『 後悔。_黒瀬海雨 』 手紙

私のたった1人の妹    海雨へ

誰かからあの沢山の紙切れが入った手紙、受け取ったのかな。
見つけてくれてありがとう。
なんでお姉ちゃんが死んじゃったか気になる?
いつも冷静で何事にも無関心な海雨は興味ないか 笑
お姉ちゃんね、ちょっと嫌だったんだ。
海雨のことを見捨てたお母さん達のこと。
自分で言うのは気が引けるけど、私って案外なんでも出来ちゃったでしょ?
そのせいで海雨が大好きだったピアノも、お絵描きも、全部私が奪っちゃった。
だから海雨は私のことが好きじゃなかったんだよね?
ごめんなさい。
出来心で手をかけるものじゃないってわかってたんだよ。
それでも、やってみたかった。
そんなの言い訳だって海雨は言うよね。ごめんね。
海雨が勉強もピアノも辞めずに一生懸命やってたの、知ってるよ。
海雨は覚えてないかもしれないんだけどね、私のお誕生日の時に海雨がくれたお手紙とプレゼント、とっても嬉しくて大切にしてたんだよ。
今は鍵がかかってた引き出しの中にあると思う 笑

こんな私にプレゼントを贈ってくれてありがとう。
世界に1人しかいない、私の大切な妹。
本当はまだまだ沢山お話したいし、一緒に遊びたいよ。
けどね、私がいると海雨は苦しいでしょう?
これはただの弱音で、皮肉に聞こえるかもしれないけど…
私はもう、期待されるのもそれに応えるのもしんどいの。
それからね、私、胡桃のこと好きなんだ。
恋愛として。
あ、海雨の好きな人知りたかったな〜 笑
なんて。
胡桃のことは海雨にしか言わないでおくね。
海雨がこのお手紙を読んで、もしも胡桃が私のことが好きって言ってくれたのなら、伝えておいて欲しいな。
「 私も胡桃のこと大好き 」って。
自分の口から言ってよって海雨は言うかもしれないし、思うかもしれないけど、私には胡桃に気持ちを伝える度胸ないの 笑
意気地無し!って笑っていいよ〜 笑
少し話が逸れちゃったね。ごめんね。

海雨、貴方は私の大好きで大切な妹だよ。
こんなのが姉でごめんなさい。
海雨がお姉ちゃんのこと嫌いでも、私は好きだから
情を掛けられるくらいの好意があったら、1年に1度でもいいからお顔見せに来て欲しいな。
それから、好きな人見つけて、幸せになってね。
それだけが私の、お姉ちゃんからのお願いだよ。
読んでくれてありがとう。
姉妹として、家族として一緒に過ごせた日々。
私にとって貴重で尊い物でした。
大好きよ、海雨。
またね。

                                   ‪✕‬月‪✕‬‪✕‬日   ×× : ××    海雪より

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