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「つまらない服を着てるとつまらない人生になるわよ」

「つまらない服を着てるとつまらない人生になるわよ」
あるドラマで黒木瞳が、吐き捨てた台詞だ。

好きな作家の原作で、数年後に再び出会ってからその言葉を何かの折に思い出す。

人間は周りの友人を足して割ったような人になる、とは話していて気が合う価値観の同士で惹かれ合うからだ。

恋人も似ている。
欲情する相手と付き合うことが多い。
たかがセックスなんかと軽視する人もいるが、体の距離が離れると心の距離も離れる、とは村山由佳の『花酔い』の一節だったか。

異性と共にいる時間は、セックスする時間よりも日常生活を過ごす時間のほうが長い。
性行為はせいぜい数時間で終わっても、ご飯を食べたり眠ったりする時間はそれ以外を取り巻く。

だから、性欲だけの付き合いは続かない。
男が性欲から手を出すものの、話すたびに幼さに苛立ちを覚えて別れる明治時代の小説を読んだことがある。
尤も、その小説の男性に対しては「それを含めて手を出したのにわがままなやつ」と思ったものだが。

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服は数年後になりたい自分が着ていそうなものがいい。
なりたい自分が出入りしていそうな場所に着ていけそうなものがいい。

例えば、良質なカクテルを出してくれるバーに立ち寄るような社会人になりたければ、そこに馴染みそうな服を普段遣いするように。

そう持論を述べてくれたのは、就職活動のためにOB訪問をした際の少し年上の先輩だった。

彼は業界選びに迷っている僕に、この言葉で迷いを綺麗に払拭してくれたものだ。

人は見た目じゃない、というけど嘘だ。
人は見た目だよ。
第一印象で気が合いそうなやつは、その後親しく付き合ってもやっぱり気が合う。逆もまた然り。

自然な直感に、理性で「話してみないのに、悪い人だと決めつけるのは失礼だから…」と愚論にも蓋をするから痛い目を見る。
もちろん例外はあれど、点の集合である面で見れば、大体の現象はこれで説明がつく。

業界も同様だ。
その業界で働いていそうな顔というものがある。
銀行やIT、アパレルで雰囲気が違う。
正直、面接官が見てるいる「社風に合いそうか」という項目は、自分の会社にいそうな見た目や雰囲気かどうかという一点に尽きる。

そんな馬鹿なことをというが、逆に考えてみろ。
あるYouTuberは童貞は見た目でわかると言って炎上したが、それに近い。

サッカー部っぽさとか、童貞っぽさみたいなものと同様だ。

逆に、今いる場所から逃げ出したければ、住んでいる場所か、隣にいる顔ぶれか、習慣を変えるしかない。

3つ目の習慣に、普段買う服の雰囲気が含まれる。

その言葉を、ときどき服を買うたびに思い出す。

最後に。
私が好きなファッションの広告コピーは「生まれ変わるなら、生きているうちに。」だ。

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