新興マーケットプレイスが最初にエッジを立てて初期集客した箇所を調べた件
大手ITで新規事業担当をしている者です。
スタートアップにしても既存企業の新規事業にしても「〇〇のアマゾンを作ります」という形でマーケットプレイスを作ろうと思いつく方は多いと思います。
ただ、マーケットプレイスで必ず発生するのが「ニワトリたまご問題」で、どこの分野で供給側・提供側のどちらから集めるのか、平たく言えば、どこでエッジを立てるかに苦労して死んでいるサービスが多い印象です。
そこで、今回の記事では新興のマーケットプレイスが最初の金脈をどこに発見したかをまとめていきます。
今回はアイドルには一切関係ないので、そちらをご希望の方は以下のマガジンをご覧ください。
①Lancers:ロゴ作成のちWebライター
日本でのクラウドソーシングといえば、CrowdworksとLancersの二大巨頭と思いますが、最初に始めていたのはLancersです。
こちらのインタビューによれば、一番最初の金脈は「ロゴ製作」だったようです。
秋好:ランサーズは、最初「何でも依頼できますよ」ってやったんですけど、「何でもできる」っていうのは、結果「何にもできない」サービスに見えてしまうので……。
宮崎:深いですね、それは。
秋好:何でもできるんですけど、一番最初の見せ方としては「ロゴのデザインができます」「ロゴのデザインができる優秀な方がいます」と。
その個人の方も、免許証とかパスポートとかでちゃんと本人確認して、クオリティを担保して。ロゴの部分で小さくマッチングしていって、そこで上手く成功体験を作って、次はイラストにして、デザインにして、上手くいったらシステムに……という形でだんだんと拡大していった流れになってますね。
つまり、事業的には高額で美味しい「システム」や「士業」などを取りに行きたいけど、それにはプラットフォームへの信頼が必須。
なので、
対売り手:
対応可能な人が多くて、かつ目に見える形でクオリティがわかる案件
対買い手:
法人が外注しているなかでも低額で、かつ大型案件につながりやすい箇所
でエッジを立てる領域を考えて行った結果、「ロゴ」にたどり着いたということだと思います。
初期はこのような形でしたが、その後クラウドソーシングは第2の金脈を見つけます。キュレーションメディアです。
キュレーションメディアは、平たく言えば、検索量のあるKWへ一定の質を担保した記事を大量に生産することで、検索流入を獲得して広告でマネタイズするモデルのビジネスですが、このビジネスを支えていたのが、Webライターを安価に大量に供給したクラウドソーシングサイトでした。
ただ、これは旧MERYが発明したビジネスモデルにサービスをカスタマイズして行ったというもので、クラウドソーシングのプラットフォーマーが自ら掘り起こした金脈ではないと考えます。
②ココナラ:オンライン占い
マッチングアプリの紹介文作成や、コロナ禍関係の補助金で士業へのオンライン相談などで注目されることが多いスキルマーケットココナラですが、初期の金脈は「占い」でした。
試しに現在も全カテゴリーでランキングを見てみると
占いが上位に来ていますね。
オンライン・電話占いというとピンとこない方も多いと思いますが、
対売り手:
大手では怪しさゆえにBANされ、オンライン上での顧客獲得に困っていた
対買い手:
相談内容が深刻(課金額が大きい)ほど、顔を晒したくない
ということで、極めてインターネットサービス向きです。
しかも、一度リテンションし始めると数十万単位で課金をしていくユーザーも少なくなく、アップサイドは低いですが隠れた金脈です。
こういった、「ちょっとグレーで大手は手がつけていない箇所」を探していくと隠れた金脈が他にもあるかも?
③ゴチクル:開業医のランチミーティング
お弁当、なかでも仕出し弁当のカテゴリーで成功しているゴチクルです。
ご覧のように、ちょっと高級感のあるお弁当を扱うことが多く、実際に役員会議などでの利用が多いそうです。
そんなゴチクルの初期集客ですが、こちらの記事によれば
ごちクルは95%が法人利用。
役員の会議や会社のイベントでの発注が多く、発注者である秘書や総務の方による口コミで認知が広がったのではないかという。
一説には、MR業界の医者への弁当需要が大きく、病院に弁当を持っていって勉強会することもあるようだ。製薬会社1社での弁当の年間予算は数億円ともいわれている。
ということで、医薬品営業の「緩い」営業費用を最初に狙いリプレイスして行ったということでしょう。
かなりの想像が入りますが、
対売り手:
発注先が固定化していて新規開拓が難しい中、販路開拓手段で興味
対買い手:
レパートリーを増やせて、発注・支払い・領収書発行などがラク
という感じだったのかなと。
いずれにしても、「MRの営業に弁当がつきもので、その費用が意外と大きい」という普通では知り得ない市場を知り、キャッチした執念の勝利だと思います。
④note:副業・モテ情報商材
さて、noteです。
ここ数年の急成長に呼応して急速に健全化が進んでいるように見えますが、一昔前のnoteと言えばモテコンテンツ・アフィリエイト副業の勧め、など若干怪しげな商材が多い界隈でした。
CXOの深津さんがnoteでおっしゃるように、確かに情報商材は線引きが難しく、全量をBANすることは難しそうですが、
対売り手:
既存プラットフォームでBANされ行き先に迷っていた
対買い手:
同じフォーマットのブログで見やすく、間にnoteが入ることで購入しやすい
という構造になっていたのは事実のようです。
ココナラと同様に、初期のグロースハックとして「ちょっとグレーで大手は手がつけていない箇所」を探して適応するというのはアリなように見えますよね。
まとめ
まとめると、最初にエッジを立てるべき箇所、初期集客すべき箇所は
・後々に金額が大きくなるストーリーが描ける箇所
・大手が手をつけていないグレーな箇所
・誰も知らないけど、一定の大きさがある箇所
となりそうですね。
以上です。
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