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優秀な人材を選ぶ方法_第三回:課題を解決してくれる人材を選ぶ

さて、適切な人材を選ぶ方法の連載もついに最終回になりました。
一回めで採用で課題を解決できるのか論じ、二回めでは課題を解決してくれる人をどう定義するか話しました。
今回は、どうやってその人を見極めるのかについて話します。いわゆる選考について私がどうしたのかということです。

過去の記事はこちらをどうぞ

私が選考を作るとき、下の2つを大事にしました。

・人間を正しく理解するにはどうしたら良いのか
・選考を標準化できないか

人間を正しく理解するにはどうしたら良いのか

人間の思考はどう作られるのか
最初に取り組んだことは、人の思考がどう作られるのかを知ることでした。
そのときは心理学、脳神経科学など色々勉強したのですが、私の前提知識ではなかなか内容を理解できず。。。結果、たどり着いたのがこの一冊です。学術的な話よりも実用を目的に書いてくれており、非常にわかりやすい内容でした。

NLPとは「神経言語プログラミング」というもので、簡単にいうと人間の思考が形作られるプロセスを構造化したものです。
特に参考になったのがこのニューロロジカルレベルなる概念。

まず、アイデンティティから信念・価値観が生まれ、そこから能力が形成される。そして、能力から行動が起き、その周りに環境がある。つまり、ピラミッドの上へ行けば行くほど、その人の変わりにくい本質であり、言語化が難しくなる。

ということです。
まあ、よくわからんと思いますが、質問に置き直すとわかるかと思います。

環境に関する質問は「どこに勤めているの?」「チームのメンバー構成は?」「いつやったの」など、英語のWhereWhenに該当します。これは自分の内面でなく外面の話なので、深く考えなくても簡単に答えることができますね。

次に行動に関する質問です。
「何をしたら結果出たの?」「何を勉強しているの?」など、英語のWhatで答えられる質問です。これも内面にアクセスしなくとも簡単に答えられます。

この、環境と行動は外面に表出しているので、客観的にも判断が可能です。
例えば、「私はリブセンスという会社で約3年、採用担当(ここまで環境)として毎日面接をしています(行動)」ということです。

さて、答えるのが難しくなるのが次の能力以降の質問です。
ここからは人間の内面に踏み込んでいきます。
「やり方を教えてください」「困難に直面した時どう乗り越えましたか?」というHowの質問です。何をやったか(What)は答えられても、それをどうやってやったか(How)の回答は結構苦労します。
これがいわゆるノウハウというものです。能力が成果の再現性につながります。前回の記事でも話しましたが、成果とは行動(What)の集積であり、行動を生み出すのはその人の能力(How)です。
よく、良いマネージャーは言語化能力が高いと言いますが、このHowをちゃんと語れるからこそ、メンバーに対しノウハウを伝授できるということです。私がこの記事を通して語るノウハウも、私の選考企画能力について語られていると言えます。

そして、信念・価値観になるとさらに回答が難しくなります。別の言葉で言い換えるとなぜやるのかということです。
やり方(How)を語れても、その意義つまり、なぜやるのかまで語れる人は少ないのではないでしょうか?個人的には日本教育の影響だと思ってます。
日本教育はHowの文化です。例えばペーパーテスト。問題(what)が変われど、問題を解けること(how)を求めてきます。一方、科目を学ぶ意義(Why)はテストの点数と関係がありません。
つまり、意義(Why)を無視して問題を解く能力(How)を鍛えている状態です。
私がなぜ人事をしているのか、なぜリブセンスを選んだのかなどはこのレイヤーの質問になるでしょう。ここは機会があれば別で話せればと思います。

そして最後にアイデンティティの世界です。ここに気づけている人は人生に曇りがなく幸福度高い人なのではないでしょうか?自分の使命や生きる意味を語れる人です。
ニューロロジカルレベルと「ロジカル」を謳っていますが、論理というかフィーリングの世界のような気がしており、大義をなす人や仙人が辿りつく境地のように感じています。
わたしも最近自分が生きる意味についてなんとなく気づくようになりました。大切な家族のために私は存在しているのだと思っています。この話も後ほど時間があれば笑

構造を理解したうえで人間をどう視るか
ここまでで人間の認知がどういう構造になっているかを話しました。
では、どう視るのかが次のステップです。
若干へそ曲がりな私は既存の面接メソッドから始めず、社内にいる人間中心設計のスペシャリストから知見を借りることにしました。
人間中心設計というものは、人間を中心に起きプロダクトを企画・設計するというアプローチです。始まりには人間があるのです。
これは非常に眼から鱗でした。知識としていろいろ得た訳ですが、私よりも高度に語れる人がたくさんいるのでここでは割愛します。

結果、世の中で選考と呼ばれるものと人間中心設計(のリサーチ部分)が非常に似通っていることに後々気づきました。意図してかそうでないのかはわかりませんが、人を理解するメソッドという意味ではどちらも同じなのです。

さて、結論何をしたかというと、大きく2つやりました。

・インタビュー(面接)
・行動観察(インターンや選考期の並走)

それぞれの良し悪しをまとめた表は下記参照です。
<img alt="スクリーンショット 2020-01-23 8.49.33" src="https://d2l930y2yx77uc.cloudfront.net/production/uploads/images/18279316/picture_pc_64f8d06952eabd02f919a65d5eb74d45.png" width="620" height="146">

使い分けは、大きく2つ。
候補者および企業の時間と、確かめたい項目の正確さです。
時間があれば両方やるのが得策と思います。例えば、新卒採用なら就活の始まりから終わりまで学生も時間があるので、面接・インターン・人事と候補者の長期的つながりでお互いの理解度がかなり高くなります。
実際、自分が採用した学生も、選考期間中の印象と入社後の印象が大きく異なることはありませんでした。
ただ、中途採用の候補者であれば、ほどんどが現職に勤めながら就職活動をしています。限られた時間の中で選考せねばいけないので、インターンをやるのは難しいかもしれません。(ソニックガーデンさんはそれでも時間をかけて選考し、採用するのに1年以上かける徹底っぷりです。)
状況に応じて判断していきましょう。

選考を標準化できないか

最後に、もう一個やらなきゃいけないのは選考の標準化です。
選考では複数の目を入れるべきです。人間という角度によって見え方の変わる超複雑な多面体を正しく判断するには複数の目(視点)が必須です。そのためには、視点は選考官により異なるけれども、本当に我々の求めている形に近いのかを選考官同士お互いすり合わせる術が必要です。

私たちがやったのは、前回紹介した適性検査と、半構造化面接でした。
面接の質問内容や会話の流れは面接官に任せましたが、聞き出して欲しいことをフォーマット化しました。
半構造化としたのは、人間が人間を面接する価値をより出したかったからです。質問まで決めてしまうのならwebアンケートと変わりありません。人間が人間として向き合う意味を考えると、もっと五感を総動員して向き合う場として面接を作りたかったのです。この辺はサイボウズさんが記事にしておりました。

他の工夫として、選考メモを残すフォーマットを構造化しました。面接官が聞き逃してしまうと必須項目を入力できないようにしたので、その痛みが次の面接では聞き逃さないよう学習を促します。
抜粋してフォーマット載せておきます。ここでは、STARという構造化質問のフレームワークを使いました。また、候補者に対するネクストステップを決めるのに他社選考状況が必要なので、入力必須項目にしています。

ということで、課題を見つけて、課題を解決できる人を定義して、その人を見定めるプロセスを書いてみました。
これで、人を採用するまでの「選ぶ」プロセスは完了です。
当てはまるような事があればぜひ活用してみてください!


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