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私の体は、女性として正常か?への回答/おまけ: 『ブリジャートン家』感想など


私の体は、女性として正常か?への回答をくれたのは

今日は区民プールへ出かけた。券売機で240円のチケットを買って受付で見せる。「出てきてから見せてもらえばいいですよ」と言われて、私は更衣室へ向かう。更衣室には誰もいないけど、端っこのロッカーを選んだ。壁際の端っこのロッカーの前で、人が来ないうちに、と素早く水着に着替えた。あとで同居人に聞いたのだが、男性更衣室では着替えるときに誰も体を隠さないらしい。真っ裸でうろうろするのが通例のようだ。「隠したりするのは、男らしくない」、らしい。一方、女子更衣室はどうなっているのかというと、まず真っ裸でうろうろする人はいない。ロッカーに向かって見えないように着替えたり、移動するときもタオルで隠したりする。昔を思い返すと、中学生くらいの頃が一番、自分の体を隠したかった。胸が膨らんでいるか、くびれがあるか、太っていないか、ダサい下着を着ていないか、自分と同級生を比べて、自分の体が他人からどう見られるのか、気になってしょうがなかった。

今日泳ぎながら気づいたことは、「あ、わたしそういえば、脇毛を剃っていないな」ということである。大人になって、特に全身脱毛をしてからは、自分の体毛が気にならなくなった。中高生の頃を思うと本当に苦しかったなと思う。他人の目が気にならなくなってきたのは、年をとって良かったことの一つだ。

自分の体を許せるようになったのは、年齢のおかげだけではない。はっきりと覚えているのだが、初めて男の人とセックスしたときに、「あ、私の体はこれでいいんだ」「なんだ、私の体は正常なのね」と思った。女性の体にまつわる過度な美しさの強調や、特に、セックスできる体はこういったものだという誤った語りは、うっすらと、けれど長く私を縛っていたように思う。しかし、あっけなく人とセックスができたときに、「なんだ、私の体はこんなものでよかったのか」と思った。自分の身体が正常に男性に欲っされたという経験が、自分の体へのイメージをポジティブにしたということは、まったく誇らしくないが事実だった。別にシャンプーのCMのように髪が輝いていなくても、脱毛の広告が煽るようなツルツルに手入れされた手足でなくても、インフルエンサーのように体重が40kg台でなくても、私の体は美しかった。それもまた、私の見つけた事実だった。

今日は豪雨だったから、プールは人が少なかった。25mを泳ぐたびに、少し息が上がる。ゆっくり無理せずに泳ごうと決めた。無理せずに、ただ続けることを大事にしたい。そう思えるようになったのも、20代後半になってからだ。
フォームを意識して泳ぐのだが、どうも泳ぎが上手くならない。子どもが通うスイミングスクールみたいに、私もコーチに習いたいものだ。プールは、カラフルなコースロープによって、完泳コースとフリーコースに分けられている。簡単に言うと、どうみても水泳経験者だな、という上級者は完泳コースに、子どもや私のような初心者はフリーコースで練習する。
水中に少し潜って、完泳コースの人の泳ぎを盗み見てみる。すごくゆっくりと無駄がない動きで、ぐんぐん前へ進んでいく。とても自信ありげに泳いでいる。いいなぁ。あんな風に、自分の体が思い通りに動いたら気持ち良いだろうなぁ。ぎこちなく、水中でジタバタと手足を動かしながらそう思う。年をとってようやく、自分の体が自分のモノだと感じられるようになってきた。次は思い通りに体を動かせるようになりたい。

プールを出たのは夜の19時だった。せっかくだからといつもは行かないプールの近くのスーパーに寄ってみた。よその街のスーパーに行くと、なんだか友達の家で、冷蔵庫を開けた時の感覚を思い出す。他人の生活に許可なくお邪魔しているような背徳感。「ここはお惣菜が充実しているのね」とか、「肉は国産が売れ筋なのね」とか、ついつい商品棚を物色してしまう。
そして、私のよく行くスーパーは、YOASOBIの『アイドル』やCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』がよく流れていて、私はそれを苦々しく思っているのだが、今日行ったスーパーではユーミンの『空と海の輝きに向けて』が流れていた。最高だ。1973年、ユーミンのファーストアルバムに収録された名曲。私は鼻歌を歌いながら、半額の豚ロースを買った。

遠い波の彼方に金色の光がある
永遠の輝きに命のかじをとろう

「ねぇ、昨日の政見放送見た!?」

※以下、書き終わってから気づいたのですが、投稿が投票日当日になってしまい公職選挙法に引っかかる可能性があるので候補名を伏せます。投票結果が確定したら名前を戻すかもしれない。

2024年7月6日。明日は七夕、そして都知事選開票日。
私のSNSでは「○○さんに投票しました!」という声しか見ないが、これはエコーチェンバーで、情勢報道通りの結果になるのだろう。
私にとっては初めての都知事選への投票となる。もちろん○○さんに投票するつもりだ。

私にとって密かな楽しみは、当日の開票特番だ。いつも荻上チキさんが担当するTBSラジオの開票特番を齧り付くように聞いている。
今回は実質、小池さんと蓮舫さんとの一騎討ちなので開票時のワクワク感は低いが、やはり○○さんが勝てば、私は本当に心の底から嬉しい。
衆院選や参院選の際の開票特番は面白いのでおすすめしたい。

「安倍政権早く終われ!」と食卓で話すようなリベラルな家だったので、私は中学生の頃には立派な左派に育った。
政治の話が好きだった。人権や憲法の勉強がしたくて、大学の第一志望は法学部だった(そして落ちた)。高校で、対等に政治の話ができるのは付き合っていた恋人だけだった。恋人だけは、「ねぇ、昨日の政見放送見た!?」という私の話をちゃんと聞いてくれた。恋人だけは、口汚く自民党を罵る私に、「考え方が違っても、人にそういう言い方はしてはいけない」と私を叱ってくれた。あの子だけが、私を叱ってくれた。

おまけ:最近みたもの(映画、ドラマなど)

Netflix制作ドラマ『ブリジャートン家』S1〜3、外伝

おそらくいま、世界中のティーンの女の子たちがみているだろうドラマ。貴族社会のえげつないゴシップと、これでもかというほどのセックスシーン。そして、思わずキャー!と顔を覆ってしまいそうなほどにロマンチックなセリフたちと、なぜか男性のお尻のショットが多い。でもフェラシーンは出てこないところに、女性たちが見たい(欲しい)ものは一体何なのかということが表れている。

正直、本編は基本的に「試練→激しいすれ違い→両思いだったことが判明→甘いセックス&ラブラブな結婚」という王道パターンを異性愛者が繰り返すのをただ眺めるだけだが、外伝がとても面白かった。もしかしたら外伝だけを観ても楽しめるかもしれないのでおすすめしたい。
シリーズ通して、女性は知性に溢れ、自分の人生を切り拓く力を持っている存在として描かれるため、フェミニストも非常にストレスなく鑑賞できると思う。男性は基本的に、登場人物の女性たちを誉めそやすための存在として描かれています。

また、キャストに人種的多様性も担保されていて、英国を収める有色人種の女王をみたときに、私は度肝を抜かれました。こういった固定概念をぶち壊してくれる作品が欧米の大衆文化であることを、とても羨ましく、そして自国の状況を思い出しては暗澹たる気持ちになります。

一度、TikTokでブリジャートン家の動画をいいねしたら、そのあとブリジャートン家の動画がいっぱい流れてくるようになりまして、しかもその動画がついつい見てしまう内容なんですよね。うまい!そりゃティーンに刺さるわ…と感じました。軽いタッチで、大変楽しいドラマシリーズです。

Netflix制作ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』

今更ながら観た、アニャ(・テイラー=ジョイ)の出世作。実は昔、冒頭何分かだけみて、「絶対に薬、酒、セックス依存の話じゃん、観るのキツいな…」と思って断念していました。実際は、女性差別、孤児という設定もおまけでついてきました(セックス依存は、私の思い違いでした)。
こちらもきっちりフェミニズム色の強い作品ですし、評判通り大変面白かったです。ただし、最終話はやや強引な結末だなと感じました。依存症や、過去のトラウマ、精神の不安定さは現実にはもっと人生を滅茶苦茶にするはずです。

映画『マッドマックス:フュリオサ』、マッドマックスシリーズ1〜4

シリーズ最新作が公開されるタイミングで1〜4も観ました。やっぱり4(怒りのデスロード)は最高です。評価が悪いという噂を聞いていた、3も面白かったです。
『マッドマックス:フュリオサ』も面白かったですが、アニャは、顔や体の造形がかなり特異な役者さんなので(彼女はそれが大きな魅力でしょう)、彼女の身体が荒野に存在することへの違和感を画面から感じてしまいました。なんというか、どうしても知性と上品さを感じさせるんですよね…。私が直近でクイーンズギャンビットをみてしまったからかもしれません。ベスと、ガーディアンズオブギャラクシーのソーが戦ってんな…と思いました。

北野武監督、映画『首』

Netflixで配信が始まったので観ました。あまりにも人の首が斬られて頭がごろっと転がるので、何度か目を覆いました。こんな風に人の命が大変軽い時代に生まれなくて本当によかった。
コメディーだとは聞いていたけど、思ったより笑いどころの多い作品でした。すごくよかった。
ただし、グッドフェローズよりゴッドファザーが好きな私としてはもっとロマンがある作品が好みではあります。これがグッドフェローズだとしたらゴッドファーザーはNHK大河なのでしょう。

朝ドラ『虎に翼』

今期イチ話題のドラマ、私もリアルタイムで試聴しています。素晴らしいです。
おそらくこのnoteを読んでくださってる読者さんもチェックされているドラマかと思うので割愛します。

映画『ブラックベリー』

世界初のスマートフォンを作ったカナダの会社の伝記モノ。面白かったです。こういう系統、『ソーシャル・ネットワーク』を含め、WeWorkのやつとか、Spotifyのやつとか、Uberのやつも観てるのですが、創業モノはやっぱり興奮と、最終的には虚しさが残りますね。面白かったです。キーボードなしのスマホを投下して市場をぶち壊したAppleがいかにヤバかったのかも実感しました。あんなことされたら勝てない。

『かぐや姫の物語』、『風立ちぬ』

最近、海外旅行に行ったのですが、海外VPNでしかみることのできないジブリをみなければ!と思い、Netflixにて鑑賞。どちらも過去に観たことのある作品です。(未見の「君どう」は配信にありませんでした。)
『かぐや姫の物語』はかなりはっきりと、フェミニズム映画です。かぐや姫が怒り、苦しむ様子には、毎回涙してしまいます。かぐや姫にもブリジャートン家を観てほしいよ…。
あと、音楽が素晴らしいです。

ミュージカル『Wicked』

旅行でロンドンに行きまして、せっかく行くのならミュージカルを、と思い、今年の秋に映画化が控えているウィキッドを鑑賞しました。ミュージカルといえばニューヨークのブロードウェイのイメージがあると思いますが、ロンドンのウェストエンドも負けていません。『キャッツ』『オペラ座の怪人』『レミゼラブル』などはロンドン発ミュージカルです。
と言いながら、私が今回観たウィキッドはブロードウェイの作品なのですが(笑)、恐らく劇団四季で3、4回は観た、私の大好きな作品です。
海外で舞台を観るのは初めてだったのですが、小学生が団体で来ていたり、日本より幾分カジュアルな客層でした。これは、演目的にもロングランしているポピュラーな作品だからかもしれません。
席に着いても、幕が上がるまで子どもたちは一生懸命TikTokにセルフィー動画をアップしていました。また、最初に演者が出てきただけで拍手喝采、劇中も笑いどころや、心温まるシーンなんかでは大袈裟なほど観客席からリアクションが飛びます。アンコールのときなんて席で途中うたたねしていた子どもたちも立ち上がり、全員スタンディングオベーションと大変な盛り上がり様で、「いやこの人たち、騒ぐタイミングがほしいだけだろ」と苦笑いしてしまいました。今まで、劇団四季や、帝国劇場と、海外カンパニーの来日公演を観てきましたが、今回わかったこととしては、劇団四季は歌もダンスもかなりうまいから四季版でおおむね十分だということでした。さすがに、ブロードウェイで、オリジナルキャストで観れる作品は、全然違うかもしれませんが…。
ちなみにウィキッドはLGBTQコミュニティに根強い人気を持つ作品です。アメリカのインスタグラムではクィアコミュニティをサポートする投稿がたくさんポストされています。日本でもどうかそうあってほしいところです。
オリジナルキャストの主要3人は白人なのですが(ちなみに主人公は映画アナ雪のエルサ役の人です)、今回私が観たキャストは全員有色人種で、そんなキャストで観れたのも嬉しかった!学校の人気者カップル役が白人じゃない世界線を見せてくれて嬉しい!ありがとう!
そして今思い出しましたが、高校生の頃、日本版のオリジナルキャストの沼尾みゆきさんが四季を退団された後、公演に行って、サインをいただきました…。

Kabutomushi / Mei Semones

そういえば、先ほど先生(牧野大寧さん)から、「めいさんの好きそうな音楽を見つけたよ、めいさんと同じ名前だし」とEPのリンクが送られてきました。
早速、曲の触りを聞いて、すぐにライブラリに追加。ライブラリに追加したあとに気づきましたが、私は過去のEPを気に入って、よく聞いていたアーティストでした。
今夜はこちらを聞きながら寝ようと思います。


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