見出し画像

第21節アーセナルvsマンチェスター・シティ 前進し続けるメリット・デメリット

最初に

第3節では、アーセナルはアウェイで0 - 5という大敗に終わり(ジャカの前半一発レッドカードのオマケ付き)、今年もアーセナルやっぱダメなんじゃないか?という雰囲気が漂っていたのは過去の話。
攻撃的MFには、スミス・ロウにウーデゴールにサカにマルティネッリと元気で結果も出す若手が揃っている。課題と言われたDF陣も右SBに冨安健洋、CBにベン・ホワイトが加わった。もちろん、GKのラムズデールやボランチのパーティーの活躍も忘れてはいけない。
アーセナルの成長と現在地を確認するにあたって、今回のシティはピッタリの対戦相手だった。

アーセナルのスタメンは、GKラムズデール、右SB冨安、CBホワイトとガブリエウ、左SBティアニー、DMFジャカとパーティー、SHサカとマルティネッリ、トップ下ウーデゴール、CFラカゼットの4-2-3-1。

シティのスタメンは、GKエデルソン、右SBカンセロ、CBディアスとラポルト、左SBアケ、中盤にロドリとシウバとデ・ブライネ、前線にマフレズとジェズスとスターリングの4-3-3。

構図としてはミドルサード・アタッキングサードで奪ってカウンターをかけたいアーセナルと、それをかわしていつものサッカーを目指すシティである。

↓の動画はDAZN公式youtubeチャンネルのハイライトです。


前半「常に前進するシティとそれを逆手に取ろうとするアーセナル」

立ち上がりのアーセナルはウーデゴールがロドリをマークして中央からのビルドアップを阻止しようという考え。シティは左SBのアケはあまり高い位置を取らず、その分デ・ブライネが左サイドに流れてフリーになる状況。
アーセナルの右SHのサカはロドリの横(シティの左IHの後ろ)のスペースに入ってカウンターの起点となろうとする。
前半3分、フリーになっていたデ・ブライネからボックスに侵入しようとするスターリングへ鋭いパスが出されあわやという場面があった。
シティは両サイドから突破口を見つけようとするが、PA近辺で失って逆にカウンターを受け易くなっている印象が強かった。
押し込んでいる場面でのシティはSBとWGは上がってボックス内とその外で人数を確保するので、最終ラインはCB2人の2バックになるという弱点を突いていく。ボール奪取で冨安・ティアニーの両SBが効いていたことと、そして「守→攻」の局面でウーデゴールが起点となりサカとマルティネッリの両SHがシティの2CBの横へ抜け出してシティのゴールを脅かすシーンが多かった。
「ウーデゴールが起点となり」と書いたが、彼が起点となれる理由としてシティの攻→守の局面でロドリの両脇(両IHの裏)のスペースをカバーできる選手がどうしてもいなくなるというのはある。もっと言えば前進し続けるシティにとって、そここそが最も戦術的に突かれると痛い所と言っていい。
さて試合が動いたのは前半30分。ジャカからウーデゴールへの縦パス、ウーデゴールがティアニーがハーフスペースでフリーであるのを確認して即座にパスを出し、ティアニーのグラウンダーのクロスをサカがそのまま流し込みアーセナル先制。
ティアニーがボールを受けた時点でウーデゴールとラカゼットが中央へ走り、マルティネッリがカンセロのマークを引き付け、シティのDF陣に的を絞らせなかったのもかなり巧みでした。
前半を通してアーセナルはツーボランチのパーティー・ジャカのコンビが攻守において存在感を発揮していたのも記しておくべきでしょう。
事実、守備ではSBとのコンビでスターリングとマフレズを制圧していましたし、先制点は絶妙なポジションでボールを受けたパーティーとジャカのウーデゴールへの縦パスから始まりました。


後半「ポジティブな要素を残したアーセナル」

シティは前半ポゼッション率67%でありながらシュート数4本(アーセナルは5本)枠内シュート数0本だった。シウバやマフレズ等がボックス内に入れていない、クロスを中々上げられていない、と本来は上手くスペースを作れていたシーンでそれが出来ていないというのがシティの前半における攻撃面での課題であった。
48分にバイタルエリアに侵入してきたマルティネッリに対してロドリがタックル。マルティネッリの身体がポーンと派手に上へ吹っ飛ぶ形となり、ここから試合の展開が怪しくなっていく。
そして52分PA内に侵入したシウバをジャカが倒してしまう。判定はVARからオンフィールドレビューに持ち越され結果PKになる。そしてこの判定から試合は感情面でヒートアップしていく。
このPKをマフレズが冷静に決めスコアは同点に。そして恐らくこのPKの直後ガブリエウがPKマークを足で消そうとした?ということでイエローカードを貰う。
更に57分にラポルトが頭でクリアしたボールがGKエデルソンの頭上を越えあわやオウンゴールというピンチをアケがギリギリでクリア。なんとかオウンゴールは免れる。その直後プレー再開のシーン。エデルソンの蹴ったボールを胸で受けたジェズスがガブリエウが倒してしまい、2枚目のイエローカードを貰い退場してしまう。
PKを献上し同点にされたとはいえ戦術面で優位に立っていたアーセナル、かなりレベルの高い試合だっただけに本当に本当に勿体なかった退場でした。
10人になったアーセナルはシステムを変更し5-3-1に。引き分けで首位マンチェスター・シティから勝ち点1を得ようという作戦に。
といっても攻める姿勢は崩さず、ラカゼットに替えて突破できるスミス・ロウを投入。
逆に数で勝るシティは更に1点を取り勝利したい。
スコアは90分を過ぎてアディショナルタイムに突入しても変わらず1-1でこのまま引き分けかと思えた。
93分、デ・ブライネの右足でクロスを上げると、ホールディングが十分にクリアできずロドリがゴールに押し込んでシティが勝ち越し。
ロドリがゴールを決めた時のスタジアムのリアクション。

試合はそのままシティが勝利を収める。これでシティはリーグ戦11連勝で独走体勢に入った。ラッキーな勝利ではある。


最後に 

最後の最後で集中力で上回ったシティが見事勝利した、といってもグアルディオラは手放しで喜べないだろう。
ゲームプラン通りに試合は(恐らく)運べなかっただろうし、シティの弱点が露わになった試合だった。
まずインサイドハーフの裏のスペースをアーセナルに有効に使われたということ、そして常に(ポジションを流動的に変えながら)ボールを運ばないといけないリスクである。
2つ目についてはグアルディオラは折り込み済みだろう。歯車が1つ狂えばどこかで大きな弱点が生まれる。それを高い練度で起こさないようするのがシティのやり方である。
1つ目について言えば、左CBにストーンズではなくラポルト、左SBに本職ではないアケが起用されていた。
ラポルトはよく言えば無難にこなしてくれるが、ストーンズのように積極的にスペースを埋めるないし相手を潰すディフェンスが得意ではない。どちらかといえば効果的なパスが出せるのが強みである。
また、右SBにウォーカーで左SBにカンセロであればカンセロがそのスペースを埋めてくれたかもしれない。
逆にポジティブな要素を残したのがアーセナルで、第3節の結果から今回の結果を考えれば確実にチームとしてレベルアップできている。
そういう点において今後もアーセナルは期待できそうだ。
あと冨安はやっぱり世界レベルで見ても最高クラスのSBだった。だってスターリングとデ・ブライネに仕事をさせなかった。

ここまで読んで頂いた皆さん、本当に有難うございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?