡張して欲しいなと思います。そういう人がいればそこもアンバサダー活動になるわけですから。
僕もそこに個人的に共感できるとこがあって、今まで人生で読書会に出て楽しかった覚えがない。それは自分で読んだ感想を人にシェアしてとか話したいと思ったことがないんですよね。本は一人で読むもので、もうそこで終わりなんですよね。

仕事のミーティングが好きですけど、特に共通項がない、目標一致しない人と異業種交流的なものの集まりって全く楽しかった覚えがない。自分が過去に人生で楽しくなかったことを全部ひっくり返して自分だったら参加してみたいコミュニティ作ろうと思ったんですよね。それはある程度実現してる感じがします。
なので、一人で読む人にも読んでもらえるような活動って、とても共感できます。


ハマ:Q.では、アンバサダー制度が文夫さんが作られた初めてのコミュニティになりますか?

そうかもしれません。少し古い話ですがハーバード・ビジネス・レビューの時に読者のコミュニティを作ろうと一生懸命やったことがありました。プロダクトって作り手側がどんなに宣伝しても面白くなくて、使ってくれた人が口コミで広がる力って大きいですよね。そういう意味だと、作り手と使ってくれた人が分担してではなくて、一緒くたになって広める世界観というのは頭の中で理想として持っていました。それは買ってくれた人が偉いわけでもないし、作った方が偉いわけでもない。そこの境界線がなくなって、「これいいよね」って言う輪が広がるって世界が世の中のムーブメントとなるのが好きです。そういうものを作りたいと思っていたのはあります。

ハマ:Q.前半でお話されてたリーダーシップの考え方に近い概念かなと思いました。

A.ピラミッドができて、偉い人が上にいて、新しく入ってきた人は末端で、古株の人が偉そうにしてるコミュニティが大嫌いなんですよ。出入り自由で、オープンで誰でも受け入れられるし、組織を出ていくときもすっと抜けれる、でも結束があるという形が好きで、そういう形の組織コミュニティは実現可能なのか。これまでなかったけど、そんなものを作りたいなっていうのはずっと前からありました。

ハマ:Q.今5期生を募集中ですが、5期生に対してと、また5期の応募を迷っているという方向けにもメッセージをいただけますか?

A.養成講座って名前ですよね。大げさな名前が付いてますけど、本当に参加条件は一つで、『シン・ニホン』を読んで良かったと思ってくれさえすれば、自分がこの場に来て大丈夫だろうかとか、みんなと仲良くなれるんだろうかとか一切考えないで来てくれたら嬉しいなと思ってます。
仲良くなるのが目的ではないし。根拠のない自信ですが、多分、養成講座に来てくれた人は良かったと思ってくれると思うんですよ。『シン・ニホン』を読んで良かったと思ってくれる人にとっては、必ず良い気づきの機会、新しい気づきの機会を提供できると思います。さらに良い仲間、素晴らしい方々と出会えるので、そこは心配しないで来てもらえれば嬉しいなと思ってます。

ハマ:Q.5期の運営メンバーにも一言お願いします。

A.楽しんでもらいたいってことですね。(2期で)運営を手伝ってもらう時も、(3期で)任せようと思った時も、お願いしますって気持ちと同時に、運営を託したり手伝ってもらうことがその人にとって絶対良いことだと思っていました。受容する立場より提供する立場の方が学ぶは深まります。それは多分(これまで運営に関わった)みんな思ってくれてたんじゃないかと。
そういう意味では、何か「こうしなければいけない」っていうことのために頑張るんじゃなくて、自分がその役割を担って、楽しんで気づきを得て、成長できる場として利用してもらいたいと思ってます。


こと:Q.最後に、質問ではありませんが、コミュニティを作っていただいて、ありがとうございました。アンバサダー養成講座は、皆さん優しくて対等に接して下さって、サードプレイスのような感じで、流動性も高くて本当に良い素敵なコミュニティだなと、改めて感謝しています。ありがとうございます。

A.ありがとうございます。個人的には結束力やベタベタした人間関係が好きじゃないんです。そこに行ったら迎えられるけど、来なかったら「あいつ来ないじゃん」とか言われない。そこに偉い人がいるわけでもなく、いつ来てもフラットな関係で迎えられる。でもここに来たらここのカルチャーで行動したいと思えるような価値観がいつも感じられる。そんな関係やコミュニティであるといいですね。

インタビュアー:濱上 隆道(ハマ)・三森琴音(こと)・ひら・岡村さとみ
編集:ひら・岡村さとみ

集合写真_一期生

2期

運営を一緒にお手伝いしてくれる方、5期アンバサダー養成講座の応募受け付け中です!下記よりご応募ください。〆切:2021年5月24日(月)23:59

『シン・ニホン』アンバサダー第5期募集
第5期養成講座の受講者募集します。2020年2月に刊行された『シン・二ホンAI×データ時代における日本の再生と人材育成』。


アンバサダーズコミュニティとは「残すに値する未来を創る」

『シン・ニホン』で投げかけられた著者のメッセージに賛同し、未来を創る動きの総量を増やすため、『シン・ニホン』の読書会を主宰する。それが、『シン・ニホン』アンバサダーです。

『シン・ニホン』アンバサダーは、アンバサダー養成講座プログラムを修了し、アンバサダーの名を冠して『シン・ニホン』の読書会を主宰することを認定されています。

運営母体は当初は出版社であるNewsPicksパブリッシングでしたが、2020年12月より、アンバサダーが立ち上げた任意団体『シン・ニホン』アンバサダーズコミュニティに。現在は第1期から第4期メンバー、81名が所属しています。

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