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伊豆天城山でハイキング-34

8時に朝食を予約していて、ちょっと前にレストラン前でささ家族と合流。外からでもわかるくらい混み合っている。

広いお風呂と部屋でゆったりしたばかりだから、ちょっと引いちゃう。

中に入ると決められた席へと案内された。
朝食はブッフェスタイル。食事を取ろうと皆が並んでいる。私たちもその列に加わろうとするとたぁは言う。

「混んでいるから、今は行かない」

はぁ、なんて人だ。

「どうしていつもそうやって、みんなとの輪を崩すの?」

彼は団体行動が嫌いだ。皆から外れた場所を歩いたり同じことをしないから、仲立ちとなる私を多々困らせる。

「まぁまぁ」

ささに言われて、彼をおいて食事を取りに行く。

自分の家族でなければ人は寛大になれる。


「これ、たぁに持って行って」

気を遣うささが私にパンを差し出してきた。

「いやっ、甘やかしちゃダメだから」

一緒に住み始めた当時、私は良かれと思い彼の代わりにいろいろと動いていた。すると甘やかしが仇となり、それが当たり前と勘違いした彼は私をハウスキーパーの如く使い続けた過去がある。これを修正するのに多くの時間と労力が必要になったことから、同じような状態になると私のトラウマセンサーが動き始める。

彼に変な癖を思い出させないためにもここは我が家の「自分が決めたことは自分でやる」ルールに従ってもらおう。それに彼は好き嫌いが激しいから、持っていたものを素直に全部食べるとも思えない。


ご飯と茹で野菜、湯豆腐、ウィンナーを取った後にビーフンらしきものを見つけた。

ビーフン、好物です。

だけど味付けはお店によって違うし、たまにビーフンだと思ったら冷たい春雨だったっていう天然ボケをかましてしまうこともあるから、ちょっとだけ取っておこう。

いつもながらお皿の使い方がお下手な私っ。それにビーフン、ちょっとの量じゃないww

席に戻るとまだたぁは座っている。もちろん彼の前には何もない。

「そうやっていつまでも取らないでいたら、自分だけ食べるのが遅くなって他の人を待たせることになるんだよ」

「そんなことない」

彼は言う。

・・・・・・・・・・・・。

確かにそうかもしれない。彼はブッフェでも欲張らず、食べたいものをなんでも取ってくる私を待っていることが多い。
だけど、ちょっとイラついている今、決してその言葉を受け入れたフリなんて見せないんだからね。


食事を取りに行ったメンバーが全員戻ってきたところで「いただきます」

パンが主食のららとささ。パンとごはん両方を楽しみたいれん。みんな好きなものを取ってきて一緒に囲めるのがブッフェのいいところだ。

「これがあるならご飯いらなかった」

気になっていたビーフンを食べたら驚き桃の木山椒の木、麺が出汁をしっかりと吸ったとても好きな味だった。

だけど今更、取ってきたものは残さずちゃんといただこう。「もったいないお化け」世代は地球からのおすそ分けを無駄にするなんてしたくない。


しばらくするとブッフェエリアには人がほとんどいなくなり、やっとたぁが立ち上がった。たまにブッフェではずっと人が並び、いつになっても混んでいる時がある。だけど今日は8時予約のお客さんが我先にと食事を取りに行っただけのようだ。

彼が取ってきたのは二つのパンとハムにミニトマト、それにコーヒー。

しんぷるぅ~。

いつも通り、欲張りな私と比べて量が少ない。私はビーフンを、ささ家族も思い思いにお代わりを楽しんだから、最後に取ってきたたぁが誰よりも先に食べ終わっていた。


レストランの窓は大きく、広がる森の景色を楽しめる。窓の下から向かいの木へと一本のレールが敷かれていて、途中に餌が置いてあった。

窓側に座るたぁはコーヒーを飲みながらリスが来るのを楽しみにしていた。

冷静な私から一言。

「わざわざレストランが混み合っている時間を狙ってやってこないよ」

森の中を二人で静かに歩けば鳥は姿を見せるけど、遠足や大きなグループと出会えば彼らは姿を見せない。それがわかっていてもついつい期待しちゃう人間って単純で素敵だわ。


レストランの外にもテーブルが設けられていて、犬連れのファミリーは食事を楽しんでいる。ここはペットも一緒に滞在できる大型宿泊施設。天気に恵まれた今日、みんな思い思いに朝食を楽しんでいる。

午後には別行動になってしまうささ家族との最後の時間をめいっぱい楽しもう。



主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう



これまでのお話


【無空真実よりお知らせ】

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

Amazon Kindleより二冊の電子書籍を出版いたしました。


長年にわたり心の深い場所に重たいしこりがあり、一時は「もう真から笑うことはできないんじゃないか」と思ったほど。
だけど日々の生活や旅行を通じ、一筋の光が現れてちょっとずつ自分を取り戻し続け、今回の旅は私に人生の節目を与えてくれた。

神話の土地から届くエネルギーを通して、私は一体、何を体験できて、何を知れるんだろう。

準備は整った、さぁ旅にでよう。

人生を模索しながら生きている二人の旅をどうぞお楽しみください。







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