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夏に

大勢のひとが亡くなってしまった夏に
無料動画配信のなかで戦争を眺めている
都会では若者たちが集まって
人生を語りはじめているらしい
昭和初期
京都の下宿で詩人たちが神を語り
アフリカの砂漠に消えた陽炎について議論した
丸善の書棚に置かれた檸檬のその後を伝えるひとの
Facebookを眺める夏
甲子園の戦いも終わって
今夜もまた
マウンドには孤独の影が降って来るのだと言う
てのひらの小さな画面の中に
世界の光を閉じ込めて
ぼくたちの夏が
ゆっくりと朽ちていくね
国会答弁のなかで
平和というタームが語られている
いずれの陣営も無口になって
反撃こそが文学になっていく
ぼくたちの夏が
ゆっくりと朽ちていくね

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