議員の品格

ハッシュタグでのやりあいが興味深い。#検察庁法改正案に抗議します、から#検察に安倍首相に対する捜査を求めます、現政権に対する非難をハッシュタグの合言葉で拡散するのが流行りになっているのか。しばらくはこの傾向が続きそうだ。何においても深い議論に繋がればいいのだが。

11日の参院予算委員会で、立憲民主党の福山哲郎幹事長が政府・専門家会議の尾身茂氏に対する態度が物議を醸している。抗議はまたしてもハッシュタグ化され、#福山哲郎議員に抗議します、の言葉で拡散された。改めて、やり取りを見ると、このハッシュタグをつけた方は寛容だと感じる。自分であれば、議員はつけない。国会議員としての品格など微塵も感じない振る舞いである。野党第一党の幹事長がこの程度であれば、政権交代など起こりえないという感を抱いた。

福山議員が尾身氏へ新型コロナの感染者数について質疑した。ある日の尾身氏の会見の言葉を用いて、国内感染者は発症の有無に限らず、10万人いるという認識かという問い。尾身氏は先の会見での発言を補足説明したうえで、はっきりとした数字は言えないとした。すべての人を検査していない、できないことは国民の共有できる事実で、率直な答弁と受け止められる。質問したいち議員を除いて。

その後、同議員は専門家会議の他のメンバーの数値予測を持ち出し、再度感染者数はいくらなのかと詰め寄る。尾身氏は統計学を用いて、予測した数値であり自身も理解はできるとした上で、自身の考え、正確な数字はいえないとした。議員はさらに安倍総理へ認識を問い、再度尾身氏へ「10倍いる可能性も否定もできないし、肯定もできないんですよね?」と尋ねた。

自分にはこのやり取りの意図が分からなかったが、尾身氏は「大切なポイントを指摘していただいていると思います」と前置きし、説明を始めた。それが気に障ったのか時間がないので短く、と答弁に横槍を入れる。話を遮られながら、やっと答弁し終えた尾身氏に対し、「まったく答えていただけなかった」と言い放つ。議員ではない参考人として参加している学者に対して、礼節を欠く言動は、多くの国民が目にあまるものを感じたと思う。

サラリーマンとしてわかるのは、つまるところ福山氏に(あえて議員はつけないが)答えがあって、その合わせをしたかったのだと思う。問いに対して、Yes、Noで答えろ、というビジネスシーンでよくある「あれ」である。しかし、すでに答えてあることを執拗にこすられては、説明や補足をしなければならない気持ちになる尾身氏の心情はわからなくもない。慣れない場で、議員でもない立場で、心労をお察しする。

この質疑に対して、福山氏は「尾身先生にこの間のご尽力に感謝と敬意を申し上げた、敬意を持って接していたつもりですが、少し言葉も含めて厳しい口調になった」と説明、謝罪した。確かに冒頭に感謝の言葉はあった。しかし、およそ感謝の言葉が書かれたペーパーを読んだという印象しか持ちえなかったが……。野党議員も与党議員も、誰でもいい。今この国難な時だからこそ、胸のすく政をみせていただきたい。

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