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優秀な人材を選ぶ方法_第二回:課題を解決してくれる人材を定義する

「適切な人材を選ぶ方法」連載二回目です。前回は「課題を”採用”で解決できるのか検討する」について記載しました。今回は課題を採用で解決できる前提で、「どんな人が課題を解決してくれるのか」について記載いたします。

その人材をどうやって定義するのか。私は大きく二つのやり方を試しました。必ずしも二極化されるわけではありませんが、二つの掛け算、足し算、引き算で必要な人材を定義することはできると思っています。

・既存社員から基準を逆引きする
・理想から基準を逆引きする

まず既存社員から基準を逆引きするパターンです。これは既存社員に課題解決できそうな(したことがある)人がいる場合に有効です。例えば、該当者は社内にいるけど、別ミッションを任せているので外部から採用したいというような状況でしょうか。
前回お話した新卒総合職の事例でも、個性や強みは尊重しつつも、共通で求めたいコンピテンシー(行動特性)を既存社員から逆引きして採用したい人物像を作りました。その方法は下記のような感じです。

・コンピテンシー検査を既存社員に受験してもらい、活躍している社員の特徴を数値化する
・活躍している社員にインタビューし、成果に結びつく特徴を言語化する
・上記特徴に優先順位をつける

まずコンピテンシー検査。Webで受けられる検査を通して、受験者のコンピテンシー(行動特性)を数値化してくれるものです。簡単に説明すると、受験者が行動を起こす時に何を意識しているのかが数値でわかります。
この検査の価値は数値化することにあります。我々はものごとに意味付けするとき、絶対価値でなく相対価値で意味付けしている場合が多いようです。
例えば、「背が高い」という表現の背景には「日本人の平均身長は○○cmくらいだからそれより背が高い」という比較が存在します。
良い人を選ぶプロセスでは、たぶんあなただけでなく複数の社員が選考プロセスに加わるはず。相互で認識を合わせるためには共通の物差しが必要です。身長の話であれば平均身長だったり、物の長さの単位ですし、コンピテンシーの話であればコンピテンシー検査の項目と数値です。
前置きが長くなりましたがまずは既存社員に検査を受けてもらい、どのコンピテンシーをもつ社員が活躍しているのか明らかにします。
(そして、候補者にも同じ検査を受けてもらい、比べるというのが選考時の運用です。)
当時は予算が限られていたこと、リブセンスの知名度を鑑みた時に受験にストレスのかかるテストだと候補者の選考辞退が懸念されたことを考慮し、安価でストレスのかからないCompassを活用しました。
例えばですがリーダー職に関するアウトプットはこんな感じになりました。(一部抜粋)

次いで、活躍している社員へのインタビューです。検査でコンピテンシーが数値化されたとはいえ、これは仮想世界の話です。実際の課題が存在するのは現実世界であり、現実世界でのどんな行動が課題解決に結びついているのか突き止める必要があります。そこで、人へのインタビューを通して解像度を上げていきます。(他にもその人の行動を観察する方法もあると思います。)
このとき大事にするのは結果、行動、背景をセットで聞き出すことです。

・結果:なにがどう変化したのか
・行動:結果につながる行動
・背景:行動した状況、意図

課題が解決された状況とはすなわち結果です。
結果とは行動の集積の先に起きた因果です。
その行動を起こした背景はさまざまです。そして、重要なのはこの背景の部分です。
どれだけ凄い成果が残っていようとも、それが「トレンド」や「他者の力」や「偶然」によるものだったりしたら同じ成果を再現できるかわかりません。
課題を解決してくれる人材とは厳密には「課題を解決してくれる可能性が高い人材」です。つまり成果を再現する能力を持っている人材こそが求めるべき人材です。
成果がその人の能力によってもたらされたことを確かにしましょう。
うちの新卒の場合、エピソードはそれぞれですが下記の行動特性が背景として見えてきました。(こちらも一部抜粋で記載します)

・何事も「そもそも」から考える習慣がある
・自分の取り組みに意味付けできる
・仕事を通して自己実現したい意欲がある
など

さて、ここまでが既存社員から基準を逆引きする方法でした。
もう一つ、理想からの逆引きという方法も挙げましたが、プロセスは同じです。ただ、既存社員というサンプルがないので、妄想を膨らませて理想を作ることから始めます。
わたしがトライした実績がないので割愛しますが、社内でなくとも社外に理想系がいるのであれば、その方にテストとインタビューを試みるのもありだなと思いました。よし、次の機会にやってみよう。

さて、採用したい人の像が見えてきたと思います。
ただ、今までに定義したパーフェクトな人材はぼぼ確実に見つからないと断言できます。だから、項目に優先順位をつけなくてはいけません。
わたしは、この作業を賃貸のお部屋選びのようなものだと思っていました。
間取りも家賃も立地も完璧な物件など存在しません。何を優先して、何を覚悟するかです。
優先項目だけでなく足切り項目も大事。例えば新築で広くて安くても、如何わしい街に立地している物件に私は住めません。
この足切り要素をノックアウトファクターと呼んでいました。
他がどんなに良くてもこれが出たら採用しないのでノックアウトファクターです。

という流れで課題を解決してくれる人を定義してきました。もちろん、入社後全てがうまくいくわけではありません。でも全てうまくいくことを目指すから採用は良くなります。記事に書いた取組も2年前に始めたものですが、今でもアップデートし続けています。
候補者のためにも組織のためにも間違えた基準で採用してはいけませんが、一定失敗が起こることを割り切る図太さも必要です。失敗のたびに心折れていては改善の芽を摘んでいます。ヘビーな仕事ですが、心を確かに頑張っていきましょう!

というとこで、今回の話は終わりです。
良い基準を作れてもそれを使えなかったら意味ないので、次は見極め方の話をします。


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