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ミュンヘン、ビールは酒にあらず?

海外暮らしも20年を超えました。私は1月が誕生日なので、冬の帰省から滞在国に戻る経由地で誕生日を迎えることがあります。現在はアフリカのコンゴ共和国に住んでいます。今年の帰路は、ドイツのミュンヘンで娘(英国在住)と合流して誕生日を一緒に祝いました。

ドイツ入国には陰性証明もワクチン接収証明も不要で、コロナ以前と変わらスムーズに入国できます。思えば1年前、成田空港の出国時PCR検査で擬陽性にされ、泣く泣くフライトを逃して次のフライトまで5日間待たされたことも・・・今では懐かしい思い出に・・・だから去年の悔しかった分も今年の誕生日は大いに楽しみましょう!

ビールの地ミュンヘンなのでお祝いは🍻

ホフブロイハウス( Hofbrauhause )

宮廷醸造所として1589年創業という老舗のビアホールです。ここは約30年前の学生時代にも訪れ、1リットルジョッキを飲んで初めて記憶がなくなりそうになる程酔っぱらった思い出ある場所・・・。

内装も芸術的

毎日がオクトバーフェスト(世界最大のビール祭)のようなビアホールで、子連れの家族や友人同士で賑やかに飲んでいるグループが多く、本当に楽しそうで、こちらも愉快な気分になります。まるで私の誕生日を一緒に祝ってくれてるようで・・・ありがとう、みんな〜!(←勝手な思い込みでハッピー気分、いいよね?😅)

1リットルジョッキ、この大きさ!

暖かい雰囲気が生まれるのも大衆の酒、ビールだからでしょうか。しかし、今でこそビールは庶民のイメージがありますが、13世紀のドイツ南部ではブドウが栽培され、ワインの方が主流で安かったそうです。当時のビールはドイツ北部から輸入される贅沢な飲み物だったとか。それでも14世紀末には20以上の市民酒造所がミュンヘンにできました。その後長く続いたワイン生産も15世紀半ばからの悪天候と霜害によってブドウ園がほぼ全滅、ワインよりビール産業が発展していきました。(この話はKIRINのビールの話を参照しました)

1月の極寒のミュンヘンでは、陽気なビアホールは鬱々としなくて良い場所ですね。こんな季節は観光よりいろんなビアホールを周りたい!とお酒に強くない私でも思ってしまいます。でもせっかくの歴史あるミュンヘン、観光も楽しみましょうか。

Konditorei Café Kreutzkamm Pacellistr

まずは朝食代わりにバームクーヘン。1825年にドレスデンで創業された老舗クロイツカムのバームクーヘンがあるカフェです。ね、ドイツぽいでしょう?と思うのですが、ドイツより日本の方がバームクーヘンは人気があるそうです。そこで歴史を調べてみると、

「第一次世界大戦の捕虜として来日したドイツ人の菓子職人カール・ユーハイムによって持ち込まれ、1919年3月4日開催されたドイツ作品展示即売会において販売されたのが最初である。このことを記念して、毎年3月4日は「バウムクーヘンの日」と決められている。カールは第一次大戦後日本で菓子店を開き、当時はピラミッドケーキという名前で販売されていた(Wikipediaより抜粋)」

以来、ドイツよりも日本で人気があるお菓子になったそうです。この菓子職人のユーハイムは戦争で稀有な人生を送った方ですね。異国で生活する…とても親しみが湧きますが、時代背景を考えると苦労も多かったことでしょう。旅行の良い点の一つに何か関心がある出来事や物と出会い、それが自分の知識を広げ、凝り固まった自分の価値観を解してくれて、人生が生きやすくなる。知らない世界を知るのは楽しいですね。

フラウエン教会(The Frauenkirche)

聖母教会でもあるフラウエン教会は20年の歳月をかけ1488年に完成、第二次世界大戦中に戦火に遭い1944年に修復されました。ゴシック建築のとても美しい建物です。この教会の入口近くには悪魔の足跡が残されています。諸説あるようですが、建築を決めた時に建築家と悪魔との間で窓を作らないという取り決めがされました。しかし実際には窓はあるのですが、足跡の位置からだと22本の支柱が並び窓が見えない作りになっています。悪魔を登場させるエピソードも建築的仕掛けも本当に興味深いですね。

さて、「この塔に上ろう!」という娘の提案を、いやいや絶対途中で足が動かなくなるわ、と日頃の運動不足を感じて断りましたが、途中からエレベーターで上ることが出来ると知り上がってみました。文明の利器よ、ありがとう。

パノラマで見渡せるミュンヘンの街並み
遠くにアルプス山脈が見えます。

こうして高い場所から街を見渡すのも良いですね。遠くのアルプス山脈も見ることができて、気持ちがスッキリしました。

最終日には世界六大美術館のひとつと言われるアルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek)へ。ちょうど日曜日だったので1ユーロで入場できました。こういう計らいは学生や家族連れに良いですね。住んでいれば気軽に何度も訪問できます。

アルテ・ピナコテーク

ここは世界最古の公共美術館だそうで、ルーベンス作品の数も多く、2部屋丸ごとがルーベンス。ファンとしてはテンションが上がります。「最後の審判」は縦6メートルの大作で迫力ありました。

最後の審判

他にもルーベンスの作品は、
地獄落ち
ライオン狩り
レウキッポスの娘たちの略奪
幼児虐殺   など、

こうしてタイトルを並べると恐ろしいですが😅、迫力ある作品ばかりで圧倒されます。私がルーベンスを好きな理由は、光の現し方と影の部分のバランスが人物に躍動感を与えているところです。そしてダイナミックな絵だけでなく、ルーベンスと新婚の奥様を描いた「ルーベンスとイザベラ・ブラント」も展示されていました。

ルーベンスとイザベラ・ブラント

この絵のルーベンスは32歳、巨匠も若い時があったのねーと思わせる作品ですが、新妻は18歳、わかっ!手を繋いで、微笑ましいです。

そして夕食もまたビアホールへ、えへへ。

Augustiner-Keller

タイトルの「ビールは酒にあらず」は福沢諭吉の言葉です。彼は断酒中もこの言葉を使ってビールを飲み続けたとか。私もここ数年ほどほぼアルコールは飲まなくなっているのですが、お札の中で一番好きな諭吉さんの言葉に従い、ミュンヘンではガッツリとビールを飲みました。美味しかった!😝

誕生日プレゼントは物より思い出、娘と会えたのはたった3日間だけでしたが、忘れられない誕生日になりました。


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