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フリチンエンドの思ひ出

 村上春樹の「風の歌を聴け」に引き続き「1973年のピンボール」を読んでいる、かなりゆっくり読んでいる。ここ数日は立て続けにたくさんの本を結構な速さで読んでいたが、今はゆっくり読んでいる。暖冬と聞くがそれでも寒い。花粉症のせいか頭が痛い。他にもまだ、入手したけど未読の本、というのがいくつかある。次に読む予定の本があると安心する。
 テーブルの上にウイスキーがあると安心する。いつでも飲める状態にあることで安心する。だからリカーショップでウイスキーの小瓶(ジャック・ダニエルズとバランタイン)を買い、会社のデスクの脇に置いておけば安心すると思ってそうした。が、作業が一息つくごとにウイスキーの小瓶が視界に入り、「あぁ、飲みたい!でも今ここでは飲めない!」となってしまって逆効果であることに気がついた。ウイスキーの小瓶は家に持ち帰った。
 新型コロナウイルスが猛威を振るっている。テレビの報道を見る限りでは恐ろしいことになっている。
 小学生の頃、インフルエンザウイルスを知った。毎年予防接種を学校で受けた。当時は訳がわからず、学校で注射されることを「インフルエンザ」というと思っていた。きちんと「インフルエンザ予防接種」と言う人が居なかったような気がする。当時いちびってふざけあったりして、面白いことはないかと毎日遊んでいたクラスの友達がいて、その友達の大塚くんが言い出した。
「インフルエンザの新種があるねん!」
「ふんふん」私は大塚君の話を聞いていた。彼は落ち着きのない少年で、常に身体を動かしていたような印象が、未だに私の脳に残っている。
「フリチンエンド!」
「フリチンエンド?」
「新種のインフルエンザ、フリチンエンド」
 私は今でも忘れない「フリチンエンド」という名前。ものすごいインパクトを感じるのは私だけだろうか。
 そんな思ひ出に耽りながら、私は今日もロックでバランタインを飲む。

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