旅の記憶 〜浜松秋葉神社さん上社へ〜 ①
2020年11月12日木曜日、静岡県浜松市秋葉神社さん上社の方へ参拝をさせていただきました。
きっかけは何日か前の父の一言。
父「浜松の秋葉神社さんに行ってみる?若い頃に車やバイクで行ったんだよ〜久しぶりにまた行ってみたいな」
私も母も大賛成で、家族で行ってみよう!ということになりました。
さらに「今の時期は紅葉もしているかも!」とのこと。
はじめて参拝させていただく神社さんですし、景色もきっと素晴らしいことを思い浮かべながら、楽しみな気持ちでいっぱいでした♪
そして12日当日。
出発は朝8:30。
父も、秋葉神社さんへ行くのは40年ぶりくらいとのこと、そして午前中に到着したいということもあり、出発時刻は早めです。
しかし、出がけになっていろいろと準備に時間がかかり、バタバタする事態に……。
心を一旦落ち着けて玄関を出ました。
◆
さて、車のナビに父が秋葉神社さんの住所を設定してくれて、いよいよ発進です。
父の運転で、助手席に私、私の後ろの座席に母が乗る形です。
ナビのルート通りに道を進んでいきました。
しだいに車の外の景色が、森林の青々とした緑色に変わっていきます。
浜松天竜区二俣の山々を眺めながら……
まるで自分がジオラマの世界に小さくなって迷いこんだかのような気持ちになりました。
なんて壮大な山や空……!
この大自然を前に、私はジブリ「もののけ姫」の「アシタカせっ記」を口ずさまずにはいられませんでした。
父も運転しながら「こんなに近くにこれだけの景色が見られる場所があるんだもんな〜」と言っていました。
そして船明ダム。
この川がお馴染みの天竜川とは……。
私にとっての天竜川といえば、家の近くの海の手前の大きな川という印象でしたが、
山の方の天竜川は、いつも見ている天竜川とはまた一味違う表情です。
当然のこととは思いますが、上流と下流では目に映る色も違えば、流れ方も違うのですね。
(それでも、船明ダム付近の天竜川も下流川ではあると後で知りましたが!)
馴染み深い地元の近くの天竜川が、
待ちに待った海へ急ぐように流れ、日差しを受けて銀色に輝くのに対して、
船明ダム付近の天竜川は、
その場所の流れに穏やかに身を任せ、水面には山の緑を優しい色で映していました。
わあ!目に映るすべてが雄大で美しい!と、私はすでにこの景色に感動していました♪
◆
そんなふうに心躍らせていると、何やらナビが妙な道を指し示しています。
それは、今まで走ってきた道をV字で戻るかのような進路でした。
父も母も私も不思議に思いながらも、「まあ、よく知らない場所なのだし……ナビに任せてみようか」ということになりました。
進行方向にあった明るい橋を渡らずに、ナビの通りにその手前にある細い道へV字に右折します。
すると……道幅はどんどん狭くなり、ガードレールさえない崖をぐねぐねと登っていく、見通しの悪い山道です。
対向車がきたらひとたまりもないようなこの『酷道』……。
さらには、おどろおどろしいトンネルや、暗い森、古ぼけた看板、
いつ野生の熊が現れたり、折れた太い木が滑り落ちてきても、きっとおかしくない……。
一気に車内は緊張と恐怖に包まれます。
何度も何度も慎重にカーブし、そろりそろりと暗い山道を登っていく……
「なんでこんなマイナーな道を走っているんだろう……ナビはもっと一般的な道を指し示してもよいはずなのに……」
果たして私たち家族は本当に目的地へ到着することができるのだろうか?
もしかして……
あの時なぜかV字での右折を迫られたのは「ここで引き返せ」ということだったのではないだろうか……。
「秋葉神社さんに来るな」と山々の大自然に言われていたのかもしれない……。
不安な気持ちから、これまでのことがすべて段階を踏んだ警告であったのではないかとさえ思えてきました。
あんなに美しいと感じられた大自然には、もうひとつの顔があったのです……。
やがて道はより一層暗く、急な坂道になっていきます。
私が「もう引き返そう。引き返すならもうここしかない」と言った、その時。
なんとこれまで現れなかった後続車が突然やってきて、車は引き返すことができなくなってしまったのです。
この図ったかのような正確なタイミングで起きた出来事に……
「……あれ?これは、もしかして『あきらめるな、進め!』ってこと?」
弱気になっていた心にまるで一筋の光がさしこんできたようで、励まされました。
改めて、ポジティブな解釈に気持ちを切り替えて、勇気を出して山道をさらに登っていくことに。
◆②へつづきます♪
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