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しっぽりもわいわいも、焼酎からイタリアンまで。ーーー創ダイニング 「ばん菜」のぶんさん

ばん菜(ばんざい)」さんは、武蔵新城駅の南口を出て5分ほどのところにあります。武蔵新城に8個ある商店街のひとつ「新城サンモール」の真ん中あたり。石畳になっている歩道の両脇には、飲食店、八百屋さん、パン屋さんにケーキ屋さんなどが建ち並んでいます。

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今回は「ばん菜」のオーナーであり、サンモール商店会の副理事長も務めているぶんさんにお話をお伺いしてきました。

佐藤真和さん(ぶんさん)プロフィール
1958年生まれ。青山学院大学卒業。大学生のときから下北沢の飲食店でバイトをし、飲食店の楽しさを知る。就活では糸井重里に憧れコピーライターになりたいと広告代理店を受けたものの、きっぱり飲食の道に。

新城でなくても、どこでもやれる自信があった。

ぶんさん「ばん菜をオープンしたのは、48歳のときだったかな。今年で開店してから15年。その前は中目黒で10年お店をやってたんだけど、家賃が上がっちゃって、前からこのあたりに住んでいたから武蔵小杉あたりで探し始めたの。」

―――最初、新城はどんなイメージだったんですか?

「なんかパッと下町っぽいなと。初めてサンモールに来たとき、人は結構いるな、でもなんか飲食店があまりないなと思ったんだよね。俺、昔から人がやってない場所でお店を出すのが好きだから、ここにしようと。新城は地元の人やお店が結構多いじゃん、だからよそ者って感じだったんだよね、最初はね。でも、誰に頼るつもりもないし、お客さんなんて自分で作っていくもんだって思ってたから。」

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「最初の1、2年パッとしなかったんだけど、3年目くらいから軌道に乗ったっというか知名度が上がって。今はここがいいって新城に定着したなーってやっと思えるようになった。まあ、そこに甘えはないけどね。初心でいようというのはいつも思ってる、調子乗ってるなって言われるのが一番嫌だから。」

何を求めて来ているか、オーラでわかる。

―――中目黒と武蔵新城と、全然違いますよね。お客さんとか、中目黒は外から人が入れ代わり立ち代わり、新城は地元の常連さんがお店に来ることが多そうですし。

「こっちに来てから常連さんへの意識が変わって、できるだけ初めて来た人に集中するようにしてるかな。何を求めて来てるかはすぐわかる。だから常連さんはいいの、ほっといて、甘えてるわけではないよ。あとは教育だよ、こっちの。それでも来てくれてるから。」

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―――何を求めているかというと。

「オーラでわかる、一人になりたいのか、話したいのか。うちはすごいんだよ、うちで知り合ったカップル10組くらい結婚してるんだから。紹介しようか?(笑)無理して、付き合えば?っていうのはないよ。たまたま隣に座ってそこで知り合って、そっからまたその友だちと知り合って、あ、くっついてるわ!みたいな。離婚した人はまだいないの。子どもができましたって、みんな連れてくる、俺の孫みたいなもんだよ。そういうのもうれしいし。」

―――えーすごい。私にも紹介してください・・・!コツとかってありますか?

「その前に来たときの話を覚えてるかっていうのが、すごい大事なんだよ。この前あれだったよね、ていうのが。」

メニューもインテリアもこだわらない。

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―――お店の中に置いてあるインテリアや小物のテイストがバラバラですよね。それがなんだか居心地がいいというか調和しているなと思って。

「そうそう、こだわらない。それがこだわりなのかな、こだわらないこだわり。うちのドリンクも食事もメニューがすっごい多いの。なんでもあるみたいな。だから、どんな人でもどんな気分でも受け入れられるのかもね。」

―――メニューに日にちが書いてある。あ、日替わりなんですね。

「メニューは結構変えてきているし、あとは旬の物を入れたりね。流行っているお店に行って、いいところと悪いところをひとつずつ探して、いいところをうちなりにアレンジして、の繰り返し。例えばフレンチレストランだったらフレンチ絞るけど、うちの場合なんでもありだから、フレンチにアレンジすることもできるし、イタリアンにもできるし。」

なんかいいお店だねっていう色気。

「あと、大事なのはね、店の雰囲気もそうだし女もだけど、色気だな、色気。色気ってすごい大事だと思わない?だから俺も女性に求めるのは色気なんだよ。顔がいいとか、じゃなくて。」

―――色気ってなんですかね、顔とかは化粧をしたら可愛くなったりすると思うんですけど、色気って滲み出るものじゃないですか。

「そうそう、お店もそうなのかなって。言われたことないよ、色気あるねって。でもなんかいい店だねって言われることはあって、それは色気なんじゃないかなって思うんだよね。」

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▲コースターはひとつひとつぶんさんの手書きなんだそう。

なんかやらないと始まらない、ダメならやめる。

「ハット※の祐司がサンモール商店会の理事長になったときに頼まれて、副理事長になった。祐司は今37歳でさ、世代が変わったわけじゃん。それも、街が活気づいてきた、サンモールにも色々な店が出来て。南武線があんなすごいぎゅうぎゅうに混んでるわけだから、人口は増えているんじゃないかと。これはチャンスだなと思って。」
※ハット:Cafe HAT(カフェハット)。サンモールにある喫茶店。

―――1000ベロ以外にも色々やられてきたんですよね。

「今は他にサンモールの日っていう、毎月3のつく日に特別メニューを出してるよ。街コンは結局3回やったのかな。3回目終わったあと誰も前向きじゃないからやめよって言っちゃったんだけど(笑)またなんか違う企画をやればいいじゃんって。それで始まったのが1000ベロだった、隣の溝の口でやってたから。なんかやらないと始まらない、ダメならやめようよって。」

1000ベロ:武蔵新城では年に3回開催されている、飲み歩きイベント。参加している店舗には1000円のメニューが用意されている。

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「最初の1回目なんかは30店舗くらいしかなくて、でもそれが2、6、10月と年に3回やって、今回9回目では84舗になって。いつの間にかみんなが盛り上がってきて、やっと定着したと思った。お祭りみたいに、町の行事みたいな存在になったらいいよなって。」

町の外から新城に来る人も増えて、中にも変化が生まれてきた。

―――武蔵新城って川崎市の中で川崎の次に飲食店の数が多いって聞いたことがあります。

「そうそう、武蔵新城は個人店が頑張ってるのはいいとこ。ただ、新城って色んな商店街やブロックがあるから、みんなで一体となって頑張ろうみたいなのがなかったんだよね。今は1000ベロをやったことで、定例とかで集まる機会があるから、横のつながりが出来てきていると思う。」

―――確かに全然チェーン店を見かけないなと思ってました。でも個人経営の飲食店って競合同士になってしまいやすいですよね。

「そうなんだよ。でも、最近情報を共有するっていうのが出来てたり、道端で会うと挨拶してくれたり、休みの日に食べに来てくれたり、こっちも行ったり、そういうのが増えたんじゃないかな。」

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―――1000ベロで武蔵新城がどうなったらいいな、とか。

「みんなが盛り上がってくれたら、というか、商売に対して一生懸命になってくれたらいいかな。あるじゃん?適当にやってるお店。競争することは変わらないから、そういう店はダメになれば辞めちゃうし。みんなで頑張ろうみたいなのはあっても、その辺はシビアにいないとダメ。」

「でも、サンモールだけ頑張っても、みんなで盛り上がることはできない。やっぱ商店街ごとに頑張らないと。それを一体となって、みたいなところはまだまだできてないかもしれない。」

―――最後に、一番うれしいときを教えてもらえますか。

「うれしいのはねー、お通しがおいしいって言ってもらえたときかな。お通しってさ、一番最初に食べるもんじゃん。それがさ、例えばできあいのきんぴらとかだったら、それは必要ないと思うの、俺は。必ず聞くの、食べない人は食べないし。で、お通しを楽しみにしてくる人もいるのよ。」

創ダイニング ばん菜
050-5596-4149
神奈川県川崎市中原区新城1-10-14 第一鶴田ビル 1F
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14011033/

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編集・ライティング・一部撮影:外山友香/撮影:木戸真理子

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