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ラーメンの食べ方に口出しするな

お一人様の快適

私はソロ活動が好きだ。ご飯を食べるのも一人がいいし、買い物するにもお茶をするにも、寝るにも、一人がいい。ただ、旅行に行くのと、飲みに行く時だけは一人は寂しい。

自分のペースが乱されることにものすごいストレスを感じる。かと言って私にはことごとく自分のペースを乱してくる小学生の息子×2と、優柔不断な夫がいる。ソロ活動する時間が限られているので、余計に一人時間に価値が高まる。

「だったら結婚するなカス」とか「子どもがかわいそう、クズ」と思われたであろう。私もそう思うが、子どもにはそんな気持ちはひた隠してちゃんと母親業をしているので許してほしい。

ソロ活動推しの話に戻ると、例えばご飯を食べるとすると、「何食べよう?」から始まる。自分の食べたい物を言って相手が「それは気分じゃないな…」と思っているのに合わせてくれているかもしれない。その反対も然り。お店選びから始まり、メニュー決めでモタモタされたらイライラMAXだ。ただでさえお腹が空いくと不機嫌になるという未熟人間なのだ。人に嫌な思いをさせたり、迷惑をかけるぐらいなら一人でご飯を食べる方が地球に優しい。

お一人様と言えば、ソロキャンプYouTubeでブレイクしているヒロシが大勢でキャンプに行った時、後輩の友人から「焼きそばないんっすか〜?」と言われて以来、ソロキャンプにハマったというエピソードもとても共感できる。

そして一人活動を推している私の中で、絶対一人で食べるべきもの一位はラーメンだと思っている。美味しいラーメンが食べれるのであれば見知らぬ土地で並ぶのも全然平気だ。ラーメンこそ、その一杯と向き合って自分のペースで食べるものだ。

その一杯と向きあう

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注文したラーメンが目の前に運ばれてきた瞬間から私とラーメンとの熱い時間が始まる。

まず視覚で楽しむ(3秒)。スープが溢れてもやしやネギ、お肉がてんこ盛りだとより目の保養になる。私はこのようなラーメンを「下品なラーメン」と呼んでいる。この下品なラーメンが実に美味しい。プラス辛ければ最高だ。

そして、一目見た瞬間、何から食べるか、どのようなペース配分で食べるか、どうしたらこのラーメンをさらに美味しく食べられるのかを計算し、食べ始める(ここまで10秒)。モタモタしていたら伸びる。

いざ実食。先程瞬時に計算した順番、ペース配分で食べる。ラスト2割ほどになると、もうすぐ無くなってしまう悲しさまでこみ上げてくる。ここに人がいて話しかけられたりしたもんなら、その今生の別れを一瞬で遮断されてしまう。たまったもんじゃない。

意に反してみんなでラーメンを食べに行く

先日義理の両親に誘われ、息子を連れてラーメンを食べに行った。

「ああ、みんなでラーメンか…」嫌な予感しかしなかった。義両親が嫌いなのではない。「みんなでラーメン」というところが引っかかるのである。

ファミリー向けチェーン店のラーメン屋に到着した。子どもたちはシンプルな醤油ラーメン、私は味噌ラーメンを頼んだ。

注文したラーメンが目の前に運ばれてきた。チェーン店のラーメンであっても自分スタイルは崩さない。まずは視覚で楽しむ(3秒)…ちょっと辛味が足らなさそうだ。一味に手を伸ばしたその時…

「そんな辛いものかけたら体に悪いよ」by義父

………そ、そうですよね〜!!

ここは嫁として引き下がらなければならない。何のパンチも効いていない麺を泣く泣くすすっていると、今度は息子に向かって、

「先に具だけ食べていたら麺が伸びちゃうよ、具と麺を一緒に食べなさい」

(ゔあああああああああああああああああやめてあげて!!!)

次男は、麺が大好きなので、先に具をキレイにさらい、その間にワザと麺を伸ばして量を増やすというかなり上級な嗜み方をするのである。私はそんな上級者・次男のラーメン哲学を大切にして訂正することなくその食べ方を黙認していた。

その食べ方に黙っていられないのが義父である。いや、伸びた麺だけを食べている子どもがいたら、注意する。それがまともな大人の対応だ。

次男は「僕はいつもこうやって食べているの!」と反論。

私も「おほほほほ、この子はこうやって食べるのが好きで…オホホホ」と援護してみる。「そんな、伸びた麺だけなんてまずいに決まってる、ほら、おじいちゃんのしなちくをあげるから一緒に食べなさい」と、容赦なく次男が対話しているラーメンの中にじいさんのしなちくをぶっ込んでいる。私は泣きそうになった。私が次男の立場だったら発狂してしまう。何てかわいそうな次男なんだ。ラーメンと対話し、麺だけを味わうためにとっとと具を片付けて今頃至福の時間を味わえているはずが、身内である目の前のじいさんがぶち壊している。

そもそもメンマをしなちくと言っているのもイライラを倍増させた。

次男はじいさんが言う通りにラーメンを食べた。大人になった。

自分のペースでラーメンを食べられなかった親子の行く末

次男は帰りにボソッと呟いた。「僕、麺だけ残して食べるのが良かったんだよ…」

私は不憫すぎる息子の一言に泣きそうな気持ちを抑えて「おじいちゃんは、少しでも美味しく食べられるようにいろいろ気を遣ってくれたんだよ。あなたのことが可愛くて仕方ないからね」と言った。じいさんは悪くない。

この日、将来の「お一人様推し」候補が一人誕生したのを確信した。


読んでいただけるだけで感謝感激雨嵐です!! いただいたサポートで飲みに行きます!嘘です!いただいたサポートで新たな体験・勉強をし、それを漫画エッセイにて還元させていただけたら…と思っています。