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友井川拓note 〜学びの接点〜 Vol.13 「ラグビーコーチとラグビーコーチの話。」

今回の対談のご相手は、ラグビーキックコーチとして活躍するJAPAN ELITE KICKING 代表の君島良夫氏。
シャイニングアークスのOBでオーストラリア、アメリカ、日野自動車でもプレーした元トップリーガー。現在はプロキックコーチをメインに茨城県初のアカデミーの立ち上げに尽力する等、様々なことに挑戦し幅広く活動を続ける男。

同期入社でもあり、多くの試合で共にプレーしたお仲間。
持ち前のフットワークの軽さで、様々なことに挑戦していく裏にどんな想いがあるのか聞いてみました。

お楽しみ下さい。

上手くいかない前提でやってみる

友井川:よろしく。ゲンチャンネル見たよ。(シャイニングアークスOB柏原のYoutubeチャンネル)

君島 :思いつきで急遽撮影したんだけど、やっていることに共通点いっぱいあるから話してみる?的な感じでさ。
やっていきたいことがアスリートのセカンドキャリアっていう共通している部分もあるし。この後も一緒にやること増えていくだろうなと。
キックコーチとは別にそういうものをやっていきたいと思っているんだよね。

友井川:いいね。撮影してみようってすぐに撮影するフットワークの良さは相変わらずだね。

君島 :お互い自分で会社をやっているからね。

友井川:でも、今のキャリアのスタート時もそうだろうけど、始めは何もないところから手探りな状態で始めるわけじゃん。その一歩を踏むってなかなか出来る事じゃないよね。
プロになるから出来るっていうメリットもたくさんあるけど、リスクもあって勇気がいることだよね。その辺、現在のキャリアを歩み始めた時の想いとか教えて。

君島 :シャイニングアークスを辞めたのが2014年。7年前。
会社にいた時って、やりたいことがパッと浮んだとしても優先順位が低いわけよ。
安定した収入は得られるっていう反面、それ以外の時間を使って何かにチャレンジしようって覚悟はなかった。
もちろん、中にはそれでもチャレンジしている人はいるよ。

俺の場合は、ラグビーを続けるために会社を辞めたんだけど、プロ選手になってリスクはあるけど自由を手に入れたわけ。自分がやりたいことをやっていく。最初はラグビーのプロ選手というものが仕事になっていく。誰にもダメって言われない。その分失敗も自分が被らなければいけない。
そういう環境に身を置くと、失敗を繰り返さないと何が失敗で何が成功かわからない。失敗は何回かしているんだよね、実際。
最初の仕事がキックコーチなんだけど、幸いにも思いの外全国に広がってラッキーだったっていうのはある。
キックのコーチって日本に無い文化だったし、どっかのチームでキックのコーチ出来ればいいなって、でもそれじゃ収入取れない。じゃどうしよう?って感じ。

得意じゃないトレーニングを得意じゃない人に教えるってことも最初はやっていた。笑
周りの人からお前がトレーニングかよって言われたこともあったよ。
でもトレーニング教える人ってみんなトレーニング好きなんだよね。だからトレーニング好きな人にトレーニングを教える事は出来るけど、実際はトレーニング嫌いな人の方が多いじゃん。

俺はそういう人の気持ちがわかるから、どう楽しく出来るかを考えて最初始めたんだよね。
もちろん、どちらかと言えば失敗に入るのかな。すごくいい経験だったけど上手くはいかなかった。時間も取られるし自分のやりたい事じゃないなぁと思った。

まぁそれは今後もある話、上手くいくこともあれば、上手くいかないことも。
コロナ禍のような時期はほんとに難しい時期もあった。
もちろん大企業に戻れたらって気持ちもなくはない。でも後悔はしてないよ。

友井川:やってみて失敗することは大事だよね。
自分もやりたいことはやってみればいいと思う。やり方は後から学べはいいと思うし。トレーニングの話は面白かったよ。トレーニングが嫌いな人に楽しくってアプローチはすごくいいね。
自分が好きだったら確かにそういう発想にはならないもんな。でもやってみなきゃわかないことだよね。

君島 :うん。本当にそう思う。

友井川:自由は怖くなかったわけ?

君島 :そうね。日本最大級の安定した企業をやめるわけだからね。
でも怖さがあまりわからなかったかな最初は。正直。
ラグビーをシャイニングアークスで続けられないとなって高いレベルでラグビーを続けたいとしたら会社を辞めるって選択肢しか当時の自分にはなかったかな。
恐怖はその時にはあまりなくて、むしろ選手を辞めてかな感じたのは。選手時代は海外に行って沢山学ぶことがあったしね。

友井川:Randwick(オーストラリア)、OMBAC(アメリカ)、日野ってプレーしたよね。

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それから自分で仕事を始めるわけだよね。正直な話、どのくらいで手応えを感じたわけ?もちろんまだ道半ばだとは思うから、これで一生やっていくってよりは、仕事の広げ方だったり仕事の回し方だったりっていう意味ではどうなの?

君島 :1年くらいかな〜。1年くらいでやっと生きていけるなぁって思った。金銭的にはプロ選手時代が一番貰えるよね。でもそこから収入0を経験した。
その当時は恐怖を感じたよ。笑
半年くらい続いたかな…。学生がテスト期間で活動なかったりとか後になって気がつくわけよ。

友井川:うんうん。

君島 :でも1年経って、わかって。どっかのチームに所属するんじゃなくて自分が各地を回ればいいんだって。スポットスタイルならいけるなって。
そっからはどう広げていくかを考えて、あぁ求めている人ってこんなにいるんだって気がついてやりがいが出てきたね。で、こうして4年が経ちます。笑

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友井川:最初から上手くいくことなんてないよな。

君島 :拓が言うように、上手くいく方向ばかり考えて何も始められないっていうのが一番上手くいかないパターンかなって。
上手くいかない前提で失敗を繰り返しながら試行錯誤しながらやっていく方が近道かなって今になっては思うかな。

友井川:圧倒的に失敗した方が圧倒的に成長するって考えてもある。
それはスポーツでもそうだし、ビジネスにも共通する部分だよね。起業や転職するしない関係なく、日々の仕事もそうだと思う。

君島 :まぁね。

友井川:失敗したときは、失敗したなぁって悔やむけど、リフレクション(内省)して次に進むってことを繰り返すことが絶対的に必要だよね。それは俺も同意です。

君島 :今になれば思えることだけどね。

人間から学ぶ。

友井川:ラグビーで色んな経験してるよね。
ラグビー以外でどういうものから学びを得る機会が多い?
俺は本から学ぶことが多い。色んなジャンルに触れて、それをどう自分に置き換えるかって考えることが自分をすごく成長させてくれたって想いがある。もちろん、すごく活きたなって思うこともあればそうではない時も多いけど選手の時からそういう習慣があった。
能力としてズバ抜けていたとは思わないけど、長くトップのカテゴリーで活躍出来た要因ではあるなと自負してる。
良夫は人から学ぶことが多いんじゃないかと客観的に見てて感じるけど。

君島 :そうだね。学び方って人それぞれ違っていいと思う。
本読むっていい学びだと思うんだけど、何回チャレンジしても1ページが限界。笑
向いてないなぁって割り切ってる。
人は耳から学ぶ人、本や動画とか目で見て学ぶ人、体験から学ぶ人といろいろ種類があって自分の得意な学び方を見つけることが大事って誰かに教えてもらって、それをプラスに解釈してる。
だからラグビー以外の人とのコミュニケーションとか、人と会ってその繋がりから何かを得ることが一番多いし勉強になってる。
そっちの方が自分にスッと入ってくる。人間から学んでるって感じかな。

友井川:良夫が言うように学び方は人それぞれで視覚優位、聴覚優位、身体感覚優位なのかってことだよね。コーチとしてコーチングするときにそのことを知っておく必要があるよね。
実際、一生懸命言葉で説明しても全く理解できない人も中にはいる。

君島 :いるよね。笑

友井川:でも、グランドで実際に体験させるとスッと入ったりね。
コーチ側がそれを認識していればアプローチは変わってくるよね。でも1つのやり方しか知らなくて押し付けてしまうと相手の得意ではない学び方で接していて効果が低いのは当然。で、この選手全然伸びねぇなみたいな愚痴になる。
それは教える側の問題なんだよね。だから学び方は人それぞれっていうのはアグリーだね。

君島 :少し話変わるけどこれから目指しているのは、最初はラグビーなんだろうけど、ゆくゆくはアスリートが何かやりたいなぁって思った時に相談出来る存在になりたい。
俺らなんて今のアスリートよりほんの少しのプラスしか経験って意味ではないじゃん。でもそれでも伝えられること・ヒントっていうのは少なからずあると思うんだよね。

友井川:うん、間違いないね。

君島:キックのコーチのきっかけもそうなんだけど、自分が当時欲しかったものになりたいなと。
選手からコーチになった時、どうしていいかわからない時期もあったんだよね。
本当にキックコーチでいいのかなとか、具体的にHPどうするのかとか相談する人が欲しかった。だからそういう存在になりたい。

友井川:それはすごいいい気付きだね。自分に必要なものが周りになかったら自分でやればいいってことだよね。

君島 :そういうのっていっぱい日常に転がってて、それをやるかやらないか判断していくことが大事だよね。

より良くなりたい。

友井川:少し話戻るけど、何で学ばなければならないかって観点では思うところある?今のままでいいじゃんって思う人は沢山いるよね。新しいチャレンジする必要ないよとか、新しいジャンルに飛び込む必要なんてないよって人は少なくないよね。今が楽しいって。

君島 :学ぶ必要性はみんなにはないと思うな。現状満足な人はそれでいいし、学ばなくてもいい人はいいと思う。俺は学びたいなと思う理由はシンプルでより良くなりたいって、当たり前のことかな。
もっと知ってること、出来ることを増やしたい。それでより多くの人に影響を与えたい。とかかな。最終的には自分がハッピーになりたいってことかな。
君島のおかげでって言ってくれる人が一人でも多くなったら嬉しいな。それが目標。

友井川:確かに、現状満足ならそれに越したことはないよね。
コーチの講習会でもあったけど、コーチとしてのフィロソフィーを漢字一文字で表せみたいな。
俺は「学」。あらゆる分野から学ぶということをやめないことを意識してコーチングしていくべきという想いと、選手のみならず関わる人が自分から1つでも学んだなって思ってもらえるような人間になりたいっていう想いからなんだよね。
学ぶことをやめた人から学びたくはないって思うから自分が。

君島 :実際はなんて書いたか覚えてない。笑
てことはそんなに自分でもまだ大事にしていないのかなって。
でもこういう風に会話して言葉にしていくと少しずつ頭が整理されていく感じはするな。

友井川:俺が良夫にコーチングしているつもりは全くないけどコーチってそういう存在だと自分は思っている。 
テクニカルなところから逃げていたらいいスポーツのコーチにはなれないけど、こういう話の中で想いを引き出してあげるのが本当の意味でいいコーチだと思う。思考を整理してあげて次に向けての活力になる為のサポートをする役目になればいいなって。
だからこの状況で言えば、良夫のコーチは俺だし、俺のコーチは良夫だしって思うところはある。

君島 :今回さぁ、コロナ禍で思うことがあって資格とったりもしたんだけど、アスリートが思うコーチングってスポーツに特化してるけど、そうじゃなくて人としてのコーチングが重要だと感じていて、少しずつサポートしているところではある。だからこういう会話の中で引き出すことを形式立ててやることをどんどん広げていきたいなと思っている。

友井川:いいね。

楽しいことが大事。

友井川:大事にしている価値観や言葉はある?

君島 :ぼんやりしててもいい?

友井川:もちろん。

君島 :すごい幼稚だけど。笑
楽しいことが大事。真剣な仕事でもなんでもそう。いくら社会的に意義があっても辛かったら嫌。以上です。笑

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友井川:自分が楽しいのもそうだけど、人が楽しんでいるのを見るのも好きそうな気がする。

君島 :そうだね。

友井川:だからコーチってキャリアを踏むっていうのは、おのずとそうなったのかなって思う。向いてるなって思うよ。

君島 :後はなかなか言葉にできないけど、人と一緒は嫌かな。それは大袈裟なものではないけど、今まで無意識にやってきた行動も根本にそういう気持ちはあったかな。自分が信じたものを貫くとか、自己分析してもそういうキーワードは出てくる。

友井川:俺は個人的に〇〇のクセにとか言われるのが大嫌い。笑
ラグビー部だから仕事が出来ないとか、小さいからラグビーは無理とかね。基本的に性格曲がってるからね。笑

君島 :そうだな。知ってる。笑

友井川:逆に俺は人と同じでもいいとは思っているかな。
決めつけが嫌いだからそこをぶっ飛ばしてやろうかなという感覚。笑
ありがとう。あまり腰を据えて真面目な話する機会もないから楽しかったよ。
次は酒飲みながら馬鹿話しましょう。

君島 :もちろん。笑

あとがき

同期で入社して、引退後にカテゴリーは違うもののお互いラグビーコーチを仕事にしているのは感慨深いものがある。性格も価値観も引退後のキャリアも全く違うけど、だからこそ学ぶものが沢山あるなと感じた対談でした。
コーチングって競技生活の中だけ関わればいいってものではないと思います。アスリートはもちろんアスリートという枠に留まらない広い意味でのコーチングってものを我々ももっと学んで多くの人に影響を与えられたらいいと思います

どこかのタイミングで一緒に仕事が出来たら嬉しいなと素直に思いました。
対談の後の長い雑談でも多くの学びがあったので、タイミングと余力があれば追って記事にします。笑

最後までお付き合いありがとうございました。

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最後の最後に

君島氏の電子書籍「勝つためのゴールキック」も絶賛発売中。
アスリートもビジネスパーソンもそれ以外の方もキックが上手くなりたい方は必見。

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